学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

160 / 609

これで決着!!
準決勝も終わりです!



決着と誇り

 

 

ーーーーーー

 

 

陽乃と永成の勝負は終わり、残るは八幡と銀梅の試合だけとなったが、観客からも分かるように一方的な試合になっていた。

 

 

銀梅「くっ、風波(ふうば)っ!」

 

 

銀梅も攻撃するが、いとも簡単に防がれてしまう。

 

 

一方的な試合になっている理由は、八幡が空を飛んでいるからだった。それも素早く動いているため狙いが定まらないのだ。

 

さらに、八幡は遠距離からの攻撃を繰り返しているのにもあった。祢々切丸による風の力が宿った斬撃、翼の羽による嵐、鎖分銅による打撃などがある。

 

 

対して銀梅は、旋棍片手に1つ。あまりにも相性が悪いのだ。

 

 

銀梅(狙撃とかそういうのは対処出来るようにしておいたけど、あんなにも遠距離攻撃にバリエーションがあったなんて、まるで考えてもなかった。流石尊師……武器の使い方も段違い。)

 

八幡(このまま飛び回ってるのもいいが、それじゃ銀梅が攻めてこれないだろうしな………降りるか。)

 

 

すると八幡は銀梅の正面に降りて、黒い翼を背中から消した。

 

 

八幡「こっからは真剣勝負だ。空中で戦ってたんじゃ面白くないからな。特にお前みたいな近接特化の奴ならな。」

 

銀梅「………」

 

 

銀梅(やっと……戦える。本気の尊師と………ようやく戦える。)

 

 

銀梅は自身の感情に昂りを感じていた。憧れの相手と戦える喜びと嬉しさ。彼女にとっては願ったり叶ったりの展開だった。

 

銀梅は再び包拳礼をとり、一礼をした。

 

 

銀梅「尊師、お手合わせお願いします。」

 

八幡「……あぁ。」

 

 

銀梅は呪符を取り出し、先程と同じ呪文を唱えて旋棍につけた。そして再び風の刃が現れ、いつでも踏み込めるように体勢を整えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀梅「はぁっ!!!」

 

 

仕掛けたのはやはり銀梅。八幡は動かずに刀を下段に構えながら待っていた。

 

銀梅の初手は突くか斬るかのどっちかだった。旋棍をそのまま先端で突くか、銃のように持ち替えて振り下ろすかの2つだった。八幡もこれを警戒しているのだろう。

 

 

そして銀梅は予想通り、旋棍を持ち替えて銃を持つような持ち方に変えていた。

 

 

そのまま切りかかってきた

 

 

 

 

銀梅「斬風弾(ざんくうだん)!!」

 

 

八幡(っ!?撃ってきただと!?)

 

 

予想外な事に銀梅は旋棍に宿していた風の力を銃弾のように飛ばしてきたのだ。

 

 

八幡は咄嗟の事に反応が遅れ、刀で防ぐも距離が近く風も弾け飛んでいた事もあり、腕に無数の切り傷を負ってしまった。

 

 

八幡(まさかこの状態で傷を負うなんてな………俺もまだまだか。)

 

 

銀梅「はぁーー!!」

 

 

その勢いに乗り、銀梅はすかさず攻撃を仕掛ける。八幡も銀梅に突っ込み、鍔迫り合いになった。

 

 

八幡「さっきの、中々の奇策だったな。俺も驚いちまった。だが、俺もこのままじゃ終われねぇからな。大人気ないが、ちょいとゴリ押しでいかせてもらう。」

 

 

八幡はそう言うと、銀梅を力で押し返して、腰に巻いてあった鎖分銅で銀梅の腕と旋棍を巻きつけ、地面に叩きつけた。

 

 

銀梅「うっ!」

 

 

地面に叩きつけられた銀梅だが、それだけで諦めるような子ではない。再び八幡に攻めようとするも出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡の姿が見えないからである。

 

 

銀梅(え?何処?一体尊師は何処に!?)

 

 

辺りを一周見渡すも八幡の姿は見当たらず、銀梅だけが残っていた。

 

 

八幡『明鏡止水。水面(みなも)に写る水鏡は波紋をたてると消える。水面に波紋をたてたままの状態では、俺を捕らえる事は出来ないぞ。どうする?』

 

 

どこからともなく八幡の声が聞こえるが、全く分からない。しかも逆に姿が見えないせいか、何処にでもいるような錯覚に陥ってしまっていた。

 

 

銀梅(さっきとまるで違う!全く気配を感じない!)

 

 

銀梅も構えてはいるが、八幡のいる方向、音、風も感じないため何も出来ないでいた。これは八幡の魔術師としての能力でもあった。

 

 

幻……幻惑と言ってもいいだろう。それが八幡のもう1つの能力だった。

 

 

八幡(潮時だな……)

 

 

八幡『花咲く池に、浮かぶ水鳥は、波をあおげば、飛び消える。』

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡『水刃(すいじん)・花鳥風月。』

 

 

 

 

チャリーン

 

 

 

鈴の音と同時に八幡が現れた。それと、何かが落ちる音もしていた。

 

 

銀梅の校章だった。

 

 

梁瀬『徐銀梅、校章破壊!!勝者、比企谷八幡&雪ノ下陽乃〜!!』

 

 

開始した時よりも激しい大歓声が響き渡っていた。

 

 

八幡「ふぅ〜、やっぱ2つの技を併合して使うとなると結構疲れるな。」

 

銀梅「………尊師。」

 

八幡「ん?おぉ、お疲れさん。」

 

銀梅「お相手して頂きありがとうございました。私もまだまだでした。」

 

八幡「そう卑下するな。こんな言い方するのもアレだが、お前は俺に傷をつけたんだぞ?現役では2人目だ。暁彗に次いでな。見ろ、この切り傷。アレには驚かされた。」

 

銀梅「…………」

 

八幡「こんな時くらいは自分を誇れ。準決勝まで勝ち進んで、格上にも傷をつけさせるだけの善戦をした。良いじゃねえか。」

 

銀梅「………」(グスッ)

 

八幡「またやろうぜ?今度は最初から手加減なしでな。」

 

銀梅「……はいっ!!」(ポロポロ)

 

 

 

 

そして準決勝は終わり、残すは決勝のみとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





なんか憑霊した意味あんまりなかったような………

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。