学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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意外な展開に……
きっと誰も予想してないでしょうね。


再会………なのだが

 

 

沙希side

 

 

HRも終わったし、早く戻んなきゃ。今日は保育園休みでけーちゃんは寮の部屋で一人きりだから。

 

 

女子「転入生の川崎さんだよね?私も転入生なんだけど、川崎さんも比企谷さんの稽古見に行くの?」

 

沙希「え?……稽古?」

 

 

なにそれ?そんなのあったの?

 

 

女子「あれ?知らない?もう学校中の噂なんだけど、放課後になったらここの殆どの生徒が比企谷さんに稽古をしてもらってるらしいんだ。それでその様子を見に行こうって話になっててさ、川崎さんも行くのかな?って。」

 

 

比企谷が……人に教える?ちょっと興味ある。けーちゃんには悪いけど、もう少し待ってもらおうかな。

 

 

沙希「……うん、あたしもちょっと気になるかな。」

 

女子「じゃあ一緒に行こうよ。あっ、私椎橋柚珠奈(しいばしゆずな)っていうんだ。よろしくね。」

 

沙希「あたしは川崎沙希。よろしく。」

 

 

ーーー八天門場ーーー

 

 

柚珠奈「うわぁ、もう凄い人だね。中も外もいっぱいだよ。」

 

沙希「これじゃあ見れるものも見れないね。どうすんの?」

 

柚珠奈「ふっふっふ、愚問だよ川崎さん。ここは強引突破だよ!」

 

 

椎橋はそう言った途端、あたしの手を掴んで前に進んだ。てかアンタ、さっきまでとキャラが違うんだけど?

 

 

沙希「ちょっあんた、強引過ぎだって。」

 

柚珠奈「ふひぃ〜、うん、見れるところまできた……って、えぇ!?」

 

沙希「今度は何?」

 

柚珠奈「何って!?今戦ってるのは、この学院の冒頭の十二人の3人で、序列7位【天苛武葬】の趙師兄に6位【雷戟千花】のセシリー師姉、そして序列2位【夢幻月影】の比企谷八幡尊師だよ!?」

 

 

特に強い12人が居るのは知ってるけど、比企谷もその1人なんだ。

 

凄い戦い……てか、あんたそんなに強かったの比企谷?

 

 

沙希sideout

 

八幡side

 

 

虎峰「はぁっ!」

 

八幡「ふっ!」

 

セシリー「やぁー!」

 

八幡「っ!」

 

 

確かに2人で掛かってきていいとは言ったが、流石は前回《鳳凰星武祭》の準優勝ペアなだけはあるな。連携が上手い。

 

 

セシリー「もぉー、あたしらがこんなに連携出来てるのに、八幡は全く焦らないねー。それにこっちが攻撃を受けてる上にペースまで八幡だし。」

 

虎峰「大師兄を倒しただけありますね。2人がかりでも、実力に差があり過ぎます。紙一重で避ける辺りは本当に流石と言うしかないですね。」

 

 

………この後だと、セシリーが雷撃籠めた蹴りを仕掛けてきて、その後に虎峰が拳で勝負ってところかもな。

 

 

2人は一斉に左右に散り、八幡に攻撃を仕掛けようとしていた。

 

 

セシリー「行くよぉー八幡!」

 

 

予想通り、セシリーは脚に雷撃を蓄え、俺に向かって蹴りを放ってきた。

 

 

八幡「東方(とうほう) 阿迦陀(あかだ)西方(せいほう) 須多光(しゅたこう)南方(なんほう) 刹帝魯(さつていろ)北方(ほっぽう) 蘇陀摩(そだまに)

 

 

セシリー「えぇっ!?それやるのー!?」

 

 

セシリーの雷は消えて、いとも簡単に足を掴まれてから床に叩きつけられた。

 

だが、真後ろから虎峰が正拳突きの構えで迫り、八幡を射程圏に捉えていた。

 

虎峰「ふんっ!!」

 

八幡「バレバレだ。それに、足の出し過ぎで普通に体勢が崩れるぞ。」

 

虎峰「うわっ!?」

 

 

虎峰は八幡の簡単な足払いと体当たりで倒れてしまった。

 

 

八幡「連携は良いが、お前らは分かりやすすぎる。初見の俺でも分かったぞ。」

 

セシリー「いやー、中々癖が消えないものですなー。」

 

虎峰「はぁ……また負けました。これで30回目です。八幡にはいつ攻撃が届くんでしょうか?」

 

八幡「そう簡単にはやられねぇよ。」

 

 

そして鍛錬の時間がきたが、見学者は大勢いた。それも殆どが新入生。

 

 

八幡「お前らに言っておくが、これは見世物じゃないからな?今回はあえて扉を開けておいたが、戦いは見せるものじゃない。己の心技体を磨くものだ。それを忘れるな。見学したい奴や鍛錬していきたい奴は好きにやっていけ。」

 

全員「はいっ!!」

 

 

そしてある者たちは技や肉体の強化、術の調整、さらには実戦形式で鍛錬をしている。人数は明らかに増えている。

 

 

柚珠奈「川崎さん、私たちもやってく?」

 

沙希「あ、ごめん。妹を待たせて「着きましたよ。此処にその『さーちゃん』がいるかもしれませんよ?」いる………ん?」

 

???「ありがとぉ!ふゆちゃん!」

 

