学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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※師と弟子

八幡side

 

 

夕飯も食べ終わってのんびりしたいところだが、現状はそうもいかない。洗い物を終えたら、明日の事について考えるのが、最近の日課になっていた。

 

 

小苑「八幡よ、明日の事でも考えておるのか?」

 

八幡「………何で分かったんです?」

 

小苑「たわけ。殆ど会っていないとはいえ、お前は儂の弟子であり子じゃ。そんな事も分からんで師など務まらんわ。」

 

 

流石【万有天羅】様、すげぇ説得力。

 

 

小苑「お主らの交際の事じゃったのう。世間も物好きじゃのう。人が恋し愛し合うなど自然の事じゃろうに。何がそんなに知りたいのかのう?」

 

八幡「世界的な有名人ですから当たり前だと思うんですけど……多分ですけど、小苑さんもそういう系のバレたら、報道とかされると思いますよ?」

 

小苑「儂がか?若い衆と比べたら、儂なんぞに食いつく者がおるのかのう?」

 

 

いやいや、歳いくつか知らないけど、貴女普通に若く見えますからね?20代くらいにしか見えない。

 

 

八幡「俺も歳は知りたいですけど、そんな無粋な事聞いたら殺されかねないですからね。」

 

小苑「歳?32じゃぞ?」

 

 

この人普通に言ったよ……ていうか32?納得は出来そうだが、全くそうには見えない。

 

 

八幡「……気にしないんですか?年齢とかそういうの。」

 

小苑「気にしていてもどうにかなるものでもないしのう。寧ろ隠していて何の得があるのじゃ?」

 

八幡「……まぁ、確かに。」

 

小苑「話が逸れたが、お主はどうするのじゃ?」

 

八幡「普通の質問なら答えるつもりです。そうじゃないのなら黙らせます。」

 

小苑「まぁそうじゃろうな。」

 

 

小苑さんもそう思っていたのか。絶対いるだろうしな、あっち方面の事聞いてくる奴。

 

 

八幡「まぁ、何とかなりますよ。」

 

小苑「………八幡、お主最近何時頃に寝ておる?」

 

八幡「……何です急に?」

 

小苑「いいから答えるのじゃ。」

 

八幡「9時ですけど。」

 

小苑「嘘をつくでない。それはお主らが共に寝ている時間であろう?もう一度聞くぞ?何時に寝ておる?」

 

八幡「………1時です。」

 

小苑「やはりのう、お主それでは明日持たぬぞ。」

 

八幡「………何故分かったんです?」

 

小苑「分からぬと思うか?儂を誰だと思うとる?お主の師であり親じゃ。子の事を分からずして親など語れぬわ。」

 

八幡「………」

 

小苑「お主は確かに出来た子じゃ。気が利き頭もキレる。冷静かつ的確な判断力も備わっておるし、人の感情にも敏感じゃ。だが、お主は自分の事を考えなさ過ぎる。それが欠点じゃ。」

 

小苑「幾ら強かろうと自分の管理が出来ぬ者は阿呆と同じじゃ。お主はもっと自分を大切にせんか!」

 

 

 

まさかここまで見抜かれるなんてな………ここまで言われたんじゃ、返す言葉もないな。

 

 

八幡「………すみません。」

 

小苑「はぁ……暁彗もそうじゃが、お主も大概じゃな。八幡よ、考えるのはもう止めじゃ。こっちへ来るのじゃ。」

 

八幡「はぁ……」

 

 

何だ?ベッドの上で説教か?

 

 

小苑「ほれ、横になって頭をここに置くのじゃ。」

 

 

ここって……思いっきり膝何ですけど。

 

 

八幡「小苑さん、それは少し恥ずかしいのですが……」

 

小苑「何じゃ、膝枕ごときで恥ずかしいのか?そんなものやってるうちに無くなるものじゃ。早よせぬか。」

 

 

……逆らえないですよね、はい。

 

 

八幡「……失礼します。」(コトッ)

 

 

………思ったけど、膝枕って初めてされたな。シルヴィとは抱き合って寝た事は何度かあるけど、膝枕自体された事もした事も無かったな。

 

 

小苑「八幡、お主はもう1人ではないのじゃぞ?友をはじめ、今では恋人もおる。お主はその尊き存在に心配をかけるつもりかえ?」

 

小苑「儂はお主に友を心配させるなんて教えはした覚えがないぞ。先も言うたが、お主は自分をもっと大切にせい。」

 

 

小苑さんが俺の髪を撫でながら説教?をしている。この人には申し訳ないが、なんか眠くなってきた。

 

 

小苑「全く、困った弟子じゃ。少ししたら起こそうと思うてたが、もう寝そうではないか。」

 

小苑「まぁよい。今日は何も考えんでいい、ゆっくり眠る事じゃ。」

 

八幡「………」

 

 

八幡sideout

 

小苑side

 

 

……久々に会ったが、まだこの癖は抜けんようじゃのう。マシになってくれれば、儂としても楽なんじゃがのう。

 

 

小苑「……まぁ、それを含めて育て甲斐のある弟子じゃからのう。」

 

 

万有天羅などと呼ばれている儂も甘くなったものじゃな。

 

まぁ、それも悪くはなかろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当はあり得ない話その18

『嫉妬と膝枕』






スタッフ「はい、カット!」

八幡「ZZz……はっ!」

小苑「ふふふ、お疲れ様です。」

八幡「いや、俺は殆ど何も……」

小苑「いいえ、寝たふりも大切な演技の1つです。今回は本当に寝ていたようでしたけど。お疲れになったでしょう?どうです?今度はもう少し長く眠ってみては?膝くらいはお貸ししますよ?」

八幡「い、いえ、そういうわけには「ダメーー!!」っ!?シルヴィ!?」

シルヴィア「八幡くんを癒すのは私の役目なんです!小苑さんはお疲れでしょうから上がってもらって結構です!」

小苑「あら、シルヴィアさん、いらしてたのですか?でしたらシルヴィアさんも如何ですか?八幡さんも眠っていたようですから保証しますよ?ふふふ。」

シルヴィア「………八幡くん?」

八幡「……いや、マジで眠っちまった。」

小苑「どうですか?シルヴィアさんも?」

シルヴィア「うぅ〜これが大人の余裕ってやつなんだね!悔しいよー!オーフェリアちゃんも何か言ってよ〜!」

オーフェリア「むにゃむにゃ……おにぃさん……」

シルヴィア「オーフェリアちゃん!?」

八幡「音もなく俺の膝に頭乗せて寝てやがる……忍者かよ。」

小苑「あらあら、可愛らしい寝顔ですね。」

シルヴィア「オーフェリアちゃーん!」


意外な素顔の小苑師匠。
そして寝てるオーフェリアと嫉妬してるシルヴィア可愛い。


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