学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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なんか書いてる途中の自分でも燃えてきました。
風邪気味なのに………



※驚愕の成長

ーーーーーー

 

 

2人「参りますっ!!」

 

八幡「っ!?」

 

陽乃「ウソ!?速っ!?」

 

 

永成と銀梅は始まりのブザーが鳴った瞬間に、それぞれの相手へと攻めていった。銀梅は八幡に、永成は陽乃へと向かっていった。しかも迫って来るその速さは八幡たちが予想していたものを遥かに上回る速度だった。

 

 

2人の予想外の速度に気圧されたのか、八幡と陽乃は咄嗟に左右に分かれた。その意味は1対1に持ち込む為の戦術でもあった。だがこの左右に分かれた動きは半分無意識の動きでもあった。

 

 

陽乃(これは笑ってられる余裕なんてないね………それに、あの速さだけでも分かる、明らかに強くなっちゃってるよね〜あの子たち。逞しくなり過ぎだよ。)

 

 

永成「流石は雪ノ下師姉です。あれくらいは躱してくれなければ勝負になりませんからね、反応してくれてよかったです。」

 

陽乃「………全く、これじゃ手なんて抜けないね。じゃあ私も少し真剣に行かせてもらおうかな。」

 

永成「そうでなくては困りますっ!」

 

 

永成は鉤爪に対し陽乃は素手。これだけでもハンデは充分だが、永成と銀梅が格段にパワーアップしている事に陽乃も八幡もかなり驚いていた。その証拠に、予選で見せていた相手の動きを探るような余裕は一切ないに等しかった。

 

 

永成「ふっ!………はぁっ!」

 

陽乃「っ!」

 

 

相手が刃物を使っているため、攻め切れない陽乃。しかし、その目は今までに見せてこなかった真剣な眼差しとなっていた。

 

 

陽乃「………」

 

永成「………」

 

 

少々永成が有利な状態で睨み合っている。攻め切れないのも分かるが、陽乃が無傷とはいえ此処まで苦戦したのは誰も見た事がないであろう。観客の誰もが騒然としていた。それもその筈、序列20位以下の学生が冒頭の十二人の中でも上位の序列4位を今の時点で押しているからである。

 

 

陽乃(どうしようかな………流石のお姉さんも想定外だよ。このスピードにパワー、技術も身についちゃってる。この2人、絶対20〜10位以内に入れるよ。さて、本当にこれからどうしようか……)

 

永成(取り敢えず私のペースには持ち込めた。けど師姉の事だから、すぐにペースは持っていかれちゃうと思う。その前に少しでもいいから傷か致命傷を与えないと!)

 

 

 

 

一方で八幡と銀梅の方だが、こっちの方も膠着状態が続いていた。攻めては防ぐの繰り返しでお互いにまだ致命傷も与えていなかった。

 

 

銀梅「………流石は尊師です、私の攻撃や技が全く通りません。鍛錬を重ねてきたので少しは自信があったのですが……」

 

八幡「それはこっちの台詞だ。この短期間でえらい強くなりやがって。一体どんな鍛錬してきたんだよ………俺にも教えてほしいくらいだ。」

 

銀梅「お褒めに預かり光栄です。ですが、いつまでもこのままじゃ格好がつきませんので、思い切り攻めさせてもらいます!」

 

 

銀梅は攻め続けているが、八幡は防いでは一撃だけで決定打は未だに決めていなかった。八幡が主に使っている詠春拳は攻防一体の拳法で均整の取れた武術だが、攻めは一打ずつするのが基本の拳法。故に勝機が見えない状態では無闇に攻撃に転ずるのは自殺行為なのだ。

 

 

八幡(詠春拳(こいつ)でやるのはもう無理があるな。銀梅の攻撃を受けてもう分かりきっているが、銀梅にはもう拳法は通じねぇな。なら俺も武器を使うか。)

 

 

銀梅「はぁっ!」

 

 

チャリーン、ガキィンっ!!

