憑依してしまった以上、救いたいと思った   作:まどろみ

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時期的に考えれば、ネタとしてはギリギリアウトな部類かもしれない

本当は、もっと早くに書き終わる予定だったんだ…ので、多めに見てください。


8日目①

アタシの目の前には、プールサイドに腰掛けてバシャバシャと水遊びをする夢野と茶柱。

その近くではビーチチェアをプール倉庫から出してきたのであろう、アンジーと白銀がトロピカルジュースを飲んでいて、その隣ではパラソルを設置する東条の姿がある。

 

「プールって、いいよな…」

 

「うんうん。なんか見ているだけで眼福ってなるよね。はいコレ」

 

簡易型ウォータースライダーを造る手を止めずにポロリと呟いた言葉に、差し入れとばかりにココナッツジュースを持ってきた赤松から意外な形で同意を得た。

 

「気がきくじゃねーか。春川、ちょっと休憩しよーぜ」

 

「わかった」

 

春川に声をかけてから、一息つくために受け取ったジュースを飲みながら改めて辺りを見渡す。

夢野も茶柱も白銀も東条も赤松も、ウォータースライダー造るのを手伝ってくれてる春川もアンジー…は、いつもと変わらねねーけど、みんな身につけているのは布面積の少ない水着だ。

みんな水着可愛いから、ただでさえ顔面偏差値高めのメンバーが余計にランク上がってる。

白銀と赤松の水着とか、ナンパ待ったなしだから。

 

えっ、男子はって…?

茶柱が提案して誘ってきたメンバーが集まってるだけだし、来ないんじゃないか?

 

「美兎ー、神様がもう待ちきれないって言ってるけど、あとどれぐらいでできるー?」

 

「一番乗りは、もちろん転子達ですよね!」

 

「あと少しだけ待ちやがれ。オレ様だって、遊んでもらうの楽しみなんだからよ」

 

待ちきれない茶柱とアンジーには悪いけれど、もう少しだけ待ってもらう。

ジュースを飲みながら次の作業の手順を脳内で幾つかシュミレーションし、完成した時の出来を想像する。

ウォータースライダーの前にも、プールの底が深すぎるから急遽造った発明品で足場を作るようにしたり、雰囲気出すためにプロジェクションマッピングの応用で室内を丸ごと南国風にしてみたり、赤松チョイスの音楽をかけたり…と、誘われてからずっと準備をしていたからか、感づいた春川や赤松の手伝いもあって完成までもう少しといったところだ。

 

「ウチの水魔法を使えば、入間に苦労させずに済むのじゃが……NPが切れていてのう」

 

シャクシャクと氷菓子を片手に持って食べる夢野に、春川が小声で「切れること多すぎだけどね…」と呆れたように呟いていた。

こらそこ、そんな事言わない。

 

「もし完成したら……地味にポロリとかあるんじゃ!?」

 

「えっ!?どうなの入間さん!」

 

白銀と赤松が何やら盛り上がっているけど、スルーだスルー。

アタシは何も聞いていない。

 

「駄目ですよ、そんなの!もし男死がどこからか覗いていたら大変じゃないですか!!」

 

茶柱が全力で否定しいる間、アタシの頭の片隅でクシャミしている最原の姿が浮かんだ。

……さすがに今回はない、よな?

そういうのにすぐ気づきそうな東条と春川がいるんだし。

 

飲んでいたジュースを一度手放し、アタシは再びウォータースライダーを造りながら、騒いでいるみんなを眺めながら水着美女万歳と心の中で叫んだ。

 

 

×××××

 

 

ウォータースライダーも無事に造り終わり、パラソルの下で寝そべりながら水鉄砲で遊ぶ。

だけど、そこから出るのは水ではなくシャボン玉。

こうして見ると、普通のプールじゃなくなってきているのがよく分かる。

呼ばれていない男子達が知れば何か言いそうな気もするけど、茶柱に誘われなかった事に嘆けばいいと思う。

本当…何回目かになるか分からないけど、水着最高眼福。

 

「ウォータースライダー凄いね。さっき春川さんと一緒に滑ってきたけど…なんであんな別れ道ばっかりなの?迷路みたいだったよ?」

 

休憩とばかりに赤松がビーチボールを抱えながら、アタシの隣に座り込む。

迷路みたいになった理由はアンジーの提案のせいだから、それについてはアタシ関係ない。

それにしても……

 

「赤松はフリルのついた白ビキニがよく似合ってんな」

 

「あ、ありがとう…じゃなくて!もぅ、すぐにそうやって話題を逸らす」

 

照れ隠しなのか、ビーチボールで軽く叩かれていると「何してるの…」とヤッチー君らしき浮き輪を持った春川が、ジト目でアタシと赤松を見下ろしていた。

 

「春川はやっぱり、赤が似合うな。飾り気があまりないスポーティーな感じなのがまた良い」

 

「本当はもっと可愛いの着せたかったんだけどね…」

 

アタシと赤松が何について話しているのか分かったのか、そっぽ向きながら「どうだっていいじゃん…」と言っていたけど、ほんのりと顔が赤くなっている事にアタシも赤松も見逃さなかった。

思わず顔を見合わせてから、図ったかのように春川に2人して抱きつく。

ツンデレ可愛いすぎ。

 

「お主らは仲良しじゃのぅ…。見ているこっちが恥ずかしくなるわい」

 

茶柱、アンジーと3人で仲良くプールを泳いでいる夢野がアタシ達を見ながら、ポツリとそんな言葉を零した。

夢野、それブーメラン。

自分に返ってきてるって分かってるのか?

 

「でも、こうしていられるのも残り僅かだと思うと、地味に寂しいよね」

 

「そうね。私がこうしてみんなのメイドでいられるのもあと2日間だもの…。思い出として残す為に、誘ってくれた茶柱さんには感謝しないといけないわね」

 

ベリベリとアタシ達を引き離しながら、白銀と東条の会話を聞いていた春川が「そういえば…」と思い出したかのように呟いた。

 

「卒業する相手、決まったの?」

 

その瞬間、空気が凍ったかと思えば火花が飛び散る幻覚が見えた。

例えるなら…そう、恋する乙女がライバルを牽制し合うようなやつ。

あれか、修羅場ってやつか。

最原め…どれだけタラシ込めば気が済むんだ。

 

「ほ…ほら、そういうのは後にして、今は楽しもうよ!ね!」

 

鎮まりたまえーとばかりに宥める赤松のおかげで、なんとかその場は収まったけれど……これはヤバイと流石のアタシでも分かる。

 

最原…このままじゃお前、二次創作のネタとかで初代パンツハンターみたいに女子全員に向かって土下座しなきゃいけなくなんぞ。


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