八幡side
その後、客間や他の食堂に行った。界龍って同じ構造物しかないのか?これだと迷子になりそうだ……
そうして暫く廊下を歩いていると、今度は札がたくさん貼られている門の前に着いた。ひょっとしてここか?目的の場所って?見るからに不気味そのものの雰囲気なんだが?
陽乃「はい、到着。ここが水派の鍛錬場。木派は武術みたいに身体を使った派閥だけど、水派はその逆の星仙術を使った技を戦術とする
八幡「そうなんですか……でもこの扉に貼られた札の数、流石に多過ぎませんか?いや、門どころかそれ以外の場所にもかなりの量が貼られているせいで不気味っスよ。」
正直、開けたくない……だって怖いもん。何でこんな怪しさマックスにしちまったんだよ。新入生とか俺みたいな転校生、絶対近寄らないぞ。
陽乃「まぁ確かに雰囲気は木派に比べたら圧倒的に良くないよね。今はもう慣れたけど、私も最初はちょっと近寄りがたかったかなー。」
八幡「でも、この水派にもやっぱり強い奴はいるんですよね?木派にいる虎峰みたいな奴が。」
陽乃「そうだね~。比企谷くんの知ってる人では、昨日会ったセシリーだけかな〜。星仙術の扱いが上手いのは。セシリーも冒頭の十二人入りしてるからね。それでいて武術も使うから私よりも扱いは上手だと思うよ。」
八幡「雪ノ下さんは星仙術を使わないんですか?」
陽乃「私?私は合気道との組み合わせで使ってるよ。あれは応用効くからね〜。その分、安定性には少し欠けるけどね。これは星仙術の特徴だね。」
八幡「俺も星仙術はある程度は習いましたが、あんまり上手くいってはいなかったんですよね。それってやっぱ鍛錬あるのみって感じなんですか?」
陽乃「星仙術には色んな使い方あるからね~。例えば私のはシンプルで、攻撃する時にその部分に包み込む感じかな。私の戦闘スタイルが近接格闘型だからね〜。」
八幡「はぁ、そうなんですか。」
星仙術も武術と同じで戦い方や戦術次第では色々な形になりそうだな。俺も雪ノ下さんのやり方を参考にしてみるか。あっ、そういや木派と水派は仲が悪いって言ってたな……それってどういう意味なんだ?仲が悪くなりそうな理由が全く無さそうなんだが。
八幡「そういえば雪ノ下さん、木派と水派の仲が悪いって聞いたんすけど、それってどういう事なんですか?」
陽乃「あ~やっぱり気になるよね。実はそれね?所謂どっちもどっちって感じなんだよね~。」
八幡「………つまり、どういう事ですか?」
陽乃「単純だよ。星仙術は
八幡「……なんか、意外と子供っぽい理由ですね。そんな理由だとは思わなかったです。」
陽乃「多分、お互いに嫉妬してるんだと思うよ。羨ましいけど悔しい……自分には持ってなくて彼等は持ってるから羨ましい、みたいな感じかな。きっとそういう感情はお互いが感じてる筈なんだけどね。納得できないからこんな状況になってるんだよね。」
ここにもそういうのあるんだな。そういう意識の差みたいなの無いと思ってたけど、才能とかでも生まれたりするんだな。
八幡「そうなんですか……色々あるんですね。俺にはどっちが良いかなんて決めらんないですけどね。得手不得手や長所短所があるんですから。」
陽乃「別にどっちかに入れって決まりはないよ。私なんて今でも両方に行ってるよ?それでも誰かに何かを言われたりしないしね。比企谷くんもそうしたら?最初はやっかみ受けるかもだけど、その内なくなるよ。」
八幡「それは雪ノ下さんだからだと思うんですけど……そうっスね。まぁ、最初の内はそうします。それに俺は星仙術の鍛錬を積んだ方が良さそうですので、水派に寄るのが多くなりそうですね。」
まぁ、星仙術も修行したいしな。それにどっちにも行けるならそれに越した事はない。俺も雪ノ下さんみたいに両方行く事にしよう。
陽乃「うん、そうしなよ。さて、学院の案内はこれで大体終わりかな〜。よしっ!じゃあ次は都市に行こうかっ!」
………え?都市に?今からか?
八幡「……え?あの、俺そんなの聞いてないんですけど。」
陽乃「そりゃ今言ったからね!それに案内するんだったら、どの道早い方が良いと思わない?」
八幡「いや、それはそうですけ「はい決まりー!それじゃ早速、外に行こー!」ち、ちょっと!腕引っ張らないでください!」
こうして、俺は学院だけではなく、学戦都市の案内にも逝く事になった。え、字が違う?気にすんなよそんな事。それから雪ノ下さん、そういうのは先に言ってくれませんかね?