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宋「参るっ!!」
試合開始の合図と同時に、宋が地を蹴り綾斗に向かって突進する。
綾斗も煌式武装で対応するが、対応しきれない方向からの打撃や、肩や肘から放たれる激しく強力な攻撃が続き、全く反撃出来ずに押されていた。
宋「ふむ、やはりあの噂は本当だったようだな。だが、だからといって手加減するつもりは無い。」
それからも宋の激しい攻撃に綾斗は防御に徹するしか無かった。
一方、羅とユリスの方でも同じような戦況が続いていた。ユリスが魔法で隙を作ろうにも、羅の棍術が上達した事もあってか、付け入る隙が全く無かった。
そして最も困ったのは、羅がユリスから全く離れない事だった。これでは作戦を実行しようにも出来ないのだ。
羅「……その程度か?星導館の序列5位と聞いて呆れるぞ!」
ユリス「くっ!」
ユリス(これで本当に序列19位なのか!?この実力、綾斗にも匹敵するぞ!?界龍が桁違いに強くなってるのは分かっていたが、まさかここまでとは……!!)
梁瀬『これは最初から驚きの展開です!!なんと星導館のペアが界龍のペアに一方的に攻められています!!』
チャム『天霧選手は今までのパフォーマンスも無し、星辰力の練り込みもイマイチ、噂は本当だったみたいっスね。』
チャム『リースフェルト選手の方は、単に相性が悪いのかもしれないっスね。』
綾斗「ぐっ!……はぁ……はぁ……」
綾斗(速い……それになんて攻撃の重さだ。剣で受けていても分かるくらい衝撃が強い。アレを決められたら本当にヤバい。)
宋「中々良い動きをする。しなやかで柔軟かつ私の攻撃を受け流してもいる。君も武術を嗜んでいるんだろう。でなければ、この動きについてこれる道理が無い。」
綾斗も攻撃を受けたり躱したりするだけで無く、カウンター覚悟で攻めたりしているが、宋にはまるで読まれているかのように攻撃が当たらなかった。
綾斗「そこまで分かるんですね。流石は界龍の生徒だけはありますね。貴方の技は足の踏み込んだ後に肩や肘を使った攻撃をしてくるようですね。それもとても強い…」
宋「ふむ……君は良い目も持っているようだな。だがそれだけでは、私を倒す事は出来ないぞっ!」
ユリスと羅の戦いも一方通行になりつつあった。羅が攻め、ユリスが防ぐ。これが繰り返されていた。
羅「どうした!?防ぐだけかっ!?それだけでは俺を倒せんぞ!?」
ユリス(これでは作戦を実行したとしても意味が無い!コイツ等の実力がここまで高いとは……流石は【万有天羅】の弟子だ!)
ユリス「全く、素晴らしいとしか言えんな。よくもまぁそれ程の技術を身に付けたものだ。」
羅「これも全て尊師のおかげだな。そうでなければ、お前とこんな試合は出来なかっただろう。」
ユリス「尊師?【万有天羅】をそう呼んでいるのか?変わったものだな。」
羅「確かに俺と宋の師は同じだが、入門する前から世話になっているお方が居てな、そのお方のおかげで我らは此処に居る。」
ユリス「成る程、その尊師とやらのおかげで私達は圧倒されているわけか。」
羅「身も蓋も無い言い方をすると、確かにその通りだな。」
羅「だが、そろそろ決着をつけさせてもらうとする。」
ユリス(そう簡単にやられるつもりは無いが、奴の攻撃を躱すのは少々難しい。ここは剣で防ぐか受け流すかだな。)
ユリスは頭の中で考えていたが、羅は棍の突きをする方だけ収納していた。
ユリス「どういうつもりだ?」
羅「何、勝負を決めるだけだ。」
羅はそう言うと、体勢を低くして収納した棍を片手に構え、手を突き出してユリスの方へと向けていた。
ユリス「【
ユリスは10個程出した炎のチャクラムを羅に狙いをつけて飛ばした。
羅は動か無かった。まるで蛇に睨まれた蛙のように。
羅「ハァッ!!!」
羅が動いたと思ったら、目の前から消えてユリスの1m弱のところまで来ていた。
ユリス(よしっ!なんとか躱せる!)
