学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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勝負が終わっても気が抜けないって嫌ですね……。

部活動をやっていた方々なら分かって下さいますよね?

では、どうぞ。




※もう一試合

 

 

八幡side

 

 

陽乃「うぅ〜ん!終わったぁ〜♪優勝だね、八幡くん!!」

 

八幡「はい、良かったです。」

 

 

《鳳凰星武祭》決勝終了後、俺たちは普通に話をしながら控え室の方へと向かっている。だが、その途中、俺が今最も会いたくない連中がいるかもしれないという憂鬱にも少しだけ浸っていた。

 

 

八幡「……いますよね、絶対。」

 

陽乃「気持ちは分かるけど、これも君たちが選んだ道でしょ?乗り越えなきゃ!」

 

八幡「分かってますよ。」

 

 

嫌だなぁ……あっ、やっぱいるな。てか多くね?なんか準決勝の時の倍以上の数はいるぞ。どんだけ食いつくんだよ。

 

 

八幡sideout

 

ーーーーーー

 

 

パシャパシャパシャッ!!!

 

 

一気になるシャッターの切る音。少し慣れた八幡ではあるが、相変わらず写真は嫌いなようだ。

 

 

○○社「えーでは、これより勝利ペア兼優勝ペア、界龍第七学院の比企谷八幡選手と雪ノ下陽乃選手のインタビューを執り行います。」

 

○○社「先ずは、この度の《鳳凰星武祭》優勝おめでとうございます。」

 

2人「ありがとうございます。」

 

○○社「今の気分、どんな感じでしょうか?」

 

陽乃「私は元々出場する気は無かったんですけど、比企谷くんに誘われて此処まで来ることが出来ました。比企谷くんに感謝の想いで一杯です。」

 

八幡「雪ノ下さんの感謝も今回の優勝も感無量です。」

 

 

名前呼びはマズイと思ったのか、陽乃が機転を利かせて苗字で呼んだ。

 

それに習い、八幡も陽乃を苗字呼びする。

 

 

○○社「決勝戦、素晴らしい動きで相手ペアを翻弄していましたが、作戦はあったのですか?」

 

八幡「特にありませんでしたが、途中でやった幻術は雪ノ下さんと打ち合わせをして、やるタイミングは決めてました。」

 

○○社「最後にお2人の今後の目標についてお話しできますか?」

 

陽乃「私は来年が界龍に居られる最後の年なので、《獅鷲星武祭(グリプス)》に出ようと思ってます。出来れば、横に居る比企谷くんにも出てもらいたいと思ってます。」

 

○○社「なるほど……比企谷さんはどうでしょう?」

 

八幡「……此処で返事をするようになってしまいますが、この《鳳凰星武祭》を優勝したからには、次の《獅鷲星武祭(グリプス)》とその次の《王竜星武祭(リンドヴルス)》の優勝を目指し、三冠制覇(グランドスラム)を目指したいと思ってます。」

 

 

ザワザワ……

 

 

○○社「大きな目標ですね。私も成し遂げる事を祈っております。以上を持ちまして、《鳳凰星武祭》優勝ペア、比企谷選手と雪ノ下選手のインタビューを終了します。」

 

2人「ありがとうございます。」

 

 

漸く終わったかに見えたが、取材陣は一斉に八幡を取り囲んだ。

 

陽乃はすぐ側で待っていた。

 

 

八幡「あの……取材は終わったんじゃ?」

 

◇◇社「いやね、今話題になってる本人がいるから、この機会に……ねぇ?」

 

 

八幡(この機会もなにもねぇだろ。絶対狙ってやってんだろうが。)

 

 

八幡「分かりました。答えられる範囲であれば返答します。」

 

◇◇社「では、今この六花で噂になっている事、何かご存知ですか?」

 

八幡「自分とシルヴィア・リューネハイムの関係、ですか?」

 

◇◇社「はい。それについて教えられる範囲でいいので、お答えできますか?」

 

八幡「……私たちは去年の12月、王竜星武祭が終わったその夜に交際を始めました。それだけです。」

 

◇◇社「……他には何かないのですか?」

 

八幡「ありません。それだけです。」

 

◇◇社「何かもっとありませんか?恋人らしく過ごした日々とか……」

 

八幡「なら逆に聞きますが、人のプライバシーを漁るのはそんなに楽しいですか?自分にはまるで理解出来ませんね。」

 

 

八幡は少し威圧を込めた強気な言い方をした。どうやら八幡の気分は、あまり良くないようだった。

 

 

◇◇社「……そうですね、失言でした。他の質問、いいでしょうか?」

 

八幡「えぇ、構いません。」

 

◇◇社「シルヴィアさんはどんな彼女ですか?これも答えられる範囲で構いません。勿論、お答えしたくない場合は、ノーコメントでも結構です。」

 

八幡「………優しく気の利く最高の女性とだけ言っておきます。」

 

 

あの後、普通なら答えないであろう質問に八幡は答えた。恐らく、◇◇社の心情を汲んでの事だろう。

 

 

