憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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この前、母校に友達と遊びに行ったのですが、1人で行動したら見事に迷子になりまして…気づいたら図書室の近くにいたから、本を読んで大人しくしてたんですよ。
で、迎えに来た友達に「なんで図書室で本読んでるの…」って言われたので、思わずノリで天海君のなん図書発言。
そしたら、図書室でレポートらしきものを書いていた学生に「砲丸で殴られなくて良かったですね」と言われました。

こんなふざけた卒業生で、すみません!…って思ったけど、ネタが通じると嬉しいよね。


気だるき異世界を生かせ生きるだけ⑥

「急に呼び出して悪かったな。でも、完成したゲームを早くみんなでやりたくて…」

 

コンピュータールームに集まったみんなに話しを切り出すと、アタシがやっていた事を知っていた白銀と東条がお疲れ様とばかりに微笑んでくれた。

 

「で…そのゲームっていうのは何かナ?」

 

「聞いて驚け!みんなでプログラム世界に行くんだ」

 

「ぷろぐらむ…世界に行くの?」

 

理解できていないゴン太が首を傾げて、必死にどういう事なのかを考え込む。

とりあえず、説明続けていい?

 

「そのコンピューターと接続したこの装置を頭に被ると、意識がプログラム化されて、プログラムで作られた世界に行けるんだ。そこで、みんなに楽しんでもらったり、癒されたりする事ができるゲームを作ってやったぜ!」

 

「楽しむのは分かりますが、癒やされるって…?」

 

「そいつは、行ってからのお楽しみだ」

 

ほら、焦らすのって楽しいし。

それに、驚かせたいじゃん?

 

「まっ、楽しめるのは保証するぜ。なんたって、意識を丸ごと転送して、現実世界と同じように行動できるんだからな」

 

すると、白銀が「それって、もしかしてマトリックス!?」なんて興奮気味に聞いてきたけれど、アタシはそれに答えず「何か、気になる事あるやついるか?」とみんなを見渡した。

 

「あっ、それじゃあ…僕らの意識がコンピューターに入った後、その意識はどうなるの?」

 

「神様も気になるーって、言ってるよー」

 

最原とアンジーが手を上げて、質問をぶつけてくる。

えっと、意識がどうなるか…だっけ?

 

「プログラム世界での体として作ったアバターに、意識が入るようにしてある」

 

「あばたー?」

 

聞き慣れない単語に、ゴン太が再び首を傾げた。

そんなゴン太に、「自分の分身って思えばいい」と星が補足を入れてくれる。

 

「残った体の方は、どうなるんすかね?」

 

「プログラム世界にいる間は、夢を見ているのと同じで眠ったみてーな状態になる。まぁ、オレ様は他のやつが作ったこのプログラムを楽しめるように改良しただけだけどな」

 

「元となるプログラムを作ったのは、別の誰かなの?」

 

初耳とばかりに、赤松が目を丸くした。

えっ、まさかアタシが1から全部作った…って思ってたの?

 

「そう、このプログラムを作ったのは…ボクでしたー!」

 

どこからともなく現れたモノクマに、みんなが「嘘だろ…」と呟く。

 

「ちょっと、久しぶりにやる気に満ちて登場したと思ったら、酷くない?このコンピューターの中にあるプログラム世界は、ボクがあるプログラムを元にして作ったコロシアイシュミレーターなのでーす!まぁ、入間さんのせいで今となっては見る影もないけどね」

 

残念とばかりに落ち込むモノクマの言った事に、「どういう事?」と春川が呟いた。

 

「ん?あぁ、なんで見る影がないかって言った事?危険物とか、意外な凶器になるものとかのプログラムを消されちゃったんだよね。だから、仕返しとしてプログラム世界に外の世界の秘密を隠してあげたよ」

 

「はぁ!?いつの間にそんな事を…!?」

 

焦ってプログラムを確認してみると、アタシがみんなを誘っている時間帯に思い出しライトのプログラムが書き加えられていた。

削除しようにも、プログラムにロックが付いていて削除できないし、肝心の植え付けられる記憶の内容も見れない。

 

「それを見つければ、学園の外がどうなっているのか分かるかもねー」

 

うぷぷ…と笑って姿を眩ますモノクマを見送り、アタシはどうするか考える。

削除できないなら、みんなが見つけないようにする?