 

 

八幡はついに祢々切丸を鞘から抜刀し、銀梅の一撃を受け止めた。

 

そして八幡は後方に下がり、居合いの構えをとっていた。だが祢々切丸は鞘に入れておらず、左手の指で輪を作ってその中に刀の腹をくっつけていた。

 

 

八幡「堕ちし光のなき地は、闇夜の空の月光にて、地を照らす。」

 

 

するとフィールドは闇で覆われ、視界がゼロの状態になった。そして次第に銀梅の視界も闇へ閉ざした。

 

 

銀梅(これが………大師兄を打ち破った技!凄い、周りが暗くて全く見えない。目に頼ると絶対に見破れない。今までの私だったら、絶対にこんなの対処できない………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど、今の私なら!!)

 

 

八幡「影切・月下無双」

 

 

 

 

 

 

チャリーン

 

 

銀梅「……そこっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガギイィィィンッ!!!

 

 

八幡「っ!!?」

 

 

 

八幡は音だけで全てを悟った、視界ゼロの状態でこの技を防いだ。初めてだった、この技は目が見えなければ音も殆ど無い。つまりは気配のみで相手の攻撃を予測する以外方法はないと言ってもいい。

 

 

銀梅「く、くぅ〜〜〜!」

 

八幡「………マジかよ。」ニヤッ

 

 

 

八幡の代名詞ともいえる技が、初めて誰かの手によって防がれた瞬間だった。銀梅は苦しい表情をしながらも、自身の持っている旋棍で確実に八幡の愛刀【祢々切丸】を受け止めていた。この事実に再び八幡が驚かされた瞬間だった。

 

今の状況、観客は愚か誰も予想だにしていない展開になっている。下剋上のようなものだ、序列下位のタッグが序列上位のタッグに食らいついている状況だからだ。しかも一方は不利な戦況を迎えつつある。

 

だが、その時の八幡は何故か笑っていた。とても嬉しそうに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当はあり得ない話その10
『オーフェリアお姉ちゃん?』






オーフェリア「立場を逆転してみよう!」

八幡「………突然どうした?」

オーフェリア「うんとね?私ってお兄さんに凄く甘えてるじゃん?」

八幡「まぁ、そうだな。」

オーフェリア「甘えていない日がないくらい甘えてるよね?」

八幡「そりゃ毎日会ってるからな。」

オーフェリア「そこで私は思ったの!お兄さんは誰に甘えてるのかって!」

オーフェリア「考えてはみたけど、シルヴィアさんくらいしか思いつかなかった♪」

八幡「まぁ……確かにそうだな。」

オーフェリア「そこで私は今日だけお兄さんのお姉ちゃんになろうと思いました!」

八幡「………何故そんな結論になった?」

オーフェリア「細かい事はいいの!ほ〜ら、お兄さんも私の事“お姉ちゃん”って呼んでいいんだよ!」

八幡「いや、俺がそんなこと言うの、なんか気持ち悪くないか?」

オーフェリア「何言ってるのお兄さん!?このワードは学戦元ボッチの一度は言われてみたいワードランキング第2位なんだよ!?」

八幡「何だよその変なランキング……ちなみに1位は何なんだよ?」

オーフェリア「ん?同点1位でお兄ちゃんとお兄さん♪」

八幡「………全部兄か姉じゃねえのか、このランキング?」

オーフェリア「と・に・か・く!言ってよ〜!」

八幡「……俺はどっちかっていうと、今のお前が良いんだがな。」

オーフェリア「え?どういう事?」

八幡「そういう性格のお前だからこそ俺は癒されてるんだが、それでも姉って呼ばれたいか?なら呼んでやるが……」

オーフェリア「お姉ちゃん辞めた!私ずっと妹でいる!」

八幡「えっ!?変わり身早っ!?」

オーフェリア「だってお兄さんに甘えられるし、癒されるから!それに、お兄さんもそう思ってるなら、私が甘えていた方が一石二鳥!2人合わせて二石四鳥だよ!」

八幡「………まぁ、俺はその方が良い。」

オーフェリア「うん♪それでね?1回だけお姉ちゃんって呼んで?」

八幡「結局かよ……」


お姉ちゃんとは呼ばれなかったね。

あと、あんなランキングありませんからね?

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