八幡side
《鳳凰星武祭》8日目、ついに本選が始まるところまで来た。俺たち界龍も順調に勝ち進んだが、そのために仲間同士で試合をするところもあった。
それでも互いに敬意を払い、試合後には勝った方に健闘の念、負けた方に感謝の念を忘れずにとっていた。
それでも界龍は本選出場ペア16組のうち9組が勝ち上がり、半分が界龍同士で戦うことになっている。くじの結果次第では全試合界龍の奴らと戦うことになるだろうな。
その影響もあってか………
今日は鍛錬場が全部使われてた。今日はくじだけだから試合はないし、ゆっくり英気を養ってもいいはずだが、同じ学院のライバルには負けたくないんだろうな。
虎峰「皆さん張り切ってますね。僕たちが鍛錬する場所が八天門場しかなかったですからね。」
陽乃「ホント、今日だけでもすごい予約数だったよね〜。八幡くんの道場しか使えなかったしね。いや〜良かった!」
八幡「別に此処を俺以外で使うななんて言ってないんですけどね。」
冬香「それも八幡さんの威厳があっての事ですよ。この学院で2番目に権力のある生徒なんですから。」
八幡「権力なんて別にいらないんですけどね。星露が使えばいいだけですよ。」
虎峰「まぁまぁ、八幡にも立場がありますからね。師父以上に門下を持っているんですから。」
俺、師匠になったつもりないんだけど?
陽乃「でもさ〜、星露ロクでもないくじ引いてないかな?」
冬香「さぁ?そこは運ですからね。師父を信じるしかありませんよ、陽乃様。」
八幡「……冬香さん、星露信じてなんか良い事ってありました?」
冬香「それを言わないでくださいよ、私もあまり思いたくないのですから。」
やっぱりな………
虎峰「師父なら、大喜びで帰ってくるでしょうね。『戻ったぞい!良い組み合わせになったわいっ!!』とか言って。」
八幡「やめろ縁起でもねぇ。本当にそうなったらどうすんだ?未だに星導館の新旧序列1位のペア2組とガラードワースの銀翼騎士団ペア、レヴォルフのウルサイス姉妹がいんだぞ?全試合そいつらに当たったらどうすんだよ?」
陽乃「まっ、私たちなら楽勝だけどね〜。何せ六花最強の魔術師がいるんだから!」
冬香「ふふっ、そうですね。」
八幡「持ち上げないでくださいよ。」
虎峰「実際そうじゃないですか………」
いや、他にもいるだろ?俺よりも才能溢れた魔術師なんて。
八幡「まぁいい、今日も遅いし飯にするか。今日はどうすっかなぁ。」
陽乃「今日は何作るの?」
八幡「特に決めてませんけど、陽乃さんにはお茶漬けですかね。」
陽乃「ちょっとー!?それ失礼極まりないからね!?」
人の部屋無断で上がってた人が言う事じゃないですよね?
冬香「ふふっ♪八幡さんも悪い人ですね。確か意味は「冬香ちゃん!そういうのは言わなくてもいいの!」ふふっ、失礼致しました。」
虎峰「?何か意味があるのですか?」
八幡「あるっちゃあるが、調べておけばいい。この人がいる前ではするなよ?」
虎峰「はぁ……分かりました。」
うん、物分りが良くてよろしい。
八幡「でも、何にすっかな〜。」
陽乃「ならさ!ラーメンってどうかな?界龍にもあるけど、八幡くんの作るラーメンって食べた事ないし。」
虎峰「確かに八幡の手料理は多く食べてきましたけど、麺類はまだないですね。」
冬香「どうします八幡さん?作るのでしたらお手伝いしますよ?」
八幡「んー、まいっか。じゃあ今日はラーメンとお茶漬けな。」
陽乃「だからそれやめてってばー!!」
あっ、ツッこんだ。
ーーー八幡の部屋ーーー
陽乃「八幡くんって、ラーメンも決まったレシピ使ってるの?」
八幡「まぁ好みがありますからね。俺は塩ベースのあっさり系です。陽乃さんはいつもこれっていうのあるんですか?」
陽乃「私は特に決まったのはないかな。でも、八幡くんの作る味も気になるね〜。」
虎峰「そうですね。界龍にはラーメンの種類はあっても味の濃さは変えられませんからね。八幡のは変えられるんですか?」
八幡「まぁ少しはな。」
虎峰「……流石八幡です。」
冬香「それと八幡さん、先程から思っていた事なのですが………何故鉢巻を?」
八幡「え?ラーメン作るならこれかなっと思いまして。」
陽乃「確かにしてるお店ってあるけどさ、八幡くんってそんなにノリ良かった?」
八幡「まぁこういう時もありますよ。」
虎峰「………八幡がそうしているところなんて初めてなんですが。」
え?マジ?
八幡「まぁいいだろ、これも新しい八幡クオリティだし。」
陽乃「自分で言うんだね、それ。」
冬香「ふふふっ♪こんな一面もあったんですね、八幡さんは。」
ーーー20分後ーーー
八幡「出来ましたよー。俺特製のあっさり系塩ラーメンです。メンマともやしとチャーシューは入ってますけど、ネギはお好みで。」
八幡「後、トッピングでノリと卵もありますから。」
3人「おぉ〜!」
うん、見た目と匂いは良いよな。
虎峰「とても美味しそうですね!」
冬香「えぇ、食欲をそそられます。」
陽乃「私もこんなに美味しそうなラーメンは初めてかな。」
八幡「嬉しい評価ありがとうございます。でも味は保証しませんからね?んじゃ、」
4人「頂きます。」
俺を含め全員が蓮華を持ち、最初にスープを一口啜った。
まぁ俺は知ってる味だから何も言わんが、3人の反応は嬉々としていた。
陽乃「ん〜っ!!美味しい!」
虎峰「とても美味しいです!」
冬香「味の方もしつこくないにも関わらず、しっかりと残ってますね。」
どうやらお気に召したようだ。
その後も俺たち4人は、夕食を楽しみながら雑談をした。
鳳凰星武祭が終わったら、出場した奴らと飯をするのもいいかもな。
久しぶりの食事編でしたね。
因みに余談ですが、116話の『偶然とイジり』のオーフェリアの食べ方ですが、ロクアカのリィエルがイチゴタルトを食べてる時のフォークとナイフを持ってるみたいな感じです。因みにメニューはステーキ。
本当に余談でしたね。