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シオンとアルディが戦闘を始めてから4分頃、攻めては防がれの連続で、戦況が完全に膠着していた。
一進一退である。
シオン「………何処から攻撃しても無駄とはな、反則じみているな。その防御力は。」
アルディ「貴殿の攻撃も中々であるが、我輩の防護障壁を破る程ではないようであるな。」
シオン「そんな事を言われて俺が素直に諦めると思うか?」
アルディ「ならばまだ秘策があるというのだな?この戦況を覆すのであれば出し惜しみをしている場合ではないと思うであるが?」
シオン「悔しいがその通りだ。なら俺も遠慮は無しだっ!」
シオンはそう言うと、高く飛び上がり空中で槍をアルディに射程を合わせて構えた。
シオン「この一撃は彗星の如く……」
急降下を始めたと同時に、槍の切っ先からシオンの足までに青白い炎が出てきた。
シオン「仇なす者を貫くは…神火の槍!」
シオン「彗星神武槍っ!!」
梁瀬『おぉ〜と!?シオン選手の槍から青白い炎が出て来ました!!』
チャム『あれだけ高密度な炎を20mくらいしかない高さから出すのは、凄いっスね。彼も相当強いっス。』
※シオンの名前については、のんびりしている八幡によって情報が提供されました。
アルディ「それが秘策であるかっ!」
アルディも正面に障壁を出し応戦する。だがこの時、シオンが押していた。
アルディ「むむぅ〜!!まだまだぁ、なのである!!」
アルディが障壁でシオンを弾き返そうとする。しかし、シオンは余裕の表情だった。
シオン「(掛かった!)アンカー射出!」
アルディ「ムッ!?」
シオンが弾き返されたと同時に、右の機械腕の掌からアンカーを発射させ、アルディの足首に巻き付けた。
シオン「捕らえたっ!」
シオン(こいつは本来、敵を引きつけてから攻撃する技だが、相手が機械な上に重い。自分から攻めるしかないっ!)
アンカーから出ているワイヤーがどんどんシオンの右の機械腕に吸い込まれていき、ついには背中をとっていた。
梁瀬『此処でシオン選手!アルディ選手の後ろを取った!!』
シオン「地獄に…堕ちろ!
首元に取り出した携帯鎌を振った。
シオン(障壁は出せないだろう!これで終わりだ!)
アルディ「そう簡単にはやられないのであるっ!」
アルディは負けじと自身が持っていたハンマーでギリギリ鎌を止めた。
シオン「っ!」
チャム『今の攻撃を防ぐなんて……アルディ選手もシオン選手に劣らずの反応速度っスね。これには驚いたっス。』
アルディ「流石の我輩も焦ったのである。だがこれ以上は「これで…終わりだ!」な、何であるか!?」
シオンの機械部分から全ての武器を取り出し、数十cmという近さで射程を合わせている。そしてシオンも腕から大砲のような銃口をアルディに向けている。
シオン「
またもアルディに攻撃。今度こそは通っただろう。
アルディ「お見事であるが、我輩の障壁を忘れてもらっては困る。」
全方位に障壁を張られ、シオンの大技は無意味となってしまった。
梁瀬『またもシオン選手の攻撃は通りませんでした!やっぱりアルディ選手の防御は堅いですね〜!』
チャム『防御もそうっスけど、アルディ選手の反応やシオン選手の技の多彩さには驚かされるばかりっス。』
シオン「………くっ」
アルディ「お主もここまでのようであるな。あれだけの大技、そう何度も出来るはずがないのである。」
シオン「………俺もまだまだだな。」
八幡「シオン……時間だ。」
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八幡side
シオン「……すまない、八兄。」
八幡「いや、気にするな。見た感じ奴の障壁はお前の火力じゃ無理っぽかったからな。あんだけやれりゃ文句なんてねぇよ。ゆっくり休んどけ。それと、この試合見てくんなら別にいいぞ。」
