学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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案内? 後編

 

八幡side

 

 

陽乃「おっ!着いた着いた。ここが私のお気に入り!はやく入ろっ。」

 

 

ここに来るまでは、六学園の事と六花(アスタリスク)の都市中央区にある【行政エリア】【商業エリア】【外縁居住区】【ステージ】【新開発エリア】について教えてもらっていた。

 

簡単に説明すると、

 

行政エリア…六花(ここ)の統治。

商業エリア…色々な飲食店、雑貨屋がある。商店街と言ってもいい。

外縁居住区…大雑把に言うと、近郊(きんこう)だな。

ステージ…メインステージでは毎年星武祭(フェスタ)が行われていて、大規模ステージが3つ、中規模ステージが7つ、小規模はいくつもあるらしい。

新開発エリア…不良生徒が根城にしていて暗黒街とも呼ばれている。

 

まぁ大体こんなもんだ。後は過ごしていくうちに覚えていくから大丈夫だろう。確信は無いけど。

 

 

陽乃「何してるの?ほーらっ!」グイグイッ!

 

八幡「じ、自分で歩けますって。」

 

 

まぁ、こんな説明を受けながらも、()()()目的地に着いた。見た所イタリア料理店だった。

 

 

皆さんなら意味分かりますよね?『カ』から始まって『ザ』で終わるとこですよ。

 

 

中に入り席まで案内してもらう。なかなか雰囲気良いし、落ち着けるな。うん、この店なら俺1人でも入れそうだ。

 

そう思っているうちに席に着いたようで、座席に座ってメニューを受け取ると、店員は行った。

 

 

陽乃「比企谷くん、ここのオススメはガーリックトーストだよ。上にのっている野菜とマッチしていて凄く美味しいんだよ。」

 

八幡「は、はぁ……」

 

陽乃「さーて、何食べよっかなぁ~?」

 

 

さて、俺も何食うか選ぶか……

 

 

数分後、お互いメニューが決まったので呼び鈴を鳴らして店員を呼び注文を済ませると、雪ノ下さんが少し驚いた様子だった。

 

陽乃「驚きだなぁ。比企谷くんが私の言ったオススメを注文するなんて………」

 

八幡「以前なら疑ってましたが、もうそんな事しないでしょ?これでもちょっとは信用してるんで。」

 

陽乃「……うん、ありがとう。さて!それじゃあ続きするね。3つ学園残ってたね。次は〜、なんとクインヴェールだよ!」

 

八幡「なんか名前からして女子校だと思うんですけど。」

 

陽乃「おっ!鋭いね〜。クインヴェール女学園はその名の通り、女子校だよ!でぇ〜もぉ〜、だだの女子校じゃないんだな〜。」

 

八幡「……どういう事です?」

 

陽乃「この女学園はね………アイドルが多いんだよ〜!どう?そそる?興味ある?お近づきになりたい?」

 

八幡「いや全然全くこれっぽっちも。」

 

陽乃「えー!そんなの嘘だよー。1人くらいいるでしょ~?興味あるアイドルの1人くらい。」

 

 

いや、嘘ではない。本当にアイドルには興味ない。だって想像してみろよ。ペンライト持って半被(はっぴ)着ながら叫んでる俺。気持ち悪過ぎんだろ……自分で言ってて悲しくなってくるな。

 

 

陽乃「まぁ比企谷くんだしね。」

 

八幡「ちょっと?それどういう意味?」

 

陽乃「別に〜。それじゃ次ね。次は星導館学園だよ〜。此処は他と比べてズバ抜けている所はあんまりないかなぁ。魔術師と魔女が比較的多いくらいかなー。」

 

八幡「まぁ言っちゃあ悪いですけど、学校名にもそれといった特徴的なものがなんもなかったですよね。」

 

陽乃「でも、初めの頃は凄かったみたいだよ。三冠制覇(グランドスラム)を制した事もあるみたいだし。それに、この学園は純星煌式武装(オーガルクス)の保有量が六学園中一番みたい。」

 

八幡「純星煌式武装?」

 

陽乃「知らない?普通のは煌式武装(ルークス)って言って、マナダイトを使うんだけど、純星煌式武装はそれよりも純度の高い鉱物、ウルム=マナダイトを使ってるんだよ。」

 

八幡「そうなんすか……」

 

 

まだ知らねー事だらけだな。こっち来てからどんだけ勉強すりゃいいんだ俺?

