そして、いろんな意味でオワタ\(^o^)/
ばいばい、課題。
キミとはもう会いたくないよ
人生初、降霊術の口寄せ役に選ばれた。
こんな形でなるとは思わなかったわ。
未だに、どうしてアタシが口寄せ役に選ばれたのか分からない。
「それじゃ、他のみんなはこの歌詞を覚えてもらうヨ」
そうやって、他のメンバーが真宮寺の指導の元でかごのこの歌詞を暗記していく。
その間はアタシだけ暇になってしまうから、民俗学の研究教室に行ってかごのこの文献を空き部屋に持ってきたり、すれ違った東条に少し頼み事をするついでにある物を預けたりしていた。
…何を頼んだとか、何を渡したかなんて後に分かると思うから、これについてはあまり触れない事にする。
それにしても、魔法陣の再現率凄いなぁ…一点を除けばだけど。
文献の魔法陣と、床に描かれた魔法陣を何度か見比べる。
口寄せ役に選ばれた時は、どうしようと思ったけれど…これはこれで良かったのかもしれない。
さて…どうするかな~と考え込んでいると、バッと文献が手元から消えた。
「歌の暗記も終わったし、始めるヨ」
…もうちょっとだけ考える時間くれ。
えっ?無理??
うん、わかってた。
「では、口寄せ役の入間さんには中央の円に入ってもらうけれど…魔法陣を踏まないように、中央の円へと繋がる通路を歩いてくれル?」
言われた通りに、アタシは魔法陣を踏まないように真ん中あたりに描かれている円まで歩いた。
あぁ…始まってしまう。
塩のシーソーが。
「次に、その円の中で亀の形になって貰いたいんだけど…目印の石を置くから、そこに額を付けた体勢でお願いするヨ」
コトリ、と真宮寺が床に石を置く。
いっそのこと、石の位置を少し隣の床板の面にずらそうか…と思ったけれど真宮寺がすぐ側で見ているので断念した。
仕方なく、一度正座した後に亀のように体を丸めて次の段取りを大人しく待つ。
「ちょっと体勢が苦しいかもしれないけれど、終わるまで我慢してネ…。決して途中で顔を上げたり、体勢を変えたりしてはいけないよ」
「わかってるよぉ…」
動く気満々だけど、この場はそう言っておく事にする。
そして、真宮寺の指示で白銀・アンジー・王馬の3人がアタシに鉄カゴを被せていく。
被せるまで、ずっと重いとか言ってたから、落ちてきたらどうしようと内心ヒヤヒヤしていたのはアタシだけの秘密だ。
更に、鉄カゴの上に真宮寺が白い布を被せた為、アタシは少しだけ身体を鉄カゴの隅っこの方に寄せながら、自分の頭上を見上げた。
そしたら、鉄カゴの底に設置されていたギラリと輝く鎌を発見。
さっきまでアタシがいた真上あたりにいたよ。
アタシを殺す気か。
ゲームだと標的から外されていたのになんでかなーって考えていると、布の上に犬神の置物みたいなのが乗せられたようで鉄カゴがその重みで微かに振動を起こした。
「ひいいぃぃぃ!?」
壊れる事なんてないと分かっているけれど、思わず驚いたアタシは叫び声を上げてしまった。
な…情けない。
「あっ、ごめんね。地味に手が滑って…」
白銀のそんな声が聞こえるが、あいにく布のせいで姿が確認できないし、その後に「入間ちゃんは怖がりだなー」って煽るような王馬の声がした。
布のせいでどんな顔して言ってるのか分からないけど、絶対笑ってると思う。
「美兎ー、大丈夫ー?神様も様子を見てあげなさいって、心配してるよー?」
鉄カゴ越しでニコニコ笑っているアンジーが、そう言ってアタシを見ていた。
……えっ?アンジー??
なぜ、布で隠れているはずの姿が??
