八幡side
おっ、見えてきたな。ここからだと普通の店にしか見えないのに、中に入ったらスゲー花が咲いてんだから驚きだよな。
………そうだ。オーフェリアには作ったが、シルヴィにも何か作ってやらないとな。多分拗ねてるだろうし。
………にしても、
オーフェリア「………」
店に近くなってくると、輝きが半端ないな。特に目の輝きが凄すぎる。
ーーーフラワーハウスーーー
店員「いらっしゃいませ……っ!」
あっ……気づいたな。
八幡「オーフェリア、好きに見てこい。俺は少ししてからお前に合流するから。」
オーフェリア「………何処かに行くの?」
八幡「いや?隣にある創作教室で何か作ろうと思ってな。」
オーフェリア「………そういえばそういうサービスもあったのを忘れていたわ。八幡、私も行っていいかしら?」
八幡「ん?あぁ、構わん。」
店員「では、ご案内致します。どうぞこちらへ。」
店員さんも気を遣ってくれたのか、俺がさっき創作に入った事を言わなかった。
ーーー創作教室ーーー
店員「それでは、これからフラワーアートを始めます。お二人様はお作りになる物はお決まりですか?」
八幡「俺は決まってます。オーフェリアは何にするんだ?」
オーフェリア「………何にしようかしら?このバッグにでもつけようかしら。」
店員「では、題材とするお花を選んで下さい。」
八幡「俺は菊に決めてる。」
オーフェリア「………八幡、随分と準備が良いのね。」
八幡「ある程度は予想してたからな。花くらいは事前に決めてた。」
まぁ、さっきやってたから手順が分かってるだけなんだけどな。
オーフェリア「………そう、私は何にしようかしら?」
八幡「そのバッグに映える色にしたらどうだ?例えばバッグは白だから、黒の花にするとか。」
オーフェリア「………八幡。貴方は簡単に言うけれど、黒い花を作るのはとても難しいのよ?このお店を見て回ったけど、黒い花は無かったわ。」
お、覚えてんの?
八幡「……全地域かつ季節毎に違うのに、黒い花が無い事も覚えてるのか?」
オーフェリア「………それくらい普通よ。」
普通じゃねぇよ。よっぽどの花好きじゃねぇと無理だ。
オーフェリア「………だから、黒い花を使うのは無理よ。このお店にないのだから。」
店員「いえ、ございますよ?」
2人「………え?」
え?どゆこと?What?
店員「確かに黒い花は貴重なので、店先には置いたり、商品としては扱ってはおりませんが、こういった創作で使用するのであれば特別に許可を出してるんです。ただ、これに気づいた人は今までにあまりいないので、お2人はとても運が良いと思います。どうです?黒いお花、ご使用になりますか?」
オーフェリア「………因みに何があるの?見ても良いのかしら?」
………マジか、さっきよりも目輝いてんじゃん。
店員「見ても問題はありません。後、こちらで取り扱っているのは、バラ、シュワルツワルダー、黒百合、コスモス、オパール、チューリップ、クリスマスローズ、ネモフィラ、ペチュニア、ダイアンサスの10種の花でございます。」
………結構あるんだな。
オーフェリア「………見て決めたいのだけど、ダメかしら?」
店員「大丈夫ですよ。ではご案内しますね。彼氏さんは作業をしてても大丈夫ですよ。」
ウインクをするな。
まぁいい、始めるか。
ーーー20分後ーーー
八幡「……まぁこんなもんだな。後はここにーーー」
ーーー40分後ーーー
八幡「………はぁ、終わった。やっぱ細かい作業ってのは神経使うな。すげぇ疲れた………ていうか、遅くね?」
ーーー1時間後ーーー
八幡「………やっぱ夢中になってんだろうな。黒の花だからな。」
オーフェリア「………お待たせ八幡、やっと決まったわ。」
八幡「……で、本当は?」
オーフェリア「………本当に黒い花があったから、全部に見惚れてたわ///」
やっぱりじゃねえか。
心なしかあの店員さん、少しゲッソリしてない?
店員「まさか、あんなに夢中になるなんて………しかも凄く純粋な目で見てたから声なんてかけられなかった。なんて子なの!」
うん、それすっごい分かる。この子ね、1度夢中になると本当に一心不乱なの。目前の事しか頭になくなっちゃうの。
八幡「それで、何にしたんだ?」
オーフェリア「………クリスマスローズよ。花言葉は関係なしに選んだの。花自体が上品だし、毒抜きされているみたいだから。」
毒なんてあるのか、しかもそれが抜かれてるって事は、今のオーフェリアみたいなものか。
オーフェリア「………じゃあ始めるわね。」
ーーー10分後ーーー
オーフェリア「………なんとか出来たわ。良い感じね。」
店員「彼女さん、お上手ですね。」
八幡「器用なのは初めて知りました。」
店員(もう何なんですか!?彼氏さんといい彼女さんといい、普通に上手過ぎるじゃないですか!?器用?そんなレベルじゃないですよ!!)
八幡「よし。作り終わった事だし、会計済ませてから花を見に行こうぜ。」
オーフェリア「………そうね、そうしましょう。」
その後は午前とは違い、2人で花を見ながら回った。その時見たオーフェリアは、やはりいつもの雰囲気とはかけ離れていて、心から楽しんでいるように見えた。
オーフェリアはバッグにお花、八幡は三品目に何を作ったんでしょうね?
よし、ネタ考えよう!