◇◇社「ありがとうございます。我が社の取材はこれにて終わります。」

 

□□社「続いて……」

 

 

一社事の質問は少ないものの、どの社もやはりプライベートな事は聞いてきた。これには流石に八幡もウンザリしていた。

 

 

○○社「すみません。お疲れとは思いますが、よろしいでしょうか?」

 

八幡「構いません。」

 

○○社「私、試合の始まる前、シルヴィアさんに取材したのですが、良い彼女さんですね。」

 

八幡「……ありがとうございます。」

 

 

八幡は少し目を開いた。すぐに取材になると思いきや、取材をやった事をバラし、彼女の事を褒めていたからだ。

 

 

○○社「私の聞きたい事は2つです。何故、交際の事を発表しなかったのか、理由を聞いてもいいですか?」

 

八幡「………いえ、中身がとても醜い内容故、お話することはできません。すみません。」

 

○○社「………そうですか。では、最後に………貴方は今、シルヴィアさんといられて幸せですか?」

 

八幡「勿論です。幸せじゃない理由を探したいくらい幸せです。まぁ実際には探しませんけど。」

 

 

そう八幡が即答で答える。するとーーー

 

 

○○社「ぷっ、くくく……あっ、失礼。シルヴィアさんと全く同じ事をおっしゃるものですからつい……お二人はお似合いだと思いますよ。」

 

八幡「は、はぁ……」

 

○○社「私からは以上です。ありがとうございました。」

 

 

八幡(同じ事を言ったのか……それはそれで恥ずかしいが、良い気分にもなるな。)

 

 

△△社「いや〜待ってたよ比企谷くん。僕の所属してる△△社っていう会社もシルヴィアちゃんに取材したんだけど、あんまり上手くいかなくてね、君は答えてくれることを望むよ。」

 

八幡「……内容にもよります。前以て言っておきますが、くだらない事は聞かないで下さい。よろしくお願いします。」

 

 

一応の釘を刺した八幡。

 

 

△△社「じゃあ行くよ?君はシルヴィアちゃんと同棲しているのかな?」

 

八幡「……しています。」

 

△△社「……それだけかい?」

 

八幡「他に何も聞かれてないので。」

 

△△社「それもそうだね。じゃあ次の質問、さっき○○社さんが質問した発表の件だけど、本当に話してくれないのかい?この場だけ話してくれないかい?」

 

八幡「……さっきも言いましたが、答える気はありません。個人的な事ですので。」

 

△△社「じゃあ君は、その個人的な理由で発表をしなかったんだね?シルヴィアちゃん言ってたよ〜?本当は発表したかったって。」

 

八幡「それは自分も一緒です。早い方が面倒は無くなりますから。ですが今回はそうせざるを得なかった理由があったからとしか言えません。」

 

△△社「……まぁ、そういうことにしておこうかな。じゃあ次ね、シルヴィアちゃんとはもう男女の関係になったのかな?」

 

八幡「………あ?」

 

△△社「ひっ!?」

 

 

明らかに空気が変わった。それも酷く冷たい空気だった。

 

 

八幡「おい、何だそのふざけた質問は?まさかとは思うが、その質問シルヴィにもしたんじゃないだろうな?」

 

△△社「た、確かに聞いたけど、こ、こ、答えてもらえなかったから……」

 

八幡「……それで俺か?テメェ、よくそんな屑まがいな事聞けたもんだな。」

 

△△社「ひぃ!?」

 

八幡「そんな質問答えるわけねぇだろうが。言ったよな?くだらない質問はするなってよ?お前にとってこれはくだらなくないようだが、世間一般からしてみれば、そんな質問平然としてる時点でくだらねぇんだよ。」

 

陽乃「八幡くん……」

 

八幡「………っ!」

 

 

周りの様子に気づいたのか、すぐに殺気を収めた。

 

 

八幡「もういい。だが、この事はあんたの上の方に報告させてもらう。さっきの時点で会社名は知ってるからな。」

 

 

そして八幡と陽乃は控え室の方へと行ってしまった。

 

 

 

 

 

さらにこの数日後、八幡の報告によって△△社の記者長は減俸1年の罰則を下されたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 




あの記者は本当に………やな奴だ。



ーーーおまけーーー

まぁ、別にいいよね?

本当はありえない話その12

『その後……』






オーフェリア「グスッ……ひぐっ……うえぇぇん。」

八幡「もう泣くなって。こうやって頭ナデナデに抱き締めてやってんだから。」

シルヴィア「仕方ないよ、オーフェリアちゃん八幡くんの事大好きなんだから。あんな事嘘でも言われたらこうなっちゃうよ。」

八幡「まぁ……そうだけどよ。」

オーフェリア「グズッ……」

八幡「………そうだよな。」

シルヴィア「うん、ここはオーフェリアちゃんの納得がいくまで甘えさせてあげなよ。」

八幡「あぁ、そうだな。」

スタッフ一同(本当にすみません!!!うちのバカ監督が本っっ当にすみません!!!)


………うん、やっぱり罪悪感が……。


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