 

 

陽乃「じゃあ最後ね。聖ガラードワース学園っていって今1番強い学園かな。総合優勝の数もトップで、規律と忠誠が規則で凄く厳しいみたい。決闘(デュエル)も原則禁止だからレヴォルフとは相性が合ってないの。」

 

八幡「学校名もなんか正反対ですからね、聖と黒ですもんね。」

 

陽乃「ちなみついでだけど、ガラードワースの冒頭の十二人(ページワン)銀翼騎士団(ライフローデス)って呼ばれていて聖騎士って言うみたいだよ。」

 

八幡「………なんか厨二くさいですね。」

 

陽乃「言わないであげてよ。多分あっちは本気だから。」

 

 

でもなー……こっちから見たらちょっと痛いぞ。材木座程じゃないが、西洋の文化入れすぎだろ。

 

 

店員「お待たせしました。」

 

陽乃「おっ、ちょうど来たね〜。タイミング良い!」

 

店員「以上で宜しかったでしょうか?」

 

陽乃「はい、ありがとうございます。さー食べよっか比企谷く……どうかした?」

 

八幡「いや、あの…この店のオススメってこのガーリックトーストなんですよね?」

 

陽乃「?……そうだよ?どうして?」

 

八幡「俺………実を言うとトマト駄目なんですよ。」

 

陽乃「……………………え?」

 

 

しばらく沈黙が続いた………

 

 

八幡sideout

 

陽乃side

 

 

陽乃「はい、ありがとうございます。さー食べよっか比企谷く……どうかした?」

 

 

なんか顔青いけど、どうしたんだろう?具合悪いのかな?

 

 

八幡「いや、あの…この店のオススメってこのガーリックトーストなんですよね?」

 

陽乃「?……そうだよ?どうして?」

 

八幡「俺………実を言うとトマト駄目なんですよ。」

 

陽乃「……………………え?」

 

 

え!?比企谷くん、トマトが嫌いなの!?どうしよう?オススメした料理がまさか嫌いな食べ物があったなんて……

 

 

陽乃「えっと……ごめんね。まさか嫌いな食べ物があるなんて思わなかったからさ。私が食べるよ。」

 

八幡「いえ、いい機会です。」

 

陽乃「え?」

 

八幡「ちょっと好き嫌い多いって思ってたんスよ。これ食べてみようと思います。」

 

陽乃「ム、ムリしなくていいよ?好きじゃないんでしょトマト?」

 

八幡「嫌いですけど、克服したい気もあったんすよ。これならちょうどいいです。ダメだったらお願いしてもいいっスか?」

 

 

………本当にいいのかな?

 

 

陽乃「別にいいけど……本当に大丈夫?」

 

八幡「…出来れば、骨は拾って頂けると嬉しいです。」

 

陽乃「良い事言ってるだろうけど、あんまりカッコよくないからね?トマトじゃ死なないよ?」

 

八幡「……じゃあ、逝きます。」

 

 

うん……なんか『行く』の字が違ったような気がするけど、私はツッコまないからね。

 

 

八幡「………」ガプッ!

 

 

あっ……食べちゃった………

 

 

八幡「………」

 

八幡「…………………」

 

八幡「……………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「……………………美味い。」ボソッ

 

 

陽乃「…え?なに?」

 

八幡「美味いです!こんな美味いトマト初めてです。これなら食べられます!」

 

陽乃「そ、そう……良かったね。」

 

 

こうして比企谷くんはトマト嫌いを克服した。けど、この食べっぷりは本当にトマトが嫌いだったのか疑いたくなるなー。

 

 

 

 

 

 




自分でも思いました。案内というよりも学校紹介の方が近いですよね。

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