金剛・J・クロフォード   作:フリート

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打ち切りみたいな終わり方ですけど、その通りです。すみません。

続けるとぐだぐだしそうな感じだったのでここでおかしな鎮守府編はスパッと終わらせます。

話自体はまだまだ続きますので、これからもよろしくお願いします。


おかしな鎮守府 その⑦

 そして話はだいぶ飛んで決勝戦である。

 外はすっかりと夕焼け色に染まって幻想的な様相を呈していた。そんな中、陽炎たち金剛隊は、横並びに立って観客に混じり決勝戦の見物に参加していた。

 そう、見物に参加しているのである。

 どういうわけなのかと言えば、言うほどでもないのだが負けたのだ。それも二回戦敗退というやつである。完膚なきまでに叩き潰された。

 相手は天龍幼稚園もとい天龍隊。数の上では天龍隊が六、金剛隊が四と不利なのだが、戦艦である金剛がいることでちょっと敵を舐めすぎたのだ。

 陽炎は戦いの様子を思い出してみる。

 

「無駄ですよ、天龍ガール、龍田ガール。ユーたちがどれだけ足掻こうが、私たちの勝利は揺るぎまセーン。覚悟はいいですか?」

 

「天龍ちゃん……」

 

「くっ、勝負は最後の最後まで分からない! 行くぜ!」

 

「NOOOOOOOOO! この私が……ここまで」

 

「響、雷、電! 燃やしつくすのよ! 命の燃料のひと雫まで!」

 

「「「イワーーーーク!!」」」

 

 少しだけ捏造が入ってるかもしれないがだいたいあってると思う。こんな感じで、天龍と龍田の予想以上の奮闘に唖然となった金剛が隙となり、駆逐隊一のチームワークを誇る第六駆逐隊の猛攻撃で陽炎たちはあっさりと脱落。優勝どころか上位にも入れなかったということで、大変恥ずかしい結果に終わった。

 そのため金剛は俯き気味で何だか居た堪れない様子を見せている。あれだけ「勝ちは決まっている」「優勝以外興味はない」とか言っておいてこれでは相当恥ずかしいだろう。陽炎たちですら少し恥ずかしさを感じているのだから。

 

「金剛さん」

 

「今は、話し掛けないで」

 

 長門に散々からかわれまくって、提督に慰められて、これでは一時の間、もしかすれば数日はこのままかもしれない。

 気持ちが痛いほど分かる陽炎はそっとしておくことにした。

 陽炎は視線を正面に変更する。

 決勝戦は、陽炎たちを見事打ち破った天龍たちと、ちゃっかり勝ち上がって来た比叡たちだ。ここまで来れば、どちらが勝ってもおかしくはない実力さである。陽炎としてはどちらが勝とうがもうどうだっていい。そんなことより疲れたからさっさと寝たいというのが正直な感想であった。

 しかし真面目に考えるなら、チームワークでは天龍隊で個々の力では比叡隊に軍配が上がるだろう。

 

「お姉さまの仇は私が取る!」

 

「俺が教えてやるぜ。真の眼帯使いの戦いぶりをな!」

 

「それでは決勝戦を行います――始めてください!」

 

 ついに決勝戦が始まった。

 天龍たちの作戦は陽炎たちとやった時と変わらないようだ。すなわち天龍と龍田が大型の敵を抑えて、その間に暁たちで敵駆逐隊を殲滅するというもの。

 対する比叡達はガンガンいこうぜ、おせおせどんどんって感じだ。各々が突出してそれぞれで殲滅するという作戦のようだ。作戦って言うのだろうか、それは。

 

「あっ……しまったっぽい」

 

 作戦通りに一人突出した夕立が、作戦通りに固まって行動する暁たちに砲撃された。あれはもう駄目だろう、と見ていたら案の定であった。

 試合終了の合図。

 どうやら比叡側の総大将は夕立だったらしい。

 金剛の仇を取ることもなく、真の眼帯使いの戦いぶりを見せることもなく決勝戦は幕を閉じた。試合時間は十秒にも満たっていない。

 世界の時間が停止したように陽炎は感じた。

 

「今大会の優勝者は天龍隊の皆さんです。拍手!」

 

 いつも通りの天使の笑顔な提督。

 ぱちぱちぱち。提督の拍手が呼び水となり、まばらにぱちぱちぱちと音が増える。

 とにもかくにも優勝者が決まったのである。

 

 

 

「今回の大会は酷かったわ」

 

 大部屋に戻るなり、陽炎はげんなりとしながら言った。

 特に決勝戦である。一番盛り上がりを見せるべきところで、一番盛り上がらない終わり方をしてしまった。あれはないだろう。

 ほら見てみろ。一位になってトロフィーを貰っている天龍の顔が複雑そうであり、どことなく引き攣っているようにも見える。

 二位の比叡たちもそこはかとない申し訳ありません感があった。

 ちなみに三位は高雄の隊である。

 

「では、私からの景品だ」

 

 この空気を一変するように大はしゃぎする第六駆逐隊の面々。貰った景品を目一杯掲げて自慢げにしている。そんなに嬉しいのだろうか、長門と一日一緒券とやらは。陽炎には分からなかった。

 そして優勝した隊にはもう一つ景品が贈られることを忘れてはならない。

 

「提督……」

 

 悲痛な瞳で提督を見つめる金剛。

 そう、提督からの景品である。どんな景品が贈られるのか、陽炎には既に興味はない。だが金剛は違うのである。

 おもむろに天龍に接近する提督。

 

「私からこれです。天龍さん、少ししゃがんでください」

 

「んあ?」

 

 チュッ。

 右頬を押さえる天龍。

 発狂する金剛。

 

「やめてぇえええええ!! あぁっ!? うわああああああああ!!」

 

 がっくりと崩れ落ちてからそのまま動かなくなった。

 こうして長門主催の大会は終了したのである。

 

 

 

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