一瞬、布消えた!?と思ったけれど、アンジーが少しだけ捲っていただけだった。
だから鉄カゴ越しでその姿が見えたのか…。
あっ、アタシが場所を少し移動してるのバレるじゃん。
目印の石はそのままなんだし…。
どーすんだよ。
アンジーもそれに気づいたのか、すっ…と笑顔が消えた。
それから、他のメンバーに「ねーねー」と声をかけると、一気に布を引き上げた。
「美兎が入った鉄カゴに変なのがあるんだけど…あれって、何かなー?誰がやったのかなー?」
鉄カゴに変なの…鎌以外にあるのか?と思って見てみたけれど、やっぱり鎌しかなかった。
「変なのって…アンジーちゃん、これってさ鎌じゃないの?」
「なーるなるー」
みんなして鉄カゴに集まって、鉄カゴの底に突如出現した鎌をマジマジと見ていく。
「地味に気になるんだけど…なんで鎌なんかがあるの?」
「主は言いました…この中の誰かがコロシアイの為に仕込んだと」
お祈りをするように手を握り合わせて言うアンジーに、「誰かって誰なの!?」と白銀が顔を青くして詰め寄った。
…アタシを置いて、話しがどんどん進んでいくー。
「オレには分かっちゃったなー…真宮寺ちゃんだよ!」
「…どうして僕なのかナ?答えによってはキミの神経を抜き取るよ」
「だって、真宮寺ちゃん以外考えられないし」
こっちはこっちで真宮寺が王馬に詰め寄っていた。
…ここでノンストップ議論でもやるの?
「でも、王馬君達が鉄カゴを被せて、僕が白い布を被せる時にも鎌なんてなかったよネ?だったら、入間さんが布を被せた後に仕掛けた…って事になるんじゃないかナ?」
「なんで、オレ様がそんな事するんだよ…」
人を自殺志願者みたいに言いやがってぇ…。
「でも、そうだとしたら布が動くから地味に分かると思うけどなぁ…。ほら、あの鎌って見た感じ取っ手の部分がそれなりの長さなんだし…」
白銀がそう言うと「それもそうだネ…」と真宮寺は笑いながら引き下がった。
ほっといたら長くなりそうだし…もう、ゲームの知識使っていい?
「あのさ…ちょっとオレ様なりに考えてみた事を喋ってみてもいいか?」
「…何かナ?」
アタシを警戒しているかのように、真宮寺の声はどこか硬かった。
どこから言うかな…。
「鎌がいつから鉄カゴに置いてたかって考えるより、どこに隠されていたかって考えた方がいいんじゃねーの?」
「例えば、真宮寺ちゃんが被せた白い布とかねー」
同意だとばかりに、王馬がそれに乗ってくる。
それを聞いて納得したかのように「確かに、それなら布を被せる時に鎌も設置できるよ!」と白銀が頷いた。
「…でもさ、鎌を設置した所で意味なんてないよネ?現に、鎌の刃は入間さんに届いてないんだからさ」
「だったら、部屋にそれでもできるような方法を作ったとかー?」
思いついたとばかりにアンジーがそう言うが、「例えばどんな?」と聞かれると黙り込んだ。
しばらくして「床板に何かしてたんじゃないのかなー?」なんて言うと、グルリとアンジーは鉄カゴの後ろの方へ回った。
「んー…この辺だったかなー?」
そんなアンジーの声が聞こえてきたかと思うと、アタシの横で床板が突然上に向かって動いた。
「えっ…?」
鎌に突き刺さった床板を、みんなして見つめる。
アンジーも正面に戻ってくると、「やっぱりねー、神様が言った通りだったよー」と床板と鎌を見ていた。
「これに参加する前にねー、斬美と隣の部屋にいたんだけれど、その時にうっかり斬美が床板を踏み抜いてたのを思い出したんだよー。ちょうど同じ場所なんだよねー」
アンジーがめっちゃ冴えてる…。
何があったの。
「んー、隣の部屋もそうなっていたって事は…その隣もそうなっているんだろうね」
「って事はさ、どの部屋を選んでも犯行ができるし、部屋を選んだ人のせいにする事もできる!真宮寺ちゃんも考えたねー」
白銀と王馬がそう言いながら真宮寺を見る。
それでも、まだ余裕だとばかりに真宮寺は「クックックッ…」と笑っていた。
