憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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6日目②

宛もなく、フラフラ歩く。

次は何をしようか…誰と過ごそうか……。

 

「…オレ様も、本腰あげねーとな」

 

さっき春川と過ごしていて分かった事がある。

みんな、誰かしら一緒に卒業したいと思う人がいて……それが叶わなかった時の事も考えて、何人か候補がいる。

 

それに比べてアタシは他力本願。

誰かがアタシに手を差し伸べるのを待っていて、自分から手を差し伸べようとはしない。

手を差し伸べる相手すら、まだ決めていない。

 

……決めなくちゃいけない。

 

「そうと決まれば、やっぱ……」

 

「神様に相談すれば、解決だよー」

 

「ひゃあぁぁぁ!!?」

 

背後から突然ぬっと出てきたアンジーに驚いて、変な悲鳴をあげた。

気配もなく現れたけど、いつからいたんだよ!?

 

「お、驚かすんじゃねーよ!!」

 

「ほーれ、アンジーに話してみなよー。神様も今ならご機嫌だから聞いてくれるよー?」

 

アタシの言った事は無視か。

それと、じりじり寄ってくるの止めて。

腕を広げて抱擁しようとするの止めて。

 

「別に、テメーの神様とかに頼る必要なんてねーよ。オレ様の中で自己完結したっつーの!」

 

「本当かなー?神様は何でも知ってるんだよー??」

 

ビシッと指差してくるアンジーの剣幕に、無意識に後ずさる。

いやいやいや…本当になんでもないんだけど。

思い当たる事なんて……ない、はず。

うん、ない。絶対ない。

 

「心配いらねーっての!そういうアンジーはどうなんだよ…」

 

「アンジーには神様がついてるから、すぐに解決するから問題ないよー」

 

「そーかよ」

 

ていうか、その神様=アンジーの考えじゃないの?

まじの神様とか…そんなわけないよね。

いくらなんでも、それだけはないな…うん。

 

「ねーねー!美兎にだけお得な事教えてあげるー」

 

「お……お得な事??」

 

いきなり何の話しだと思わず身構える。

アンジーのお得と、アタシのお得は別物な気がする。

 

「アンジーを選ぶと、もれなく神様がついてくるよー。今ならポイント10倍で超お得ー」

 

「……………うん?」

 

つまり、どういう事?

今日のこのあとの時間を、全部アンジーにつぎ込めって事??

それとも別の意味で?

………自分で考えておいてなんだけど、別の意味の場合が分からん。

 

「まぁ…オレ様も暇してるし、話し相手にならなってやるよ」

 

「うーん…神様も美兎の考えを読むのは難しいみたいだし、アンジーは今はそれでいいよー」

 

にゃははーと笑うアンジーに「今はってなんだよ…」と聞いてみたけれど、それに対しての返答は返ってこない。

代わりに「そーそー、あのねー」と話しが変わった。

自由人か。

 

「神様の作った作品を見ると、なーんでかみんなバッターン!ってなるんだー。神様が見る人を選んじゃうからだと思うけれどー、どうしたらいいー?」

 

「分かるわけねーだろ!?」

 

「そっかそっかー。美兎でも分からないかー。でも、大丈夫だよー?神様がきっと理解できるようにしてくれるから」

 

その神様が、アタシは理解できないんだけど。

 

 

 

×××××

 

 

 

「でねー、その時に楓がー……」

 

「うんうん…」

 

気づいたら、アンジーの話し相手をすること2時間。

……おかしい、こんなお喋りだったか?

いや、最初の1時間と30分は殆ど神様の話しだったけど。

暫くは宗教関係なの聞きたくないぐらい聞かされた。

それに神様の話し終わって満足かと思いきや、今度は他のみんなの話しに変わってた。

中には笑える話しもあって、百田と最原が図書室でエロ本読んでて茶柱の合気道の餌食になったとか、白銀がゴン太に紳士的なキャラについて熱く語っていたとか、夢野のマジック(夢野曰わく魔法)を見せてもらったとか、天海と真宮寺が姉や妹について語って……これはいつもの事だな。

 

「神様も吃驚するような事を言ってたんだー」

 

「勿体ぶるなよぉ…」

 

今は赤松のピアノの演奏を聞いた時の話しになっていて、アンジーの言う神様でも驚いた事があったらしい。

最初はピアノの演奏ということから、なんか凄い曲でも弾いたのかと思っていたけど…どうやら赤松の言った事に驚いたようで。

 

「んーっとねー、楓を中心とした女子みんなで卒業しよーって提案されてねー。アンジーも神様も一瞬だけポカーンとしちゃったんだー」

 

「…………あれか」

 

昨日の事が脳内に蘇る。

そっかー……やっぱり女子全員に言って回ってたのかー。

 

「それでねー、神様が面白そうって言ってたから『いいよー』ってアンジーは返事したんだー」

 

「テメーかよ!?」

 

赤松の百合ハーレム(仮)に、アンジーがまさかの承諾していた事にアタシは開いた口が塞がらなかった。

しかも、理由が面白そうだから。

それでいいのか、神様。ちゃんと仕事しろ。

 

「でもねー、神様が終一にしなさいって言ったらアンジーは終一を選ぶし、美兎にしなさいって言ったら美兎を選ぶよー?神様の言う事は絶対だからねー」

 

「自由な神様だな…」

 

「アンジーの神様だからねー!」

 

それ、理由になんの?

アンジーの神様、もうちょっと真面目になろう??

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