それともいっその事…

 

「…使うの止めるか」

 

思わず声に出ていたのか、「えー…!」と嘆くような声が聞こえた。

 

「その秘密を知る事で、このコロシアイに怯える生活に終止符を打てるかもしれないのに?入間ちゃんはそれでいいの?」

 

「王馬の言う事に賛同する形にもなるが、オレはそのプログラム世界ってのも気になるしな!」

 

そう言った百田に、春川が「またバカが始まった…」と呆れたように呟いた。

呆れるぐらいなら止めて…って、やった所で止まらないか。

 

「むむむ…正直、入間さんが作ったゲームを男死もやるってのが嫌ですけれど、よく考えれば転子達が楽しんでいる間に男死達に探させればいいんですよね!」

 

さり気なく男子がパシリ確定な発言をしながら、茶柱もプログラム世界に行きたいという意志を示す。

 

「ほれ、早く準備するのじゃ!でなければ、ウチの魔法で無理矢理にでもやらせる事になるぞ?」

 

それはそれで、絶対に嫌だな。

魔法使えないとは分かってるけど…。

 

「…分かったから、お前ら椅子に座れ。装置の説明するから」

 

 

多数決的にも、アタシの負け確定っぽかった。

まぁ…多分なんとかなるだろ。

椅子に座って装置と、赤と青のコードを手に取る。

 

「頭に被る装置の裏側に端子が2つあるだろ?そこに、コンピューターと繋がる2本のコードを刺すんだ。赤いコードが意識のコードで、青いコードが記憶のコード。この2つのコードがテメーらの意識をプログラム世界にぶっ込んでくれるってわけだ」

 

「で、どっちのコードをどっちに刺すの?」

 

自分の分を刺しながら、アタシは「右に赤。左に青。間違えると何らかのバグが起きるからな」と言っておいた。

 

「あの…なんらかのバグって、例えばなんですか?」

 

「あー…プログラム世界での記憶が引き継げないとかじゃね?」

 

キーボの問いに答えながら、周りをグルリと見渡す。

みんなが慎重な手付きで装置にコードを刺していくのを見て、思わず笑いがこみ上げる。

夢野に至っては「右はお箸を持つ方じゃから…」と何度も確認していた。

 

「それじゃ、後は装置を頭から被るだけだ。で、こめかみのスイッチを入れたら…そこはもう、ゲームの世界だぜ!アバターはオレ様ができるだけオメーらに似せて作ったけど、期待はすんなよ!」

 

「期待しろじゃないんだ…」

 

苦笑いでそう言いながら、赤松は装置を被ってスイッチを押す。

それに続くように、他のメンバーも装置を被ってスイッチを押していく。

みんながログインしたかどうかをプログラムの履歴から確認し、アタシを除いた全員が無事にログインしたのを見ると、アタシも装置を被ってプログラム世界に入った。

 

 

 

 

 

×××××

 

 

「ねぇ、入間。どういう事?」

 

「そうじゃ!なんじゃこの姿は!」

 

プログラム世界で作られた館のサロンにログインするなり、春川と夢野に詰め寄られた。

 

「言ったじゃねーか!アバターについては期待するなって!」

 

二頭身のみんなの姿。

それが、このプログラム世界でのみんなの姿だ。

 

「いいえ、むしろ逆ですよ!夢野さんがこんなに可愛くなるなんて…!」

 

「転子はちょっと落ち着きなよー」

 

夢野を抱きしめる茶柱に、アンジーがストップをかけるが聞いていないのか、茶柱は抱きしめたままだ。

…最終的に、夢野が自力で引き剥がしたが。

 

「夢野さんが、茶柱さんを引き剥がした…?」

 

最原の言葉を拾った春川が「で、どういう事なの?」と、アタシに更に詰め寄る。

ヤバイ…大事な事を言い忘れてた。

 

「えっと…このプログラム世界では、みんなの力は均等にしててだな」

 

「そんな、困るよ!ゴン太がみんなを守れなくなっちゃう!」

 

あぁ、うん。

とりあえず、後出しの説明だけでも先にさせてくれない?

