では、どうぞ。
八幡side
はぁー、オーフェリアには少しキツく言っちまったが、普段の言い方したんじゃ、あいつは多分止まらなかっただろうからな。
止めてくれてるとは思うが、あいつどうしてるか少し心配だな。星武祭が終わったら少し会ってみるか。
それに、今回の決勝は………
八幡「陽乃さん、少しお願いを聞いてもらってもいいですか?」
陽乃「ん?何かな?」
八幡「この決勝、俺は本気であの2人と戦います。だから、あの技………やってみませんか?」
あの技……俺と陽乃さんで編み出した技だ。俺と陽乃さんの2人だけの技といってもいい。星露もこれには参ってたからな。
陽乃「………八幡くん、今の君凄いよ?」
八幡「え?何がです?」
陽乃「目が……輝いてるよ。普段と変わらないのに、何故か光って見える。まるで夜空に輝く星みたいに……」
八幡「そ、そうなんですか?」
陽乃「うん……どうやら君は楽しみたい事が出来ると、目の輝きが変わるみたいだね。予選の試合も今程ではないけど良い目してたから。」
……自分では分からんが、他の人からして見ればそう映るのか?
陽乃「今の目、シルヴィアちゃんにも見せてあげたいよ。きっと見惚れちゃうよ。今の私がそうだから。」
八幡「やめてくださいよ?俺、1年前ほどではないにしろ、写真は今でも嫌いなんですから。」
陽乃「君の嫌がる事なんてしないよ。そしたらご飯作ってもらえなくなっちゃう!」
この人、どんだけ好きなんだよ……
陽乃「まぁそれはさておき、あの技の事ならいいよ。君の思う存分に力を振るうといいよ。私も全力を出すから!」
八幡「ありがとうございます。じゃあ、行きますか。」
陽乃「おーっ!!」
やっと……お前と同じ舞台に立ったぞ、シルヴィ。後は優勝だけだ。
見ていてくれよ!
八幡sideout
ーーーーーー
ーーーシリウスドームーーー
梁瀬『さぁーー皆様!!!ついに、ついにこの時がやって参りましたー!!!いよいよ鳳凰の王が決まる時がやってきましたっ!!《鳳凰星武祭》〜、決勝戦!!!!!』
実況の梁瀬ミーコがそう叫んだ途端、会場は一気に沸き上がった。
梁瀬『今年の《鳳凰星武祭》は3年前とは比べ物にならない程、レベルが上がっている上に、界龍が上位独占という驚くべき快挙を成し遂げています!!この決勝戦も盛り上がる事間違いなしでしょう!!』
チャム『これで《鳳凰星武祭》が終わってしまうと思うと残念だけど、今はこの戦いを楽しみたいっス!!』
梁瀬『さぁ!!それでは参りましょう!!先ずは西方から!星導館、そして同じ学院界龍の冒頭の十二人を倒し快進撃を進めてきた2人!!その拳は通用するのか!?界龍第七学院、宋然&羅坤展!!!』
チャム『2人の戦いぶりは本当に豪快だけど、その中に柔軟性もあるから、この2人こそ究極の武人と呼ぶに相応しい戦いを見せてくれたっス!この決勝戦でも大いに活躍してくれるっスよ!!』
梁瀬『しかーし!!この2人に立ちはだかるのは同じ界龍でも冒頭の十二人!!しかもその中でも上位に位置するペアだ!!ご紹介しましょう!!変幻自在!
だが、道からは八幡たちの姿はなかった。
梁瀬『あ、あれ?』
チャム『いない……っスね。』
八幡「おい、此処だ。」
観客、実況、その他大勢の人々は八幡の声に驚きの反応した。既にステージで待ち構えていたのだ。
梁瀬『ど、どういう事だー!!?ステージの橋が解放されてからまだ20秒も経っていないのに既にステージに立っているー!?こ、これは一体!?』
チャム『……多分比企谷選手の能力っスね。ほら、予選の2回戦でも見せたあれっスよ。突然黒い霧と一緒に現れた……』
梁瀬『しかし、試合ごとに常識破りな事をしてきますね〜。普通の星脈世代でもあの場所に音も姿も現さずに辿り着けるのは彼らくらいでしょう。』
宋「流石は尊師だ。我々の想像を遥か上をいくな。」
羅「全くだ。実況の言う通り、本当に常識破りな人だな。」
宋「だが、だからといって諦めるわけにはいかない、我々の全力を持って相手をするだけ……そうだろう?羅。」
羅「あぁ。あのお方に少しでも傷をつけるぞ!準決勝であの方たちと戦って苦戦をさせた徐銀梅と呂永成のように!!」
そうと羅は勢い良く飛び降り、八幡たちの前に立った。そして2人に包拳礼をする。
2人「「尊師、師姉。お手合わせお願いします!我ら全力で相手をさせて頂きますので、よろしくお願いします!」」
陽乃「承ったよ。私たちも本気で行くからね!」
八幡「お前らの本気、見せてみろ。俺たちも全身全霊を以って答えよう。」
梁瀬『さぁ、出揃って準備が出来たところで、参りましょう!!《鳳凰星武祭》ファイナル決勝戦、バトルー、スタート!!!!』
やっと出来た!!……けど何だろう、この物凄い罪悪感。
本当はありえない話その11
『やっぱりこうなった……』
スタッフ「タイトル『粛清』テイク157、アクション!」
オーフェリア「八幡……それって………本気……なの?」
八幡『あぁ、本気だ。お前といる時間は確かに好きだが、犯罪を平気でする奴と一緒にいたいとは思わん。殺したいのなら好きにしろ。その場合、俺はお前とはもう関わらん。』
オーフェリア「グズッ……ううぅ、うええぇぇぇぇぇん!!」
スタッフ「カ……カット…………」
八幡「オーフェリア、大丈夫だ!関わらないなんて嘘だから!これ演技だから!」
オーフェリア「やだぁぁぁぁ!!お兄さんと会えないなんてやだよぉぉぉぉ!!」
八幡「落ち着けオーフェリア!大丈夫だ!会わないなんて嘘だから!大丈夫だ!俺を信じろ!」
オーフェリア「グズッ……グスッ……ひぐっ、やだぁ、お兄さんとはだれだくないよぉ〜!」
八幡「あぁ、大丈夫だ。俺はお前から離れない。大丈夫だからな、よしよし。」
オーフェリア「グスッ……うんっ!!」
ーーー1時間半後ーーー
八幡「……出来そうか?」
オーフェリア「……うん、頑張る。」
八幡「よし!こんなもん我慢すりゃすぐだ!終わったらもう一回頭撫でてやるから、頑張ってくれ。」
オーフェリア「やー……ギューしてナデナデしないと……やー。」
八幡「おぉ、そうだな。よし、ギューってしてナデナデしてやるから頑張ろうな?」
オーフェリア「……うん!」
その後もこの撮影だけはテイクだけでも300は超え、撮影が成功した後も号泣していたのは、この撮影が始まって以来の伝説となった。
本当に凄い罪悪感。