八幡side
ーーーホテル・緑タワー幕張ーーー
すっげ、こんな所に泊まるのかよ。緊張して眠れないかもな。食事とかもマナー良くして食わないとダメ的な奴もあったりすんのか?
八幡「幕張から随分と近いところを取ったんですね。」
ペトラ「その方が楽だもの。それに近くにはコンビニっていう便利屋さんがあるのでしょう?」
あぁ〜、六花にはそういう店舗って無いからな。大型の店で買うしかないからな。コンビニを知らないのも無理ないが、世界中行っててコンビニ知らないものか?
八幡「まぁ、ありますけど……」
ペトラ「もう予約はしてあるから、早く済ませてしまいましょう。少しゆっくりもしたいし。」
シルヴィア「ライブの行った時には、どんなホテルに泊まるのか楽しみなんだよね〜!」
……結構マイペースなのね、お二人さん。
受付「いらっしゃいませ。当ホテルへようこそ。」
ペトラ「○○事務所53名よ。」
受付「お待ちしておりました。ツインルームが25部屋にシングルルームが1部屋にダブルルームが1部屋でお間違いないでしょうか?」
ペトラ「えぇ、合ってるわ。」
受付「ありがとうございます。それでは予約して下さったお部屋のカードキーをお渡しします。ツインのお客様方は201号室から226号室、シングルのお客様は325号室、ダブルのお客様方は730号室になります。」
ダブルめっちゃ離れてね?
というか何だろう?シルヴィ以外のペトラさんやスタッフさんの目が生温かく感じる。
ペトラ「私はいつも通りシングルで泊まるわ。他はどうするの?」
スタッフ1「僕はもうこいつとツインって決めてたので。」
スタッフ2「あっ、僕は結構先輩と同じになるので今回もその予定です。」
スタッフ3「私も遠征で同じ子と泊まるつもりです。」
………わざとっぽく感じるのは俺だけか?
ペトラ「じゃあシルヴィア、八幡くん。貴女たちはダブルの部屋で泊まって頂戴。ごめんなさいね。」
笑顔で言ってますよね?全く悪いなんて思ってないんですよね?
でも何でそんなに楽しそうなんだ?
ペトラ「カードは持ったわね?じゃあ18時に1階のビュッフェレストランに集合にする事にするわ。それまで各自、自由にしてもらって構わないわ。」
シルヴィア「ペトラさん。どうしてわざわざこんな部屋割を?私たちもツインでよかったんですけど……」
ペトラ「何言ってるの?ダブルもツインも変わらないわよ?」
シルヴィア「え?そうなんですか?」
ペトラ「えぇ。」
シルヴィア「分かりました。」
でもなぁ……なんか嫌な予感するんだよな。
シルヴィア「じゃあ八幡くん、行こっか!」
八幡「あぁ。」
そして俺たちはエレベーターまで行き、乗れる限り乗ったスタッフさんは2階に、ペトラさんは3階に、そして残った俺たちは7階へと降りた。
シルヴィア「7階かぁ……高いねぇ。」
八幡「あぁ。俺もこんな高層に来た事は無いな。えーと、723……725……727……おっ、あった……って一番奥じゃねぇか。」
シルヴィア「ねぇ、早速入ってみようよ!私なんか楽しみになってきたよ!」
八幡「ま、それもそうだな。」
俺は持ってるカードキーをドアノブの上にある差込口に入れた。すると、ロックが外れる音がしてドアノブを引くと、扉が開いた。
シルヴィア「おっ先〜!」
八幡「あっ、おい………フッ、相変わらずだな。」
あの楽しげな顔、あれ見てるだけで俺も楽しくなってくる。
シルヴィア「………」
八幡「ん?おいどうした?」
楽しげに中に入った割には静かになったな。お気に召さなかったのか?
シルヴィア「八幡くん……ダブルの意味ってこういう事だったんだ。ベッドが2つじゃなくて……ダブルべッドっていみだったみたい/////」
八幡「は、はぁっ!?」
俺も思わず走って確認した。部屋の内装は腰掛け用のソファや椅子にコート掛けにハンガー、テレビも備え付けられていて、その右下にはお茶などの器具。バスルームはトイレに洗面台、シャワールームに風呂の設備がかなりの広さで備え付けられている。
ここまでは良い。流石と言っておこう。問題はベッドだ。完全にダブルだ。家の時では、いつも一緒に寝てる俺たちだが、こういう場所ではかなり恥ずかしい。
シルヴィア「/////」
八幡「……ま、まぁ、ゆっくりするか///」
シルヴィア「う、うん/////」
だめだ。調子が全く出ない。
ペトラさん!スタッフさん!あんたらグルだったんだな!ダマされた!
おかげでもう気まずいですよ!
シルヴィア「………/////」
八幡「………/////」
ソファに腰掛けたはいいが、それ以上は恥ずかしさで何も出来なかった。
ピトッ
2人「っ!/////」
偶然にも俺の右手とシルヴィの左手が重なってしまった。しかもそれによって俺たちは見つめ合ってしまった。
八幡「あ……いや、悪い/////」
シルヴィア「う、ううん……こちらこそゴメン/////」
八幡「………/////」
シルヴィア「………/////」
慣れている筈の2人の空間でも、場所が変わるだけでこうも緊張や恥ずかしさがこみ上げるなんてな……
しかも、目を外せばいいだけなのにシルヴィから目を離せない。
2人「………/////」
徐々に近づいているのか分からないが、シルヴィの顔が段々近づいているような感じがした。いつも思っている事だが、すげぇ整った顔してる。世界中が見惚れるのも分かる気がする。
というよりも、間違いなく近付いてる。顔がさっきよりも明らかに近い。鼻息も当たってきた。目も潤んでいた。
シルヴィア「八幡くん……/////」
八幡「シルヴィ………/////」
お互いの名前を呼び合ってから、俺たちは唇を合わせてしまった。唇にするのは今日千葉行きの船旅でシルヴィを起こす時にしたのが最後だが、そんな事気にしてられない。今はとにかくシルヴィとキスがしたい。そんな衝動に駆られていた。
八幡「んっ……ん〜……/////」
シルヴィア「んむっ……んんっ……んん〜/////」
ヤベェ、シルヴィの唇やっぱ柔けぇ……
八幡「んっ……/////」
シルヴィア「はぁ……はぁ……/////」
さっきよりも明らかに目が潤んでいて、頬も赤くなっている。
シルヴィア「八幡くん、もっとシよ?/////」
そしてキスの要求……こんなの断れるわけがない。俺もキスしたくて堪らない状態だからだ。
八幡「……あぁ、じゃあいくぞ/////」
シルヴィア「……うん/////」
それから俺たちはキスをし続けた。勿論、船に乗っている時にもやった舌と舌を合わせるキスもだ。そして我に返ったのは、19時半で1時間半もキスに没頭していた。
ライブ始まる前夜からこんなに……もうヤバイです。
他の部屋だと免疫無くなるんですね……八幡さん、シルヴィアさんや。