 

「後は、特徴としては物が壊れない。アバターに傷がつかない。んでもって、現実世界の本体とアバターは五感を共用しているから、プログラム世界でアバターがダメージを受けると現実のダメージと錯覚されるんだ」

 

「じゃあ、王馬に殴られたキーボが痛いと思ったのって、そういう理由だったんだ。でもさ、そういうのは最初に言ってくれない?」

 

ジロリと睨みつけてくる春川に、「ご、ごめんなさい…」と謝る。

説明するの、本当に忘れてた。

 

「それよりも、早く外の世界の秘密ってやつを見つけて、みんなで入間さんが作ったゲームで遊ぼうよ」

 

「そうですね。そのために、この世界について知る必要がありますし…地図とかはありますか?」

 

「地図なら、この部屋を出た廊下の壁に用意しておいた。それから…」

 

アタシは一度言葉を切ると部屋の電話機を指差し、「ログアウトする時は、あそこの電話機に自分の名前を言うだけだ。つまり、ログインもログアウトもこの部屋を経由するって訳だ」とログアウトの方法を教えておいた。

 

「それじゃ、地図を見に行きましょう。入間さん、案内してくれる?」

 

「あぁ、こっちだ」

 

東条に促され、歩き出した所でアタシは違和感を感じた。

ポケットに何かが入っている…。

 

今ここで確かめる訳にもいかず、後で確認しようとアタシは部屋から廊下に出て「あれだ」とみんなに壁に貼ってある2枚の地図を見せた。

 

「小さい方は館の地図だ。館ってのはこの場所の事で、1階にはさっき居たサロンと、この廊下…ってか、玄関ホール。食堂と厨房に必要ねーけどトイレがある。で、2階はなくて、屋上があるぐらいだ」

 

続けて、もう1枚の地図も簡単に説明しておく。

 

「こっちの大きい方は、プログラム世界全体の地図だ。今いる館の隣にはやたらと物でゴチャゴチャしてる教会があるぐらいだけどな。あぁ、それから…この地図の端と端は繋がってるんだ。所謂、ループ世界ってやつな。」

 

説明に必要なのはこれぐらいだろ、とアタシが納得していると『ひゃーっひゃっひゃっ!』って笑い声がアタシの脳内に聞こえた。

 

「えっ…」

 

サァッ…っと体温が低くなるのを感じながら、アタシはどういう事なんだろうとグルグル考え込んだ。

 

なんで、なんで、なんで、なんで!?

何が起きた?幻聴??

 

『あ?オメーが言ったんじゃねーか、ポンコツが。プログラム世界に意識をプログラム化させて転送させるって。つまり、普段はオメーによって奥底に追いやられたオレ様の意識だって、このプログラム世界ではオメーと同じ存在としていられるんだよ!まっ、オレ様の声はオメーにしか聞こえないし、思ってる事を共有したりするぐらいだけどな!』

 

確かに、そう言ったけど!

こんな事になるなんて予想してなかったというか…えっと。

 

「おい、入間。どーした?急に黙り込んでよ」

 

「えっ!?あぁ…そ、そうそう!外にはこのゲームの主役とも言える動物がいるから、触れ合って遊びながら世界の秘密を探す事もできるからな!」

 

焦りながら答えたアタシが愉快なのか、『んだよ、ビビりすぎてチビったのかよ?』なんて笑う声が頭の中で響く。

 

ちょっと黙ってくれないかな?

ほら…思わず口元とか縫い付けたくなるからさ。

 

『じ、自分にそんな事を思われるなんてぇ…』

 

あっ、ダメだ。

本来の入間にとっては、ご褒美みたいなものになってたわ。

 

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