羅「終わりだ【
羅が棍を突き出すと、収納していた部分が伸びてユリスの校章が砕けた。
梁瀬『ユリス・アレクシア・フォン・リースフェルト、校章破壊!!なんと羅選手、星導館の【冒頭の十二人】を破りました!』
チャム『彼の棍は折りたたみ式だったっスから、リースフェルト選手もそこまで機転が回らなかったんだと思うっス。これは羅選手が一枚上手だったっスね。』
ユリス「くっ……」
羅とユリスの試合が終わり、一方で宋と綾斗の方では……
綾斗「はぁ……はぁ……」
宋「正直君には感服している。私の攻撃をそれ程受けていながらも立っている事に。だがギリギリだろう。ギブアップはしないのか?」
綾斗「正直貴方には勝てる気がしません。それでも、ここまで来て諦めるわけにはいかないでしょう?」
宋「フッ、つまらん事を聞いた、済まない。だがこれ以上君を痛めつけるのは申し分ない。君に敬意を払って私が持つ最大の技で勝負をつけさせてもらう。」
宋は肘に星辰力を纏わせて再び構えた。
宋「この肘は強力過ぎる故、受ける事では無く、躱す事を勧める。」
綾斗(どうする?あの人の攻撃を躱すのは難しい。かといって受けるわけにもいかない。しかも両肘に星辰力を纏ってる上に、こっちは全力も出せない……酷い状況だね、全く。)
宋「行くぞ【叢雲】ッ!!」
綾斗「っ!!」
宋の動きは綾斗が予想していたよりも遥かに速かった。その為に反応が遅れ攻撃を浅くではあるが受けてしまった。
そしてとうとう膝をついてしまう。
綾斗(まともに受けたらマズい事くらい分かってたのに、浅いとはいえこんなに効くなんて……もう、足も動きそうに無いよ。封印解除の影響もあったからかな……でも、悪足掻きくらいはしてもいいかな。)
綾斗は持っている煌式武装を宋の校章めがけて投げたが、あっさりと防がれてしまった。そして綾斗は武器も無くなり身体も動かない。何も出来ない状態だった。
綾斗「………もうダメだ、身体が動かない。
梁瀬『試合終了〜!!勝者、宋然&羅坤展〜!!なんと星導館の【冒頭の十二人】を倒す大金星だぁ〜!!!』
チャム『2人共かなり本気だったっスね。これまでの試合では力をセーブしていたのかな?でも星導館の序列1位を倒したのは本当に凄いっス!』
綾斗「はぁ〜負けちゃったな。」
宋「良い試合だった。」
綾斗「あぁ、準々決勝進出おめでとうございます。頑張ってください。」
宋「あぁ、君達の分まで頑張ろう。さて、控え室まで送ろう。【華焔の魔女】では無理だろうからな。」
綾斗「す、すみません。」
ユリス「やはり、作戦を実行出来なければこのザマか。」
羅「いや、確かにお前達は上手くいかなかっただろうが、我々もこの勢いで行けなければ勝負は分からなかった。俺が【華焔の魔女】、宋が【叢雲】とやる事に決めていたからな。」
ユリス「最初からお前達の術中にハマっていたというわけか。完敗だな。」
羅「俺はもう行くが、今宋が【叢雲】を控え室まで送っているから、ゆっくり歩いて行くといい。」
ユリス「そうさせてもらう、次も頑張ってくれ。」
こうして、《鳳凰星武祭》5試合最後の試合は界龍の宋と羅の勝利に終わった。
羅が使った技ですが、簡単に例えるなら、斎藤一が使う牙突です。