「でもさ、仮にそうだとして…どうやってみんなに気づかれないように鉄カゴの中にいる人を殺そうとするのかナ?そんな方法はないよネ?」
「あっ、それもそうだよね…」
シーン…とした空気になり、勝ち誇ったように真宮寺が目を細めた。
そうはさせねぇぞ。
「オレ様はテメーらが歌を覚えている間…かごのこの文献を読んでいたんだけどよ、その時に違和感を感じたんだ。今になって分かったんだけどな!」
力強くそう言ったアタシの言葉に、真宮寺がビクリと体を震わせた。
これで…この謎の議論を終わらせてやる。
「文献の魔法陣と、この部屋の魔法陣にはちょっとした違いがあってな…。部屋の隅の方から魔法陣に向かって引かれた線なんか、文献には描かれてなかったんだ。かごのこは歌う時には暗闇にする…その際、この塩で描かれた魔法陣の線を指でもなぞって動けば…暗闇の中で中にいるやつを殺せるんだからな!」
雑な説明になったけれど、これだけ言えば大丈夫…なはず。
反論が出ても、なんとかできそうな自信はある。
「…残念だヨ。そんな入間さんを、姉さんの友達にする事ができなくて」
「み…認めたって事?」
ショックを受けたかのように、白銀が体を震わせる。
「ふーん…真宮寺ちゃんはモノクマの動機とは関係なしで動いたってわけなんだ」
「そうだよ…大好きな死んでしまった姉さんの友達になってもらう為に、計画してたんだヨ」
そこまで言うと真宮寺はマスクに手をかけて、それを下ろした。
「嬉しかったわ…是清。私に友達をくれようとしたあなたの気持ちが…」
「姉さん!でも、僕は入間さんを姉さんの友達にする事ができなかったよ…」
「いいのよ、気にしないで」
マスクを付けたり、外したりとしながら1人で喋る真宮寺を見て「何が起きてるのか、地味に分からないよ…」と白銀が呟いた。
「初めまして、是清の姉です」
白銀の呟きを聞いていたらしく、マスクをとった真宮寺がそう言ってアタシ達に微笑んだ。
「でもでもー、姉清は死んだんだよねー?」
「えぇ、でも是清が昔やった降霊術で私は是清の中にいるの」
「姉さんと僕は1つなんだよ…」
マスクを何度も動かして話す真宮寺に、アタシは「だったら!」と鉄カゴを蹴りながら叫んだ。
「だったら殺さなくても、テメーと友達になれば自然とテメーの姉貴とも友達って事になんだろ!真宮寺とテメーの姉貴は1つなんだからなぁ!」
「…その発想はなかったネ」
愉快だとばかりに笑いながら、真宮寺は「観察のしがいがあるヨ…」とアタシ達を眺める。
「それじゃあ、今度からは私も是清と一緒にみんなと過ごそうかしら。是清も、それでいいわね?」
「勿論だよ、姉さん…。僕もまだまだみんなを観察したくなったからネ…」
なにやら1人で自己完結したっぽい真宮寺を見て、思わず残されたアタシ達は苦笑いを浮かべてしまう。
とりあえず、死にそうになった事の仕返しでもしてやろうと思って、アタシはパチンと指を鳴らした。
指を鳴らす…それはつまり、彼女との合図だ。
バンっ!と部屋の扉が開いたと思ったら、そこから東条がもの凄い勢いで真宮寺の元まで走り、その首もとに手刀を落として気絶さて丁寧に床に寝かせ、アタシの発明品の1つである枕を真宮寺の頭の下に置いた。
「えっと…何してんの?東条ちゃん」
「入間さんからの依頼よ。作った発明品を真宮寺君で試したいから、合図をしたら彼を気絶させてもいいから寝るようにしてほしい…っていう依頼をメイドとして実行しただけよ」
まさか、ここまでスピーディにしてくれるとは思わなかったわ。
全くないと言ってもいい語弊力で表すなら…動きが残像みたいに凄かった。
そのまま東条に手伝ってもらいながら、アタシは鉄カゴから出してもらい、みんなで道具を片付けていった。
「被害者として消すはずだったんだけど…失敗かぁ」
どうでもいいかもしれないけれど、目が覚めた真宮寺が「幽霊になって姉さんに会ったと思ったら、モノクマと姉さんから塩をかけられて…ドロドロになって消える夢を見たヨ」と天海に話していたとか、いなかったとか。