今後はこういう暴走は(できるだけ)抑えるんで……今回は多目に見て欲しいなぁ…なんて思ってます。
いや本当、なんでこうなった?
紅鮭時空も、早い事で今日で5日目だ。
『もう』5日目と考えるべきか、『まだ』5日目と考えるべきなのかとアタシなりに思考した結果前者だろうなと思う。
例えば朝食会では本人が聞いていないのを良いことに、『最原が誰と卒業するのか』で賭け事が起きる程度には、みんな隙あらば最原を狙っている。
…女子だけじゃなく、男子からもモテモテじゃねーか主人公。
なんて内心で笑ってるけど、これってある意味ではピンチだ。
みんな最原狙い=その中の一名をアタシに振り向かせないと留年確定。
仮にアタシが最原と卒業しようと考えれば、みんなに背後から刺される未来しか浮かばない。
…こんなのどうしろと??
「いや、でも…誰でもいいから1人は確実に仲良くならないとここから出られないんだし。ああぁっ!!でも、自信ねーよ!」
思わず頭を抱えながらベッドにダイブする。
くそぅ…今だけ最原が人気者になっているのが憎い。
「うぅ……今日はどうしよう」
正直、誰かを誘えるような気力がない。
「誰でもいいから来いよー…。オレ様(ぼっちで)寂しいよー」
兎は寂しいと死ぬんだぞー、なんて内心で愚痴りながら丸くなる。
……まぁ、自分から動けば即解決なんだけどな。
そんな時に、『ピンポーン』と呼び出し音が部屋に響いた。
「……あん?」
まさか、本当に誰か来た!?なんて思いながらベッドから飛び起きると、部屋の扉を開ける。
「あっ、良かった!居なかったら、どうしようかと思ってたんだ」
「赤松…」
朝食の時に、みんなが最原を狙っているのを聞いておいてアタシの所に赤松が来たという事は……そうか、これが嫁の余裕か。
羨ましいなんて、これっぽっちも思っていないからな。
………ちくしょう。
×××××
赤松に引っ張られるような形で食堂に来たけれど、さっきからここから出たら何をしたいだとか、どこに行きたいとかで、向かい合って座っている赤松の話題が途切れる事はない。
アタシといえば、相槌を打ちながらお茶を飲んでばかりだ。
これがアタシと赤松のコミュ力の差か…。
「それでね、演奏会にはみんなを招待したいと思ってるんだ!忙しいと思うから中々集まる機会はないと思うけれどね、来てくれたみんなのイメージにぴったりな曲を弾いて聞かせたいんだ」
「まっ、悪くはねぇな」
「でしょ?あっ、あとね!思い出話とかしたり、ショッピングでお揃いの物とか買ってみたいな!」
……とまぁ、こんな感じで出るわ出るわ話題の数々。
止まることを知らないんだろうか?
「それでさ、それを叶える為にはみんな揃って卒業したいじゃん?だから、私良いことを思いついたんだ!!」
両手をパンッ!と叩きながら、赤松がテーブルの上に身を乗り出してきた。
そんなに名案なのかは分からないけれど、その良いことが本当に良い提案だとしたら、アタシにも協力させて欲しいと思う。
だって卒業してここから出たいし。
「ほら、モノクマも言ってたじゃん?『恋愛的に結ばれた2人がここから卒業できる』って」
「あぁ、初日に確かにそう言ってたな」
「でもさ、『1人1組』とは言ってないよね?」
「お……おう?」
えっ、いや、確かにそうだけどさ…それかなりハードモードというか……(ゲームで)何回か周回してやっとできるやつじゃん?
まさか赤松、アタシと今こうして話しているのは嫁の余裕とかじゃなくて、『みんなで最原を中心に卒業しよう』とか言い出すのか!?
嘘だろう!?
「だからさ……私が女子のみんなとそういう関係になって、最原君に男子みんなを任せれば卒業できるんじゃないかな?」
「………………………は?」
違った、斜め上の展開だった。
テーブルに身を乗り出したままの赤松が、笑顔を浮かべながらアタシの頬に片手を伸ばす。
「そうしたらさ、みんなここから出られるし、一緒にいる機会も多いと思うんだ。ねぇ…どうかな?」
「ど……どうって言われてもぉ…」
何これ、何コレ、ナニコレ!?
こんなフラグが立つ気配、微塵も感じなかったぞ!?
2次創作でよくある赤松攻め百合展開!?
一体全体、アタシが知らない時に何があった!?
冷たい汗は流れるし、身体は震え、心臓はバクバクと五月蝿い。
本当、なんでこうなった?
いやいや……待て、考えろ。
普通の赤松ならば……こんな考えにはならないはず。
誰の入れ知恵だ?
モノクマか?それとも白銀か??それとも、王馬に変な事を吹き込まれた?
「入間さんも…賛同してくれるよね?」
「ひ…ひぐぅ……お、オレ様は…」
てか、『も』って何!?
既に赤松の手に落ちている人いるの!?
誰だよ!?そんな気配微塵もなく、みんな最原狙ってたんじゃないの?
まさか嘘なのか!?演技なの!?
もう、本当に誰!?怖いって!!
「う……うわーーーーーん!!!」
頭の中がぐるぐると落ち着かなくなって、どうしたらいいのか分からなくなった。
気づいたらアタシは小さな子供のように叫びながら、逃げるように走った。