学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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今回はシルヴィアの回です。

一応この回だけの予定です。




乙女の本気&暴走

 

ーーーーーー

 

 

時は少し遡って11時20分、八幡と別れ、シルヴィアがVIPルームに入る直後の様子である。流石に緊張は解けていないようだ。

 

 

シルヴィア(行きたくないけど、行かなきゃ始まらないもんね。これも八幡くんと一緒に居るため!頑張らなきゃ!)

 

 

そしてシルヴィアは意を決してVIPルームの中へと入っていった。

 

 

中にはやはり統合企業財体の幹部や週刊誌や取材班の偉い人たちがいた。シルヴィアが入ってきたのを確認すると、一部はカモがネギ背負ってきたと言わんばかりの顔と視線を彼女に浴びせた。

 

スキャンダル狙いではないのだろうが、シルヴィアに恋人がいる可能性が出てきたとなると、普通の反応だろう。

 

そしてシルヴィアとペトラが小声で話を進めていた。

 

 

ペトラ「来たわね、シルヴィア。」

 

シルヴィア「ペトラさん、もしかしてこの人たち……」

 

ペトラ「えぇ、ずっと待ち伏せしてたわよ。本ッ当情報といい行動力といい、無駄に動くのが早いのよね。まるでゴキブリじゃない。」

 

 

シルヴィア(ペトラさん……それは流石に言い過ぎなんじゃあ………)

 

 

シルヴィアは軽く此処にいる取材班の人たちに同情した。

 

 

シルヴィア「ねぇ、ペトラさんは私と八幡くんの「賛成に決まってるじゃない。そうでなければ、とっくに別れさせてるわよ。」………。」

 

ペトラ「それとも別れたいの?」

 

シルヴィア「ううん、どんな事があっても絶対別れない。それに八幡くん以外の男の人なんて考えてないよ。」

 

 

ペトラ(ほら即答。この子もそうだけど、八幡くん……貴方シルヴィアを惚れさせ過ぎよ。この子にここまで言わせるなんて。)

 

シルヴィア(当然だよ!私と八幡くんは、もう赤よりも赤い愛で結ばれてるんだから!!………本心でも、こういう台詞って意外と恥ずかしいなぁ///)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○社「あのぉ〜シルヴィアさん、少しお聞きしたい事があるのですが、宜しいでしょうか?」

 

 

さっきまで静かだった記者の1人が漸く私に話し掛けた。

 

 

シルヴィア「はい、私に答えられる範囲であればお答えします。」

 

○○社「では、こんな場所で無礼ではありますが失礼します。今朝方、今回の鳳凰星武祭のファイナリスト、比企谷八幡選手に腕を抱きながらの来場になられましたが、あれは事実ですか?」

 

シルヴィア「はい。皆様がどのような形で知ったかは分かりませんが、彼と一緒にこの会場に来たのは事実です。」

 

○○社「そうですか。続けても宜しいでしょうか?」

 

シルヴィア「はい、どうぞ。」

 

○○社「ネットの書き込みでは、『まるで恋人同士のよう』だとありますが、彼と恋人関係だったりはしますか?非公式の場で非礼とは思いますが、お聞きします。」

 

シルヴィア「はい、事実です。私シルヴィア・リューネハイムは去年の12月に行われた『王竜星武祭』が終了した夜に、界龍第七学院の比企谷八幡さんに交際を申し込まれ、恋人関係になりました。」

 

 

一斉に周りがざわつき始めた。あの書き込みは本当だったのかやら、あの世界の歌姫に恋人やらと記者やカメラマン、あの統合企業財体の幹部までもが耳を傾けて聞いていたのだ。

 

 

○○社「えっと、何故その事を発表しなかったのですか?大変喜ばしい事だと思いますが……」

 

シルヴィア「私的には公表してもよかったのですが、お相手の比企谷さんはそれを望んではいなかったので今日まで伏せていました。今回の件では彼も了承済みです。」

 

○○社「………最後に1つお聞きします。現状で貴女は幸せですか?」

 

シルヴィア「はい、勿論。」

 

 

シルヴィアは笑顔で即答した。この笑顔には納得せざるを得ないと思う人もいた。

 

 

○○社「………聞きたかった事は以上です。すみません、こんな場所で。」

 

シルヴィア「いえ、普通なら大騒ぎになっても不思議ではありませんので。」

 

 

礼儀の良い記者さんだなっとシルヴィアは思いながらリラックスを始めた。

 

 

△△社「いやいや○○社さん?その質問優し過ぎません?もっと聞きましょうよ。」

 

 

突然口を挟んできた別の記者、芸能界にも少し詳しいシルヴィアにはすぐ分かった。この2つの会社はライバル同士なのだ。

 

 

○○社「お言葉ですが△△社さん、この場は公式の場ではありません。その場であれこれお聞きするのはシルヴィアさんに些か失礼ではないですか?」

 

△△社「ジャーナリストに公式も非公式もないでしょう?じゃあ貴方はテレビで見かける押し掛けでの取材も否定なさると?それは全国のジャーナリストの方々に随分失礼だと思いますよ?」

 

○○社「………私はそこまで言ったつもりはありませんが、その事については謝罪します。ですがこういうものは、一度正式な形を取ってからの方が良いと私は思います。今シルヴィアさんが受けてくれたのだって彼女の善意によるものなんですから。」

 

△△社「じゃあ我々△△社もその善意に甘えさせてもらいましょうかね?何も疚しい事がないのなら、受け答えくらいできるでしょう。」

 

 

まるで小馬鹿にしたような口振りで○○社を挑発するように煽てていた。

 

