では、どうぞ!
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同じく千葉の住宅街に並ぶ1つの家、その姓は『比企谷』。現在六花で過ごしている比企谷八幡と比企谷小町の育った家である。
現在夜の9時、比企谷兄妹を育てた両親が珍しくも真剣な表情と声で話し合っていた。
比企谷母「……ねぇアンタ、もう知ってるわよね?」
比企谷父「あぁ……八幡の事だろ?」
比企谷母「……………ホント、私達は何をしてたんだろうね。あの子が1年前に居なくなっても、すぐ帰ってくると思ってたら、あんなに遠い場所に居るんだから。しかも、私達は小町にかかりっきりで八幡の事なんか碌に見もしなかった。私達、あの子に何をしてやれたんだろうね……」
比企谷父「俺も……俺もそう思ってる。小町ばかりに構い過ぎて、思い出の中に八幡の顔が全く出てこない。アイツがどんな顔で笑ったりしていたのかさえも分からない。テレビで八幡の顔を見た時、頭が全く働かなかった。」
比企谷母「そりゃそうだよ。私達が知ってる八幡はあんな事言わない。それどころか、あんなに力強い目もしない筈なんだから。今年の星武祭でもそう。今まで慕われている様子なんて1度も無かった。」
比企谷父「今の八幡は、俺達が知っている八幡じゃないのかもしれんな。」
比企谷母「でも、私は思う事があるの………私達の知ってる八幡ってどのくらい?」
比企谷父「………」
比企谷母「六花に行く前は何をしてた?学校ではどんな過ごし方?部活は?休みの日は?趣味や得意な事や特技は?アンタどのくらい知ってる?私なんて殆ど知らないよ。」
比企谷父「………俺もだ、全く分からん。」
比企谷母「その筈よね。最後に会った日すら忘れてるんだから。八幡の1年前の顔なんて全くだよ。中学のアルバム見て思い出せるくらいなんだから。」
比企谷父「………」
比企谷母「……アンタ、八幡がライブに来る事は知ってるんでしょ?チケットとか取らなかったの?アンタも携帯でシルヴィア・リューネハイムの歌聞いてたでしょ?生の声とか聴きたくないの?」
比企谷父「今更どの面下げて八幡に会えるんだよ。俺は八幡に親らしい事なんて何1つしてやれなかった挙句に小町ばっか構うような半端な親だぞ?そんな奴に誰が会いたいと思う?八幡が本気で会いたいって思ってると思うか?」
比企谷母「……アンタの言う通りだね。自分ほっといて妹ばっか可愛がる両親に会いたがる子なんて居る筈も無いね。」
比企谷父「今更俺なんかが八幡の父親だなんて恥ずかしくて言えねぇよ。あんなすげぇ奴の父親がこんな碌でなしなんだからな。」
比企谷母「………」
両親の後悔の念は重かった。いや、重過ぎた。だが後悔はすれども、その感情は息子に届く筈も無かった。
比企谷父「……最後に八幡の誕生日を祝ったのはいつだった?俺はもう忘れちまった。もう10年も前だろうな。娘が可愛いからって息子放ったらかして、小町には毎年ケーキを、八幡にはこづかいをテーブルに置いとく、これだけは覚えてる。」
比企谷母「………」
比企谷父「今ではもう自覚してる。俺は最底辺な父親だって。俺が教えた事なんて、美人は美人局くらいだ。」
比企谷母「………」
比企谷父「小町は幸せだったろうな。俺達に可愛がられて育ったんだからな。けど、八幡はどうだ?俺達から何をされて育った?」
比企谷母「………」
比企谷父「何も無いだろうな。そりゃそうだ。ここ最近で八幡と話した事なんて1度もねぇんだからよ。『親父。』なんて呼んでもらえたら、それこそ奇跡だ。」
比企谷母「………」
比企谷父「………悪い、なんか説教みたいになっちまって。」
比企谷母「……いや、いいよ。アンタの言ったまんまだよ。私達はあの子に親と呼んでもらえる事なんて何1つしてない。同じ家に居るのに、捨てたのと同じだよ。」
2人は自分達のやってきた行動にも激しく後悔していた。あまりにも違い過ぎる態度に、やってきた自分自身が嫌になる程だった。
比企谷父「……なぁ、もしも八幡がこの家に帰って来たら、お前はどうする?」
比企谷母「どうするもこうするも無いよ。私が今更やれる事なんて……あの子を自由にさせてあげる事くらいだよ。もう八幡の前で親の顔なんて出来る自信が無いから。」
比企谷父「………なぁ、少し八幡の部屋に行ってみないか?少しはアイツの写真くらいはあるだろう。」
比企谷母「私はもう何回も行ってるわ。その度に八幡の中学の顔を見てる。あの子の顔を忘れない為に。私もあの子の写真を探したけど、1枚も見つからなかったわ。」
比企谷父「………そうか、アイツが写真好きだとは思えないしな。」
比企谷母「……ねぇアンタ。私達、もう八幡に親とは呼んでもらえないのかしら?」
比企谷父「さぁな。だが、そんな期待しない方がいいだろ。期待するだけ自分を傷付けるだけだ。」
比企谷母「………そうだね。」
後悔先に立たず。両親は八幡に何もしてやれなかった後悔が未だ大きく残っているが、それはどうしようもない事である。八幡が来ない限りは解決しないのだから。
こんな感じになりました。
すみません。今日は特に頭がまとまらなかったので、こんな感じで許して下さい。