学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

144 / 609
ありえない話を※、お悩み相談室を◎にしました!



◎忍び寄る悪意

ーーーーーー

 

 

此処は六花南西に位置する六学園の1つ、レヴォルフ黒学院である。この学校は日頃から素行が悪いのが有名で、新開発エリアを根城にしている生徒たちも多い。

 

その学院の前に黒主体で緑のサブライトがついた車が停まっていて、エンジンはかかっているが、その場から動く気配は全くなかった。

 

車内には1人の人物がいた。非星脈世代でありながらレヴォルフ黒学院生徒会長であり、【悪辣の王(タイラント)】で有名なディルク・エーベルヴァインだった。

 

そしてその車に近づく影が2つ。

 

 

1つは………

 

 

ころな「か、会長、到着しました!」

 

 

レヴォルフ黒学院の生徒会書記、樫丸ころなだった。もう1つは………

 

 

ディルク「………ふんっ、俺に話があるってのは聞いてたが、まさかテメェだとはな。どうだ、こっちに来て早々に打ち負かされた気分はよ?」

 

???「そんな事はどうでもいいでしょ?それよりも早く本題に入りたいのだけど、乗せてもらってもいいかしら?」

 

ディルク「ふんっ、まぁいい。その本題とやらに付き合ってやるよ、雪ノ下雪乃。」

 

 

星導館学園の雪ノ下雪乃だった。

 

 

ーーー車内ーーー

 

 

車内では運転手とディルク、雪乃の3人だけだが、運転手には2人の会話は聞こえない状態だった。

 

 

そんな2人は少しの間は沈黙が続いていたが、ようやく口を開いた。

 

 

ディルク「本来ならテメェごときの相手なんざしている暇なんてないが、学院の前をいつまでもウロウロされても目障りだからな。話だけでも聞いてやる。ありがたく思うんだな。」

 

雪乃「貴方のところの樫丸さんには感謝しなくてはいけないわね。せっかく貴方と話せる機会を作ってくれたのだし。」

 

ディルク「前置きはいい、さっさと本題に入りやがれ。」

 

雪乃「………そうね、単刀直入に言うわ。私たちの復讐の手伝いをしてもらいたいの。正直に言うと、私たちだけではそれはかなり難しいわ。そこで貴方の力を貸してもらいたいのよ。」

 

ディルク「あ?なんのメリットがあってテメェの復讐の手伝いなんざやらなくちゃいけねぇんだよ?俺がそんなに暇に見えるのか?だとしたらテメェの目は節穴だな。」

 

雪乃「比企谷八幡、貴方もこの名前くらいは知ってるでしょう?今《鳳凰星武祭》で注目されている生徒の名前よ。」

 

ディルク「………」

 

雪乃「それに、オーフェリア・ランドルーフェン………彼女、訳は知らないけれど、彼にご執心のようね?」

 

ディルク「………テメェ、一体どこまで知ってやがる?」

 

雪乃「あら?カマをかけたつもりだったのだけど、案外簡単に引っかかってくれたわね。これで貴方にも、彼に対して何かしらの不満がある事は分かったわ。話を続けてもいいかしら?」

 

ディルク「チッ、食えねぇ女だ………」

 

 

ディルクも少し焦っていたのだろうか?雪乃の言葉に反応してしまった。普通ならこんな些細なミスはしないだろう。だが今の駆け引きでは雪乃の方が1枚上手だったようだ。

 

 

ディルク「テメェが俺たちの事情を知ったところで何になる?テメェには何の関係もねぇ事だ。それに、他学園のテメェが俺に話があるってのも不自然過ぎる………まぁ、今はもうどうでもいい。話を続けろ。」

 

雪乃「その比企谷くんが私たちの復讐したい相手よ。そこで貴方には、何処か良い場所を提供してもらいたいのよ。出来れば使われなくなったビルとか、廃墟が好ましいわ。」

 

ディルク「………何だ、それだけか?」

 

雪乃「えぇ、彼を誘う手札はこっちが既に用意してあるわ。後は場所が欲しいだけだもの。他はないわ。」

 

ディルク「………その手札ってのは?」

 

雪乃「彼の妹、比企谷小町さんよ。彼女は元々私たち側の人間だから協力してもらってるわ。」

 

ディルク「妹1人に奴が動くとは思えねぇがな………おい、奴が動くっていうその根拠はあるのか?」

 

雪乃「えぇ、彼はシスコンだもの。妹である小町さんに何かがあれば、絶対に反応があるはずよ。」

 

ディルク「お前の考えは理解したが、俺には何か得があるのか?こうして聞いてりゃ、ただ場所を提供しただけで終わりに聞こえるんだが?役割損だなんてゴメンだぜ?」

 

雪乃「勿論、タダではないわ。彼には私たちへの謝罪、《鳳凰星武祭》の決勝不戦敗、そしてオーフェリア・ランドルーフェンさんとの絶縁を要求するのよ。貴方にとっては悪い話ではないと思うのだけど?貴方の名前は出さないし、レヴォルフの事も一切口外したりしないわ。」

 

ディルク「………テメェらがやってくれるってんなら良い話じゃねぇか。いいぜ、協力してやるよ。だがくれぐれも俺の事は話すんじゃねぇぞ。いいな?」

 

雪乃「交渉成立ね。じゃあ場所なのだけれど………」

 

 

そして2人は細かい内容を話し合い、計画を練り終えてから車は停まり、雪乃は車を降りた。そしてその車の方は用済みだと言わんばかりに挨拶も無く走り去って行った。

 

 

雪乃「………ふふふっ、舞台も整ったわ。これでようやく貴方を跪かせる事が出来るわ。待ってなさい、比企谷くん。」

 




八幡「八シルお悩み相談室だ。」

シルヴィア「今日もズバッと行っちゃおうか!」

冬香「梅小路冬香です。最近料理に力を入れているのですが、1つ下にいる後輩のように上手く出来ません。何かアドバイスをくれませんか?」

※料理はシフォンケーキ。

八幡「そうだなぁ……だったら卵の量を増やしてみたらどうだ?3つは少し少な過ぎるから5個とかにしてみるとか。」

シルヴィア「卵白も泡立つまで手動ミキサーでかけてみたらどうかな?そうしたら出来上がりが少し良くなるかもよ?」

冬香「そうなのですか。参考になりました。では、次に作る機会がありましたらそのようにしてみます。」

シルヴィア「一件落着だねっ!」

八幡「質問者が真面目な人で良かった。」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。