八幡side
言われるがままについて来ちまったが、なんてゆーか、あんま男が入れそうにない店だなここは。
……それでも入るしかないのか。
女の子「ここだよ!さっ!入ろ!」グイッ!
八幡「お、おい……」
カランカランッ
店員「いらっしゃいませ!2名様で宜しいでしょうか?」
女の子「はーい。」
店員「お席へ案内致します。こちらになります。」
あ〜予想通り女子とか女性ばっかだな。ていうか女しかおらん。
店員「こちらになります。メニューはそちらの方になりますので、決まりましたらお呼び下さい。ごゆっくりどうぞ。」
そう言ってから店員は言ってしまった。良かった。席は奥の方だからあんま人いねぇ。店員さんGJ!
女の子「改めて、さっきはありがとう。助かったよ。」
八幡「気にすんな、俺も見てて気分が悪かったから追い払っただけだ。」
女の子「それでもだよ。本当にありがとう。えーと……名前なんていうの?」
八幡「比企谷だ。」
女の子「下は?」
八幡「は?」
女の子「だから名前だよ!苗字だけじゃ分からないでしょ。」
八幡「………比企谷八幡だ。」
女の子「へぇ〜八幡くんかぁ〜……よろしくね八幡くんっ!」
この子いきなり名前呼びだよ。抵抗ないのか?俺みたいな男にそんな事したら勘違いされんぞ。俺はしないけど。
女の子「でも、ゴメンね。教えて貰っといてアレだけど、私の名前あんまり他の人には言いたくないんだ。」
八幡「いや、言いたくないなら別にいい。興味ないから。」
女の子「ムッ………やっぱり言っていいかな?言いたくなっちゃった。」ムスッ
八幡「いや、言いたくないんじゃなかったのか?別に無理しなくて「いーや!絶対言うからね!でもあんまり知られたくないから耳貸して!」………そこまでする程なのか?逆に聞きたくないんだが。」
女の子「……ねぇ、八幡くん。」
八幡「……なんだ?」
女の子「……嫌なの?」ウルウル
八幡「…………は?」
女の子「……私の名前、そんなに聞きたくないの?」シュン…
八幡「むぅ………」
これは正直キツイ。俺としてはこの人の名前なんてどうでもいい。だってこの場限りだと思うし。もう一生会わないだろうし……いや、一生は言い過ぎか。まぁとにかく興味はない。だが、こんな顔されるとなぁ………こっちが居たたまれなくなる。はぁ、しょうがねぇか。
八幡「はぁ、分かったよ。聞くからその顔やめろ。気まずい。」
女の子「……それがものを頼む態度?」ム-
八幡「聞いてやらねぇぞ。」
女の子「それならそれでいいよーだ。」プイッ
八幡「そうか、なら帰る。じゃあな。」ガタッ
女の子「あー!待って!言う!言うから待って!お願い待ってよー!」ギュッ!
こいつスゲェめんどくせぇ……それと手を掴むな。
八幡「……分かったから手を放せ。」
女の子「うん……じゃあ耳貸して。」
八幡「………なぁ、それって絶対やんなきゃならん事なのか?」
女の子「うん。今は知られたくない。」
八幡「はぁ、分かったよ。だが、やるなら早くしてくれよ。」ヤレヤレ
俺、耳弱いんだから。
女の子「分かってる。じゃあ言うね?」
女の子「私の名前は………シルヴィア・リューネハイムっていうんだ。」ボソッ
八幡「……そうか、分かった。」
シルヴィア「……え?」
八幡「ん?どうした?」
シルヴィア「あの…私の名前。」
八幡「ああ、聞いたぞ。」
シルヴィア「聞いた事ない?」
八幡「変な事を聞く奴だな。今初めて聞いたに決まってるだろ。何を当たり前なことを聞いてんだよ。」
シルヴィア「え……えぇーー!!!?」ガタッ!!
八幡「………」
シルヴィア「あ……あうぅ/////」プシュ-
大声を出し、立ち上がったリューネハイムは、顔を真っ赤にしてすぐ席に座った。
シルヴィア「うぅ………」ウルウル
おいおい大丈夫かよ、涙目になってんじゃねぇか………でも、言っちゃ悪いが結構可愛いな。」
シルヴィア「///////」プシュ-
あれ?さらに赤くなった?しかも湯気っぽいのが出て来たぞ?マジで大丈夫か?蒸気機関の真似?
シルヴィア「……八幡くんの意地悪。」キッ!
八幡「……おい、俺が何したよ?」
シルヴィア「……今の声に出てたもん。可愛いって声に出てたもん。言ってたんだから///」
………うおおぉぉぉ!!!やらかしたー!!何やってんだよ俺!?んな事この状態で言われたら、そりゃ怒るわ!!あぁぁー黒歴史が増えたぁー!!
八幡「……えと、その、悪かったな///」
シルヴィア「う、うん///大丈夫///」
………とても大丈夫そうには見えないんだが。
シルヴィア「………そ、それで本当に私の事知らないの?」
八幡「あ、あぁ、知らん。聞いた事ない。この六花では有名なのか?」
シルヴィア「ううん、一応有名な方だと思ってたんだけどな……って六花では?もしかしてここには来たばかり?」
八幡「おう、実は昨日来たばっかだ。」
シルヴィア「そ、そうだったんだ。うぅ〜………八幡くん。もう注文決めて、早くこのお店から出ようよ〜。段々このお店に居るのが恥かしくなってきたよ〜///」ウルウル
八幡「お、おう、そうだな。」
シルヴィア「それと、名前に関しては誰にも喋らないでね!!絶対に言わないでよ!!」
八幡「お、おう、分かった。」
そう言うと俺達は手早くメニューを決め、気まずいながらも会話をしながらデザートを食べた。そして食べ終わるとすぐさま伝票を持ち、会計を済ませるとそそくさと店を出た。その際、他の客から見られていたのは言うまでもないだろう。
シルヴィア「うぅ、あんなにストレートに可愛いなんて言われたの初めてだよ///それに、まだ顔が熱いよぉ〜///」