学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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違い過ぎる私

 

 

オーフェリアside

 

 

………本当にお昼近くなっていたのね。全く気がつかなかったわ。楽しい事に夢中になってると、時が経つのが早いわね。

 

………昼食を摂るにしても、私が知ってるお店は無いわね。外食なんてしないから。

 

 

オーフェリア「………八幡、何処かオススメはあるの?」

 

八幡「俺は何処でも良いが、この前行ったステーキ屋にしようと思ってる。お前も好きだろ?」

 

 

………そうだったわ。確か私が偶々八幡を見つけて、一緒に夕食をしたお店があったわね。あんな事があったのに忘れていたなんて……

 

 

オーフェリア「………えぇ、そこにしましょう。」

 

八幡「よし、んじゃ行くか。」

 

 

ーーーーーー

 

 

八幡「此処に来たのも半年くらい前になったんだな。早いもんだ。」

 

オーフェリア「………何だか年寄りみたいだわ。」

 

八幡「うっせ、余計なお世話だ。それよりも中入るぞ。」

 

 

そしては私は八幡の後ろについて行き、お店の中に入った。

 

 

店員「いらっしゃいませ。2名様でよろしいでしょうか?」

 

八幡「はい。」

 

店員「喫煙席、禁煙席がございますが、どちらに致しますか?」

 

八幡「禁煙席で。」

 

店員「かしこまりました。ではお席へご案内します。」

 

 

………この店員、八幡がタバコを吸うとでも思ってるのかしら?

 

 

店員「こちらになります。こちらがメニューになりますので、お決まりになりましたら申しつけ下さい。失礼致します。」

 

 

………何にしようかしら……この前はステーキだったけど、ハンバーグも美味しそうよね。基本この2つだけど、ソースの種類が多いのが楽しめるところね。

 

 

八幡「俺は……前と同じでステーキだな。今回は和風ソースでいくか。オーフェリアは決まったか?」

 

オーフェリア「………私もステーキよ。ソースはデミグラスにするわ。」

 

八幡「決まったな。呼び鈴押すが、他に何かあるか?」

 

オーフェリア「………大丈夫よ。」

 

八幡「分かった。」

 

 

………八幡が注文をしてくれたから、私は少しホッとしたわ。あまりこういうのは得意じゃないから。

 

………そういえば、私を解放してくれた事のお礼をまだ言ってなかったわ。ちょうどいいから今しておいたほうがいいわね。

 

 

オーフェリア「………八幡。」

 

八幡「ん?」

 

オーフェリア「………彼(豚)から聞いたわ。星武祭の願いで私を彼(豚)から解放してくれたって。貴方のおかげで私は自由になれたわ。本当にありがとう。」

 

八幡「あぁ、それか。気にするな。元々願いがなかったからちょうど良かったんだ。あの野郎の不機嫌に不機嫌を重ね掛けした顔は傑作だった。」

 

 

………私も見てみたかったわ。

 

 

八幡「それで、どうだ?思う存分『今』って時を満喫出来てるか?」

 

オーフェリア「………えぇ、今日が良い例ね。まだ始まったばかりなのに、こんなに楽しいのは初めてだわ。」

 

八幡「そりゃよかった。」

 

 

………私にとっての“日常”が“非日常”になっていく。それがとても嬉しい。

 

 

オーフェリア「………それと八幡。貴方の事を否定するわけではないけど、自分に対する願いはなかったの?」

 

八幡「全く思いつかなかったな。考えてはみたんだが、どれも何とかすりゃ叶いそうなもんばっかだったからな。」

 

オーフェリア「………貴方の持っている煌式武装を自分の所有物にするとかは?貴方の持っている刀は純星煌式武装なのでしょ?」

 

八幡「【祢々切丸】の事か?確かにあれは純星煌式武装だが、俺以外にも適合する奴はそのうち出てくんだろ。だが難しいだろうな。あいつ自体軽い奴だが、自分の力を振るう奴となると、容赦無くなる。今までもかなりいたらしいぞ、【祢々切丸】の力で廃人になった奴。」

 

八幡「俺は認めてもらえたから問題なく力を振るえるが、認めてもらえる奴はそうそう現れないだろうな。」

 

オーフェリア「………気難しいのかしら?」

 

八幡「いや。さっきも言ったが、基本的には軽い奴だ。」

 

 

………何だかよく分からない純星煌式武装ね。その分危険性も高いみたいだけど。未適合の場合、廃人になるのがいい例ね。

 

 

八幡「天霧の【黒炉の魔剣(セル・ベレスタ)】やイレーネの【覇潰の血鎌(グラヴィシーズ)】に比べると極端なのは間違いないな。気に入らない奴だと壊す。かなりのパワー思考だが、間違ってもいないからな。」

 

 

………でも、凄いわね。八幡は魔術師なのに純星煌式武装を使えるなんて。本来なら私たち能力者は純星煌式武装に嫌われるはずなのに。

 

 

八幡「まぁ今日はそんな話は無しにしよう。楽しむために出掛けたのに、こんな重苦しい話なんて俺はしたくない。」

 

 

………そうね。今日は【戦律の魔女】から八幡を借りられたんだもの、今日という日を大事にしなくちゃダメね。

 

 

店員「お待たせ致しました。」

 

 

………ちょうど来たみたいだし、食事でもしながら楽しく会話しましょう。

 

 

八幡とオーフェリアは、食事をしながら花の話、料理の話などをして盛り上がっていた。お互いのステーキを交換し合い、周りからは仲の良いカップルにしか見えていなかった。(その中にはオーフェリアだと知って震え上がっていた人もチラホラと。)

 

さらには、八幡の料理を食べてみたいと言ったオーフェリアに、料理を振るうと約束した八幡だった。

 

 

 

 

店員「ありがとうございました。」

 

 

ーーーーーー

 

 

オーフェリア「………前と同じで美味しかったわ。時間を気にせず食べられるって良いわね。それに八幡と話しながら食事出来たから、とても楽しかったわ。」

 

八幡「そうか、俺も楽しかったぞ。あんな風に話すオーフェリアは初めて見た。姿といい仕草といい、俺の知らんオーフェリアばっかだ。」

 

 

………私もあんな風に話す事が出来たなんて思っても見なかったわ。

 

 

八幡「さて、じゃあどうする?さっきの花屋に戻るか?」

 

オーフェリア「………いいのかしら?」

 

八幡「構わないぞ。今度は夢中になり過ぎて閉店になるまで見ていそうだけどな。」

 

オーフェリア「………なるべく時間を忘れないように努力するわ。」

 

 

………仕方ないじゃない。貴方のおかげで花には触れられても、ああいうお店は入りづらかったんだもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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