 

○○社「それを決めるのはシルヴィアさんです。それに私は今聞いた内容の答えを公表する気はありません。今回の目的は星武祭ですから。」

 

△△社「相変わらず堅いですなぁ。まぁいいでしょう。それでシルヴィアちゃん?質問いいかな?」

 

シルヴィア「はい、どうぞ。」

 

 

シルヴィア(私はこういうタイプの人間は嫌いだ。人を馬鹿にしたり、自分を上で考えるような人が絶対に好きになれない。)

 

 

△△社「じゃあ質問いくよ?シルヴィアちゃんは【夢幻月影】と付き合ってるんだよね?もしかして同棲もしてるのかな?」

 

 

シルヴィア(やっぱり聞いてきた……本当こういうタイプの人ってこういう話好きだよね。どうして気になるのかな?)

 

 

シルヴィアは心の中で心底呆れていたが、顔には出さずに真剣な顔で答えた。

 

 

シルヴィア「逆にお聞きしますが、それを聞いたとして何か得でも?」

 

△△社「ただの興味本位でだよ。やっぱり気になるからね〜。で?どうなの?同棲してるの?」

 

シルヴィア「……はい、しています。私が六花にいる間の時は一緒に居られるようにしています。いない間は彼に掃除などを任せています。」

 

△△社「ほう、それはそれは。仲が良いようで何よりですなぁ。」

 

シルヴィア「仲が良くなければ恋人になんてなれないと思いますが?」

 

 

シルヴィア(そうじゃない彼氏彼女っているのかな?絶対いないよね。)

 

 

△△社「それもそうだねぇ。じゃあ次いくよ?さっき○○社が質問した時に【夢幻月影】が関係を公表するのを望んでないって言ってたけど、それは何でかな?」

 

 

……この人本気で聞いてるのかな?

 

 

シルヴィア「失礼ですけど、その質問は本気の質問ですか?それとも悪ふざけですか?私には悪ふざけのようにしか聞こえなかったのですが。」

 

△△社「本気に決まってるよ。じゃなきゃ質問する意味がないからね。」

 

シルヴィア「……ならその質問にはお答え出来ません。悪ふざけであったのなら尚更です。」

 

△△社「おや?如何してかな?」

 

シルヴィア「むしろ私が何故と聞き返したい内容の質問です。その本人もいないこの場で私が答えるとお思いですか?もし聞きたいのであれば本人に……比企谷さんに許可を得て下さい。でないと私も答える気にはなりません。」

 

 

シルヴィア(この人って本当にやらしい記者だなぁ。)

 

 

△△社「ははは、これは手厳しいねぇ。じゃあ最後の質問にしようかな。同棲してるのならもう男女の関係にはなったのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィア「………はい?」

 

△△社「だから行為をしたのかって聞いたんですよ。半同棲という形を取って、少しはそんな感じにもなるでしょう?そこのところってどうなの?」

 

シルヴィア「………さき程の言葉を繰り返しますが、それも本気で聞いてます?」

 

△△社「ん?勿論だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィア「………貴方バカですか?」

 

△△社「………え?」

 

シルヴィア「そんな事言うと思います?本当になんでそんな質問したんですか?私が答えると思ったんですか?」

 

△△社「い、いや……これも興味で……」

 

シルヴィア「興味?じゃあ貴方は他人の性行為を興味で聞けるんですね?凄いですね、人が不愉快になれる事を平然と聞けるなんて。」

 

△△社「そ、それは……」

 

シルヴィア「もし行為に及んでいたとしたらなんだというのです?あなた方に関係があるのですか?どうなんです?」

 

△△社「い、いや……特に何も……」

 

シルヴィア「何も?何もないのにこんな事を聞けるんですか?貴方は人の嫌がる事をするのが好きなんですね。私が貴方の立場だったら、絶対にこんな質問しませんよ。」

 

シルヴィア「質問の回答としては、そんな個人的な質問に答えるわけないです。よくこんな質問が出来たものだと思います。他に質問はありますか?」

 

△△社「………ありません。」

 

シルヴィア「分かりました。それから今の内容を捏造して記載しようなんて思わないで下さいね。そうしたら私や私の事務所も、貴方に卑猥な質問をされたと訴えますから。」

 

 

シルヴィアがそう言った後、△△社の記者は生気を失った顔で俯いていた。シルヴィアの言葉がかなり響いたようだ。

 

 

ペトラ「では質問の方は以上とさせて頂きます。後日に会見を取りたいと思っているので、詳しい話はそこでしたいと思っております。シルヴィア、クインヴェールの席に行くわよ。」

 

シルヴィア「はい。」

 

 

そして2人はVIPルームを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィア「もう少し早く助けてくれてもよかったじゃないですかー!」

 

ペトラ「ふふっ、ごめんなさい。でも貴方の熱弁っぷりに押し負けちゃったのよ。」

 

シルヴィア「あんな事聞いてくるなんて本当にバカとしか思えないよ。」

 

ペトラ「でも、実際はどうなの?あっ、私はそういうつもりで聞いてないわよ?」

 

シルヴィア「分かってますよ………はぁ、18歳になるまではしないって決めてます。まぁ、キスくらいはしますけど///」

 

ペトラ「あらあら、良いわねー青春で。」

 

 

この後もクインヴェールの客席に着くまでからかわれ続けたけど、悪い気は全くしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あんな記者がいたら本当にやだな……

シルヴィアが暴走気味になりましたけど、あんまり触れないであげて下さいね?そしたら皆さんもあの記者と同じ目に遭いますから。


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