学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

238 / 609
行き先

 

 

八幡side

 

 

シルヴィア「おぉ〜!ここがららぽーとかぁ!大きいねぇ!」

 

 

午前10時半、俺たちは10時頃にホテルを出て、早速デート(シルヴィがそう言わないとうるさいから。)へと向かった。

 

大体行くところは決めてあるから、そんなに右往左往する事はないだろう。

 

 

八幡「六花には大型店舗じゃなく専門店が多いからな。シルヴィにとってこういうのは新鮮か?」

 

シルヴィア「うん。私世界中でライブとかするけど、楽しむ時間ってそんなになかったから、街とかってあんまり回ってなかったんだよね〜。」

 

八幡「なら今回のライブ後でこんな事するのは珍しい方なのか?」

 

シルヴィア「というより滅多にないんだ。ツアーとかもあるからそんなにのんびりとか出来ないから。」

 

 

うん、要するに大変って事だ。

 

 

シルヴィア「それにしても、こんな朝からなのに人多いね。何かあるの?」

 

八幡「何でだろうな?学生は秋休み入ってるからいるのは問題ないが、こんなに人が多いのは何でだ?」

 

シルヴィア「八幡くんでも分からない?」

 

八幡「知るわけないだろ?」

 

 

しかもそれに伴って、やたらと視線が集まる。そして立ち止まる人も多い。そしてポケットやカバンから携帯取り出して写真を撮ろうとする。分かってる?それ盗撮だからね?許可取って。

 

 

シルヴィア「じゃあ行こっか!まずは服屋さんから行こ〜♪」

 

八幡「コーディネートは任せた。」

 

シルヴィア「お任せあれっ!」

 

 

ーーー洋服店ーーー

 

 

店員「いらっしゃいま……へっ!!?」

 

 

ん?噛んだ?

 

 

シルヴィア「じゃあメンズコーナーに行って君を着せ替え人形にしながらコーディネートしていくからね。」

 

八幡「………マネキンの気持ちがよく分かった瞬間だ。」

 

シルヴィア「八幡くんは今から私のマネキンだよっ!」

 

八幡「じゃあズボンとかもシルヴィが履かせてくれるのか?」

 

シルヴィア「あぅ///…………マネキンは取り消します///」

 

 

冗談で言ったつもりが間に受けちまったようだな。

 

 

八幡「冗談だから服選んで来い。俺に渡してくれれば着るから、その時に感想頼む。」

 

シルヴィア「う、うん///」

 

 

さて、シルヴィはどんな服を持ってくるのかね?気長に待ちますか。

 

 

ーーー10分後ーーー

 

 

シルヴィア「お待たせ〜!まずはこれ着てみて!」

 

八幡「あぁ。」

 

 

………俺にこの色って似合うか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「シルヴィ、一応着てみたがどうだ?」

 

シルヴィア「着替え終わった?おぉ〜流石八幡くん、着こなしてるね〜!」

 

八幡「ホントかよ……」

 

 

俺が今着てるのは、ベージュのパーカーに少し濃い赤の長袖シャツに黒のズボン。首には十字のネックレスをつけてる。

 

 

シルヴィア「うんうん、八幡くんいつも黒っぽいのしか着てないから良いよ!」

 

八幡「まぁ黒は割と好きだからな。」

 

 

今着てるのも黒だし。

 

 

シルヴィア「じゃあこの服買おっか!八幡くんにも似合ってるし!でも、まだまだ探すからね〜?」

 

八幡「好きなだけ付き合ってやるよ。シルヴィのセンスに任せる。」

 

 

そして俺はシルヴィにお任せで洋服を選んでもらった。だが結局、買ったのは最初の一式だけだった。

 

 

 

 

 

シルヴィア「此処って本当に色んなものがあるね。見るのが楽しくなってくるよ。」

 

八幡「そう言ってもられると、来た甲斐があるな。シルヴィ、ららぽの他にはどこか行きたい場所はあるのか?」

 

シルヴィア「…………うん、あるんだけど……きっと八幡くんは嫌だと思う。」

 

八幡「総武高校か?」

 

シルヴィア「やっぱり分かるんだね。ううん、嫌って言った時点で当然だね。」

 

八幡「俺は別に構わないぞ?」

 

シルヴィア「え?で、でも……」

 

八幡「俺はな、あの学校自体は憎んではいない。生徒の奴らは憎んでこそいるが、感謝もしている。」

 

シルヴィア「………え?どういう事?」

 

 

まぁそうなるよな。当然だ。

 

 

八幡「シルヴィ、お前パラレルワールドって知ってるか?」

 

シルヴィア「聞いたことくらいは……」

 

八幡「簡単にいうと俺たちが今いる世界とは異なる世界だ。だが、日付や時間は同じだ。やってきた行動で変わったりする。迫られた選択によって世界は変わるからな。」

 

シルヴィア「……要は違う世界って事だよね?」

 

八幡「そうだ。」

 

シルヴィア「でも、それが何?どうやったら感謝なんて出来るの?」

 

八幡「俺は文化祭、修学旅行で散々な目に遭った。それはその後の学校生活でも同じだ。それは理解してるよな?」

 

シルヴィア「うん、実際に聞いたから。」

 

八幡「けど、俺がもしあの状態で星脈世代の力を暴走させていなかったら?もし展望台に行ってなかったら?どうなってたと思う?」

 

シルヴィア「………六花には来てない?」

 

八幡「まぁ確実にその時期には行ってないだろうな。六花に行ってないって選択肢はないとは言い切れないが、あの時の俺があのまま学校に居られるはずがないからな。そのくらいの状態だ。」

 

八幡「まぁただの自己満足かもしれないが、学校の俺を散々罵ってくれた奴には、俺を追い込んでくれてありがとうって感じだ。そうでなきゃ俺は、界龍でこんな生活はできてねぇし、シルヴィとも出会えてなかった。そう思うと、俺は奴らにも感謝出来るんだよ。」

 

 

皮肉にも聞こえるけどな。

 

 

シルヴィア「………八幡くんはそんな考え方もできるんだね。凄いよ。」

 

シルヴィア「普通の人だったら無理だよ。そんな考え方なんて出来ないよ。私も含めて。」

 

八幡「まぁ、そうだろうな。自分をバカにした連中の事を許せる奴は稀だ。そんな奴、滅多にいない。」

 

シルヴィア「八幡くん、自分の事珍しい人間だって思ってるの?」

 

八幡「ん?……あぁいや、そういう事じゃなくて……いや、自分から言っちまってたもんな。」

 

シルヴィア「あっはは!八幡くんってば可笑しっ!自分の事を珍しいだなんて!」

 

 

 

ぐっ……してやられた。

 

 

シルヴィア「でも、その通りかもね。自分を中傷した人を許せる人なんてそうそういないよね。」

 

八幡「考え方も人それぞれだからな。俺がこんな考え方をしているだけだ。」

 

シルヴィア「でも立派だよ。やっぱり八幡くんは優しいね。」

 

 

うぅむ……優しいって言葉は未だに慣れないな。何度も言われているはずなのに。

 

 

八幡「それで、どうすんだ?総武高行くのか?」

 

シルヴィア「うん、八幡くんがよければ。」

 

八幡「んじゃ行こうぜ。1年ぶりだな。」

 

 

そこまで楽しみって程でもないけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。