憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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シリアスっぽい雰囲気にしないといけないのは分かるんだけど、どうしても…シリアスを壊したくなるんだ。
これは絶対、病気だと思う。

それと、5章後に書く休題のアンケートを作りましたー。
なので活動報告を覗いてくれたら嬉しいです。


愛も青春もない旅立ち③

昼食後、女子会(?)の第2ラウンドが始まる前にアタシは全力で逃げた。

文字通り、全力で。

だって、追いかけてくるのが『滅私奉公!』が口癖な東条だよ?

黒いスーツ着たハンターも驚きの速さで追いかけるんだから、怖かった。

 

発明品(煙幕)を使わなければ、絶対に捕まっていたな。

そういえば、春川も同じように逃げていたけれど…どうなんだろう?

まぁ、他人の心配をしている暇があるのかと聞かれても、ないんだけどね。

 

「前方…東条の姿なし。行くなら今か?」

 

茂みに隠れながら、寄宿舎へのルートを確認する。

部屋に入ってこその逃走クリアなんだ、ここでしくじる訳にはいかない。

念の為にもう一度ルートを確認しながら、ゆっくり茂みから出る。

 

寄宿舎はもう目の前。

分かるか、諸君……そう、アタシの勝ちだ!

 

勝利を確信し、寄宿舎のエントランスを駆け抜ける。

後は、個室に引きこもるだけ!

部屋のドアノブを掴む。

あとは、これを開けるだけで逃走成功。

東条というハンターから、アタシは逃げ切った!

 

 

「待っていたわ」

 

気を抜いたのがいけなかったのだろう、そんな声が聞こえたと思うとアタシは浮遊力を感じると共に東条に担ぎ上げられていた。

 

……いや、なんで?

肩に担ぐとか、メイドさんのやる事じゃない。

 

「離せよ、ママ!」

 

「大人しくしなさい。それと、ママはやめてちょうだい」

 

バタバタと手足を動かして抵抗してみるけど、意味なかった。

この運ばれ方、小さい子みたいで嫌だ。

せめて、お姫様抱っこにしてほしかった!

…それはそれで、やっぱり恥ずかしいけれどな。

 

アタシは抵抗を諦め、運ばれる荷物と化す。

ブラーンと脱力して「あともう少しだったのにぃ…」と呟くと、東条から「フフ…」と笑い声がした。

 

「残念だったわね、入間さん。流石の私も焦ったから、協力な助っ人に力を貸して貰ったのよ」

 

確保するために助っ人まで用意するなんて、全力過ぎて凄い。

うぅ…誰だよ、東条の手助けしたやつ。

発明品のハリセン喰らわしてやる。

誰を助っ人にしたのか聞いてみると、東条は「近くに居合わせた人達よ」と答えた。

 

「入間さんが食堂で煙幕を使って逃げた後、飲み物を取りに最原君と星君とゴン太君が来たのよ」

 

あっ、なんかこの時点で詰んだ気がする。

 

「煙幕に紛れて、春川さんも逃げていたんだけれど、騒ぎを聞きつけた百田君と天海君、真宮寺君とキーボ君も食堂に来て…」

 

どんだけ近くにいたんだよ。

集まりすぎだろ。

 

「そこで急遽、赤松さん主催の『春川さんと入間さんを捕まえようの会』になって…」

 

なにやってんだよ、赤松。

そんな話し合いに人を巻き込むなよ。

 

「といっても…春川さんは百田君がその場で呼んだら、すぐに天井から出てきたから『入間さんを捕まえようの会』になったわ」

 

いろいろ聞きたいけれど、聞いちゃいけない気がする。

とりあえず、アタシの中で春川がヒロインからチョロインになった。

 

「そこで赤松さん、アンジーさん、天海君、百田君が入間さんが行きそうな所の候補を上げたの。その後、茶柱さん、白銀さん、夢野さん、キーボ君、星君がそこに行くまでの通り道を考えて、最後に春川さん、最原君、真宮寺君が『入間さんは、きっとこうする』という詳細も加えた事で、私が捕獲に移ったのよ。因みに、ゴン太君は話しについていけないみたいだっから、お茶を飲んで過ごしてもらったわ」

 

ただ女子会から逃げただけなのに、なんでそんな事になった?

とりあえず、逃げる気も失せたので降ろしてもらい、東条と並んで歩いて食堂に足を踏み入れる。

 

やっぱりというか…食堂は女子しかいなかった。

 

「カーッカッカッ!ウチの魔法が効いたんじゃな。東条が入間を連れて戻ってきたわ!」

 

「流石です、夢野さん!では、厨房にいる男死を追い払って女子会を再開させましょう!」

 

入った瞬間、響いたのは夢野の高笑いだった。

ていうか、謎の会議に参加した男子達は厨房にいるの?

何してるんだよ。

 

茶柱に「オレ様が追い払ってやるよ」と一声かけて、厨房の方へ足を進める。

……なぜか甘い匂がするんだけど、料理でもしてんのか?

 

「これで、ゴン太も紳士に近づけたかな?」

 

「なぁ、終一まだか!?」

 

「えっ?入れたばかりだよ!?」

 

「慌てるんじゃねー。ここはクールに待とうぜ」

 

「あと30分くらいはかかるっすよ」

 

「できるのが、楽しみだネ」

 

「ボクは…食べれませんけどね」

 

厨房を覗いてみると、なぜかオーブンの前に男子が群がっているという謎の光景が飛び込んできた。

 

「……何やってんだよ」

 

ホントお前ら何してんの。

正直怖いわ。

 

「おっ、入間か。東条に捕獲されたのか?」

 

アタシに気づいた百田が二カッと笑いながら、そんな事を言ってくる。

捕獲?されたよ。

どっかの誰かさん達のせいでな。

それはいいから、この状況の説明を誰かしろ!

 

「で、何をしているか…でしたね。実は話の後、ボク達は茶柱さんに出て行くように言われたんですが、何もする事がないから…という事で、クッキーを作ろうって事になりまして…」

 

「それで、天海と真宮寺を中心にして作ってたってわけだ」

 

名前の上がった2人がアタシの方を見て、照れくさそうに笑う。

ていうか、真宮寺にお姉さん降臨されてんだけど。

正しくは天海と真宮寺(姉)じゃん。

てか、クッキー作るとか。

お前ら女子なの?女子力アピールなの?

ふざけんなよ、女子より女子力高いとか嫌がらせかよ。

 

「どうしたの?何かあった?」

 

「なんなら、転子が手伝いますよ?」

 

なかなか男子を追い出そうとしないアタシを不思議に思ったのか、赤松と茶柱が後ろから厨房を覗き込む。

 

 

……一部男子の謎の女子力を見て、驚愕してたけど。

 

 

 

 

 

×××××

 

 

 

 

夜時間を告げるアナウンスが学園全体に響く。

もしもの事を考え、リュックの中に壊れてしまった場合の修理する為の道具と、幾つかの発明品を詰め込み、エレクトハンマーのバッテリーを一つずつ確認して、台車に乗せる作業を黙々とこなす。

あとは、この台車を押しながら裏庭のボイラー室に行くだけだ。

 

それだけ…なんだけど。

 

「…意外と力いるな」

 

人数分のエレクトハンマー乗せた台車の重さ半端ねぇ…。

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