八幡side
『もうすぐ本土に着きまーす!』
………やっとか。到着する場所は東京だったな。にしてもシルヴィ起きないな。
八幡「おいシルヴィ、もう着くぞ。」
シルヴィア「んん〜♪」
八幡「おいおい……頼むからもうそろそろ起きてくれ。」
移動は車だが、俺はお前をおぶってる所をあんまり人には見られたくないんだが?
ペトラ「八幡くん、そろそろこっちに来て。」
八幡「さっきまでそこに居ましたよね?」
ペトラ「私は居ないわよ?3人くらいそこに張り付いていたのは見たけど。」
八幡「……そういう事にしておきます。それよりもシルヴィ何とかしてもらえません?握った手離さない上に腕にも絡みついて身動きが取れないんです。」
ペトラ「抱き上げればいいじゃない。シルヴィアも喜ぶわよ?」
八幡「俺はなるべくライブをするまで目立ちたくはないんですが?」
ペトラ「それはもう無理ね。貴方はもう有名人だもの。」
はぁ……やっぱそうだよな。
ペトラ「それよりも早くしなさい。シルヴィアは途中で起こしてもいいから。」
八幡「俺は今起こしたいです。」
ペトラ「ならそうしてもいいわよ。なるべく幸せな起こし方でね。」
何ですか幸せな起こし方って?
ペトラ「例えば……耳元で『起きろ。』とかね。」
八幡「もうそれで良いです……ですから先に行っててください。」
ペトラ「分かったわ。」
そう言い残してペトラさんは行った。
さて……誰も居ないうちにやるか。こんな恥ずかしい所、誰にも見られたくないしな。
八幡「シルヴィ……起きろ。」
八幡「起きてくれるのなら……特別にキスしてやる。」
この前はこれで起きたが、今回はどうだ?
シルヴィア「………本当?」
八幡「………あぁ。」
シルヴィア「起きたよ……してくれるんだよね?キス。」
寝てる時でもこれはちゃんと聞いてるんだよなぁ。地獄耳なんだよなぁ。
まぁ、約束は守らねぇとな。
そしてそれから時間ギリギリになるまで、俺たちはキスを堪能していた。5分程度だが、それでも濃い時間だった。
ペトラ「やっと来たようね………けど、どうしてシルヴィアが艶々していて八幡くんが少しやつれているように見えるのかは聞かないでおくわ。」
それ、今の俺にとっては凄く助かります。
ペトラ「車は手配してあるから乗って頂戴。八幡くんとシルヴィアはスタッフと3人で乗りなさい。安心しなさい、後ろは聞こえないように防音にしてあるから。」
安心って何?何に安心すればいいんですかね?
シルヴィア「えへへ♪ありがとうございます、ペトラさん♪」
八幡「分かりました。」
ペトラ「それと、八幡くん。口元よく拭いておいた方がいいわよ。誰かの舐めた跡があるわよ?」
八幡「さっき聞かないって言ったのは嘘だったんですか?でもありがとうございます。」
ペトラ「うふふ、ごめんなさいね。」
ペトラさん、楽しんでるなぁ。
ーーー車内ーーー
シルヴィア「東京も来た事はあるけど、そんなにじっくりは観光した事ないんだよね〜。ライブ終わったら時間あるかな?」
八幡「秋休みの最中だからな。時間は取れるんじゃないか?」
シルヴィア「それなら八幡くんとデートしたいなぁ。六花ではもう殆ど行ったしね。」
八幡「商業エリアはともかくとして、他はデートするような場所じゃないからな。行けても外縁居住区だからな。」
シルヴィア「うん……だから八幡くんと日本デートしたい♪」
八幡「まぁペトラさんもすぐ帰るって言う程、鬼でもないだろう。聞いてみたらどうだ?」
シルヴィア「そうする!!」
そしてシルヴィは、また俺の肩に頭を乗せた。
八幡「おい、また寝るなよ?」
シルヴィア「うーん寝ちゃうかも。八幡くんの匂い凄く安心するんだもん。」
八幡「また寝たら、今度はくすぐるからな。」
シルヴィア「えぇ〜酷いよぉ〜!私が寝ちゃうのは八幡くんのせいなのに!」
八幡「なら離れようか?」
シルヴィア「えへへ、だ〜めっ♪」
そう言うと思ってましたよ、お嬢様。
八幡「じゃあ、幕張メッセに着くまで我慢しろよ?それに寝られたら困る。多分だが、ファンとかいるだろうから。」
シルヴィア「あぁーそれはありそう。じゃあ八幡くんにくっついてれば大丈夫だよね!」
八幡「……別に構わんが、お前は恥ずかしくないのか?」
シルヴィア「見せつけてやるんだ!私はもう八幡くんの物です!って。そして八幡くんは私の物だってね!」
八幡「その場合、俺はどうすりゃいいんだ?」
シルヴィア「そうだねぇ〜……お姫様抱っこかな?」
八幡「それはくっつき過ぎだ。」
シルヴィア「あうっ!うぅ〜でも良いじゃん!お姫様抱っこ!その時がダメならライブでやろうよ!」
八幡「お前なぁ……俺が進んでそれをやると思うか?」
それに、なんか壊れてないか?
シルヴィア「そうだよ。八幡くんが私をお姫様抱っこしながら歌う。……何で思いつかなかったんだろう?これ、結構良いかも///」
終いには独り言になっちまった。
幕張メッセに着くまでは、癇癪を起こさない事を祈るか。