学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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放たれた魔将

陽乃side

 

 

《鳳凰星武祭》5日目、もうすぐ私たちHブロックの2回戦1組が開始する番。

 

 

陽乃「……今回は八幡くんが楽できるね。式神ちゃんに任せてるんだしっ。」

 

八幡「楽って何ですか、俺からそう望んだわけでもないのに。」

 

陽乃「冗談冗談。でもさ、私全く予想してなかったんだ。君と一緒に戦うなんて。」

 

陽乃「今まで君とは対立していたでしょ?まぁ私が一方的にだけどさ。」

 

陽乃「今では私たち仲間で戦ってるのが正直まだ慣れてないんだ。」

 

陽乃「それに私は本当の意味で自由ではないしね。前よりは出せるようになったけど、未だにしこりはあるからね。」

 

八幡「……やっぱり親の方ですか?」

 

 

………勘の良さは健在だなぁ。

 

 

陽乃「………まぁね。」

 

八幡「仕方ないですよ。貴方が六花に来た頃から伸び続けましたからね、雪ノ下建設。今では界龍のバックアップをするまでの実力になってるんですからね。」

 

陽乃「別に望んでなかったのにね。私が序列3位になった時からかな?異常に急成長し始めたのは。」

 

 

今では傘下団体が300はある大組織で、運営母体の【界龍】にも融合している。でもお母さんは、何故かそこから動こうとはしないでいる。

 

 

陽乃「なんかさ、界龍に来た私でも少し居づらい時があるんだ。偶に連絡はあるんだけど、ちょっとした手伝いの事だから。」

 

八幡「……しかもその中でも上役の方にいますからね。下手な事をすると幹部の座を降ろされるかも……そういう事ですね?」

 

陽乃「うん。界龍には過激さで知られている工作機関があるけど、母体の方も負けてないからね。その点では私のお母さんも一緒。過激かどうかは分からないけど、必要とあらば何かを切り捨てることの出来る人だから。」

 

八幡「………まぁそういう集まりですからね、統合企業財体は。」

 

 

pipipi…pipipi…

 

 

陽乃「ごめんちょっとでる……っ!?」

 

陽乃「………お母さん。」

 

八幡「マジか、タイミング悪すぎだろ。」

 

 

出ないわけにはいかない。今度は何を言われるのかな?

 

 

雪ノ下母『こんにちは陽乃。』

 

陽乃「こんにちはお母さん。ごめん、これから試合なんだ。後にしてくれるかな?」

 

雪ノ下母『そう……でも大丈夫よ、仕事ではありません。貴方の事よ。』

 

 

………私の?

 

 

雪ノ下母『陽乃、近頃の貴方を影ながら見ていたわ。そこで私は思ったの。貴方は私の会社を継ぐべき人ではないわ。』

 

陽乃「っ!」

 

 

………とうとう見放されちゃったのかな、私。それもそっか。仮面なんてつけてなかったし、やりたい放題だったからね。

 

 

雪ノ下母『……その様子だと、勘違いしているようね。』

 

陽乃「……え?」

 

雪ノ下母『今まで私のいないところでの貴方は、私の教えた通りの仮面をつけていたわ。仕事も完璧にこなしてくれたから助かっていたわ。でも、今の貴方を見ていて分かった事があるの。今の貴方は、本当に楽しんでいるように見えるわ。特にここ半年の期間は。あんなにも楽しそうな笑顔の貴方を見るのは初めての事です。』

 

陽乃「………」

 

雪ノ下母『だから私は決意しました。今の貴方を壊したくない。陽乃、貴方は雪ノ下家に縛られず自由に生きなさい。貴方の進みたい道に向かって。手伝いなら何度でもしてあげるわ。今まで尽くしてくれたお礼です。陽乃、本物の貴方をこれからも私に見せてはくれませんか?』

 

陽乃「………お母さん。」ポロポロ

 

雪ノ下母『貴方はよくやってくれたわ。もういいのです。貴方はこれからの人生を自分で決めていくのです。私ではなく、貴方自身で進んでいきなさい。でもそのかわり、私にも貴方の笑顔を見せてくれないかしら?近頃の貴方のお話も聞きたいわ。』

 

陽乃「………グスッ……もう!お母さんってホントに分からないよ!でも……ありがとう!」ニコッ!

 

雪ノ下母『ふふっ、ペアの方はいらっしゃいますか?』

 

陽乃「八幡くん、いいかな?」

 

八幡「………初めまして。界龍第七学院高等部2年の比企谷八幡です。」

 

雪ノ下母『貴方が……陽乃からよく聞かされていました。一目で陽乃を見破ったと聞きましたが?』

 

八幡「その解釈で合ってます。」

 

雪ノ下母『この星武祭に関わらず、これからも陽乃をお願いします。陽乃は貴方の事をとても気に入っていますので。』

 

八幡「その辺は大丈夫ですよ。界龍には俺だけでなく、陽乃さんを慕う人は沢山いますから。貴方が思っている以上に笑顔ですよ、娘さんは。」

 

雪ノ下母『………序列2位【夢幻月影】の言う事であれば安心です。それと陽乃、これからは人生を楽しみなさい。星武祭が終わったら一緒に食事でもしましょう?』

 

陽乃「……うんっ!」

 

雪ノ下母『星武祭、頑張りなさい。では、失礼。」

 

 

お母さんは最後まで笑顔は見せなかったけど、口元が上がっていた。それに目も優しい雰囲気が出ていた。

 

 

八幡「………またお母さんにやられたんじゃないですか?」

 

陽乃「……そうだね。でも………凄くスッキリしてるかも。なんか身体が軽い。」

 

八幡「俺も分かりますよ。今の陽乃さん、いつも以上に綺麗な感じです。」

 

陽乃「それは告白かな?」

 

八幡「どうでしょうね?」

 

陽乃「ダメだよ、八幡くんにはシルヴィアちゃんがいるんだから。」

 

八幡「っ!!?」

 

陽乃「シルヴィアちゃんの目が完全に普通じゃなかったからね。もしやと思ったけど、そうなんだね?」

 

八幡「はい。でもこの事はできれば………」

 

陽乃「分かってるよ、誰にも言わない。それに今は、星武祭に集中したいしね。」

 

八幡「……かなり開放されてるんじゃないですか?暴れたくて仕方ないって顔してますよ?」

 

陽乃「うんっ!今日は早く終わらせてお母さんとお話したいんだっ!」

 

八幡「……そうですか。」

 

 

もう元気が有り余ってるくらいなんだから!あー早くお母さんとお話したいなぁ。

 

 

 

 

 




雪ノ下建設とお母様の設定が凄すぎるかもしれませんが、大目にみてください!

お願いします!!m(_ _)m

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