シオン「八兄……」
さて、その障壁……破ってやるよ。
梁瀬『此処で比企谷選手が動いたぁぁ!!シオン選手と交代してアルディ選手の前に出たぁぁ!!!』
チャム『どんな戦いを見せてくれるのか、楽しみっスね。』
アルディ「今度は貴殿であるか。」
八幡「俺の式神が世話になったな。今から俺になるが、不調があるなら直せ。」
アルディ「いや、そういった類の不調はない。安心してかかってくるのである。」
八幡「そうか、なら………」
八幡『行くぜ、袮々。』
袮々『あいよっ!ハッチ!!』
チャリーン
八幡「俺は
チャム『ま、まさか袮々切丸っ!!?』
梁瀬『ど、どうしたんですかチャムさん?突然大声出して……』
チャム『……今、比企谷選手が持っている刀なんスけど、あれは界龍が所有している純星煌式武装の1つなんスよ。』
梁瀬『ええぇぇぇ!!?』
チャム『自分がいた頃の界龍では使いこなせた人は1人もいなかったっス。それどころか使おうとした本人を全員廃人にしてしまう程のヤバい純星煌式武装っス。』
チャム『しかも自分が来る前や在籍してた頃も、卒業して以降も使いこなせた生徒の情報なんて一切なかったっスから、もしかしたら比企谷選手は……』
梁瀬『その純星煌式武装の初適合者………という事ですか?』
チャム『……おそらく、いや、確実にそうだと断言出来るっス。』
袮々『聞いた〜?流石ハッチだね!』
八幡『いいから集中してろ。今星辰力喰わしてやるから。』
八幡「今の聞いた上で聞くが、始めても大丈夫か?」
アルディ「構わんのである。」
八幡「んじゃ、やるか。1つ言っとく。正面に本気の障壁張っとけ。こいつは手加減なんて出来ん技だ。」
アルディ「我輩の防御を破れる者など誰もいないのであるっ!!」
八幡「………まぁいい。」
八幡「スゥーーーハァーーー。」
八幡「天狼剣・絶技………」
八幡は刀に星辰力を注ぎ込み、刀身を10cmくらい広げた。
そして宙返りをして、後ろに出した星辰力の足場でアルディめがけて飛んでいった。
アルディ「なんであるかそれは!?我輩を愚弄する気か!?」
だがアルディがそう言った瞬間、八幡は空中で回転した。それも超高速で。その速さは高音の音が鳴る程の速さだった。
アルディ「ムッ!?」
アルディも八幡の言葉を理解したのか、素早く正面に障壁を作った。
そして………
衝突したと誰もが思っていたが、アルディの障壁は消えていて、八幡はアルディの後ろで跪きながら剣を鞘に仕舞おうとしている。
八幡「天狼抜刀牙」
チャリーン
鞘に納めたと同時に、何かの金属が落ちる音がした。
そう、アルディの本体である。肩から腹部にかけて刀で斬られたような痕が残り無残にも、次々に落ちていく部品。
観客からは一切の歓声もなく、ただ息を呑んで見ているだけだった。
何せ、比企谷八幡の本気の一部を見てしまったからであろう。
梁瀬『………はっ!アルディ選手の戦闘不能により、エルネスタ・キューネ選手、戦意喪失!!勝者!比企谷八幡&雪ノ下陽乃!!!』
チャム『なんて言ったらいいか分からないっス。これだけ圧倒的な試合を見せつけられるとは思いもしなかったっス。』
梁瀬『本当ですね。比企谷選手のあの一撃、まさか障壁を破っただけでなく、アルディ選手の胴体までも切り裂いてしまうなんて……いやぁ、Hブロックの2回戦1組から異常な驚きが出てきましたね。』
陽乃「私たち、どっちも1発じゃん。」
八幡「しかも相手の擬形体滅茶苦茶にして。やり過ぎましたかね?」
陽乃「もし相手の人たち来たらさ、謝ろうよ。なんかちょっと可哀想だよ。」
シオン「俺も八兄がしたのを見たら……」
八幡「俺のやった事で相手に同情するなよ。俺が悪いみたいじゃねぇか。」
こうして八幡たちは無事2回戦を突破した。
アレンジしたのは、銀牙というアニメの絶 天狼抜刀牙という技です。あんまされてないですけどね。