沙希「………え?」

 

 

そこに居たのは、川崎沙希の妹で寮部屋にいるはずの川崎京華だった。

 

 

沙希「け、京華!?」

 

柚珠奈「え?どうしたの?」

 

 

沙希は気付いたが、京華の方は気付いていなかった。

 

 

冬香「どうです?いましたか?」

 

京華「うーん人が多過ぎて分かんない。」

 

八幡「珍しいですね冬香さん。こんなところに……どうかしたんですか?」

 

冬香「こんにちは八幡さん。この子が人を捜してい「あーっ!!」て……?」

 

 

京華は突然叫びだした。

 

 

京華「はーちゃんだっ!!」

 

 

誰かのあだ名を呼んだかと思っていると、京華は八幡の足に向かってトテトテと走ると、そのまま抱きついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員「は、はーーーーちゃぁぁぁぁあああん!!!?」

 

 

全員驚愕だったのは当然だろう。誰もが憧れの的である比企谷八幡があだ名で呼ばれているのだから。

 

 

八幡「おう、久し振りだなけーちゃん。そんで?どうして此処にいるんだ?」

 

京華「さーちゃんについてきたの!」

 

 

八幡(川崎に?ここにいんのか?)

 

 

京華「ねーねーはーちゃん!はーちゃんは此処で先生やってるって本当?」

 

八幡「え?先生?……冬香さん、一体何を教えたんです?」

 

冬香「他に言葉が見つからなかったのです。こんな幼い子供が尊師なんて言葉、知ってるとは思えませんし。」

 

 

確かに冬香の言っている事は当然の事である。ただの幼稚園児が尊師なんて言葉を知っているわけがないのだ。

 

 

八幡「………確かに。まぁ、そうだな。一応先生をやっているぞ。確かけーちゃんの姉ちゃんが空手やってたんだろ?それと似たようなものをな。」

 

京華「けーかもやる!」

 

沙希「こら!けーちゃん!」

 

 

するとそこに、沙希が現れて2人は再会したのだが、違う驚きがあったので挨拶を交わしている余裕がなかった。

 

 

沙希「ごめん比企谷。」

 

八幡「いや、いいが……来てたんだな。」

 

沙希「……まぁね。」

 

 

やはり黙ってしまうだろう。総武とは完全に縁を切った八幡だが、沙希は別に恨みもなければ憎しみもないからである。

 

 

セシリー「は、は、八幡?まさか……その子って、八幡の……子供なの?」

 

八幡「はぁ?何言ってんだお前?」

 

虎峰「いえ、確かにそう見えます。」

 

冬香「八幡さん?少しご説明願います。」

 

 

八幡は周りを見渡すと、全員が見ていた。嫌でも説明をしないと納得しないだろう。

 

 

八幡「はぁ……此奴は俺が此処に来る前にいた高校のクラスメイトだ。そしてその妹だ。疚しい関係なんてない。」

 

 

道場にいる生徒は、反応はそれぞれだが納得はしてくれたようだった。

 

 

冬香「そうだったのですか。」

 

虎峰「すみませんでした。」

 

セシリー「もー、脅かさないでよー。」

 

八幡「最初に騒ぎを起こしたのは何処の誰だ?このアンポンタン。」

 

セシリー「てへっ♪」

 

 

ったく……

 

 

京華「はーちゃーん!けーちゃんも空手ごっこしたいー!」

 

沙希「あ!ちょっとけーちゃん!」

 

八幡「あー、いいぞ。」

 

沙希「え!?比企谷!?」

 

八幡「まぁ軽いもんだろ。お前の空手姿見てんだったら、それなりの動きは真似出来るだろうしな。」

 

沙希「………じゃあお願い。」

 

 

そう言ってから、少し距離を空けた。

 

 

八幡「よしけーちゃん、俺に一発打ち込んでみろ。」

 

京華「うん!えーと……」

 

 

道場全体は微笑ましい空間に包まれていた。尊師が子供に優しくしているとか、懸命に考えている子供の姿にグッときているのだろう。

 

 

京華「んん〜〜!あっ!出た!」

 

 

京華が出したのは、微量ではあるが明らかに星辰力だった。

 

 

全員「…………え?」

 

八幡「………………………え?」

 

 

すると、京華は八幡目掛けてダッシュして拳を八幡にぶつけた。

 

 

京華「パーーンチッ!!」

 

 

ドゴォッ!!

 

 

八幡「ぐほぁ………!!」

 

 

全員『ええええぇぇぇぇぇ!!!?』

 

 

明らかに幼稚園児が出せる威力ではなかった。見様見真似で空手の動きを真似たに加えて星辰力を籠めた拳で八幡の腹部に強烈な一撃。そして1番の驚きは………

 

 

八幡「嘘………だろ………強過ぎだろ。」

 

京華「どうだ!参ったかぁ!」

 

八幡「ま、参った……」

 

 

京華自身が全く痛がっていないのだ。

 

 

八幡「虎峰………今日から序列2位はけーちゃんだから、後……頼んだ。」

 

虎峰「は、八幡!?」

 

 

 

当然八幡の言ったことは嘘なのだが、八幡は少しの間気絶していた。こうして川崎京華は幼稚園ではなく、この界龍第七学院を最年少で入学する事が決まったのである。

 

 

 

 




オリキャラに京華ちゃんの大勝利!!
これは誰も予想出来ない。

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