八幡side
八幡「お、おいシルヴィ………」
シルヴィア「うぅ〜………/////」
校長室から退室して、どこから回ろうかシルヴィと相談しようと思ったら、突然シルヴィが抱きついてきた。
何だ?何かあったのか?
八幡「おい、どうした?」
シルヴィア「わ、私、八幡くんと校長先生の目の前で……は、八幡くんの事、みみ、み、未来の夫って………/////」
八幡「………あぁ、それか///」
確かに俺も内心すげぇビックリしたからな。校長の質問をあんな風に返すとは、本当に予想外だ。
八幡「だが、俺は嬉しかった。お前がそれを考えてくれていたのが、嬉しい。会見の時では俺が言ったが、返事みたいなのはもらってなかったからな。」
シルヴィア「返事なんて『OK』以外あり得ないよ!他には『はい』と『YES』!!八幡くんの隣は私だけだもん!!」
八幡「お、おう……」
シルヴィ、それ言うのは別に構わんが、後でとんでもない羞恥心とか出さないでくれよ?
シルヴィア「じゃあ八幡くん!早く案内して!ね?」
八幡「……分かったよ。んじゃあ何処行く?」
シルヴィア「先ずは生徒が今いなさそうなところにしようよ。購買とか、空き教室とか見てみたい!」
八幡「よし、分かった。」
ーーー購買ーーー
シルヴィア「へぇ〜やっぱりクインヴェールとは違うなぁ。食券とか無いんだね。」
八幡「千葉市が営んでるからな。どうしても予算の問題が出てくるんだろう。」
シルヴィア「そういえば私たち、ご飯持ってきてなかったね。でも今空いてないし……どうする?」
八幡「後になったら来ればいい。その時は人が多いだろうがな。」
ーーー元ベストプレイスーーー
シルヴィア「此処は?」
八幡「俺がよく1人で飯食ってた場所だ。この時期になったら流石に無理だったけどな。」
シルヴィア「友達とは食べなかったの?戸塚くんとか戸部くんとか海老名さんがいたでしょ?」
八幡「戸塚はそうだが、その時の俺が仲良かった奴はその戸塚くらいだったからな。戸塚はテニス部で昼練もあったから、そんな暇無くてな。」
シルヴィア「そうだったんだ。でも今は学院にいる時、1人じゃないよね?」
八幡「シルヴィも知ってるだろ?あの食いモンにうるさい3馬鹿トリオ。あいつらのせいでいつも賑やかだよ。」
全員分作ったとしても、6割が奴らの胃袋に収まってくからな。
シルヴィア「あはは……うん、何となく想像ついたよ。」
八幡「だろうな。次は何処行く?」
シルヴィア「そうだなぁ……じゃあ教室回ろうよ。今の私の格好じゃあ運動なんて出来ないし。」
八幡「それもそうだな。じゃあ何処からにする?3年はこの時期受験だから、あまり邪魔はしない方がいいから、1年か2年に絞った方がいい。」
シルヴィア「じゃあ1年生から回ろっか。ふふふ、なんか楽しみ♪」
………ドッキリを仕掛けにいくわけじゃないんだからね?
ーーー3階ーーー
八幡「俺って今思えば半年くらいしかいなかったんだよな。あまり現実感が無いな。この学校にいたって感じがしない。」
シルヴィア「界龍の居心地が良過ぎるからじゃないかな?此処で過ごしてた時は、楽しいなんて感情、滅多になかったんでしょ?」
八幡「………まっ、それもそうだな。」
それに、総武の思い出が無いってのもありそうだしな。
シルヴィア「ねぇ、悪戯しない?」
八幡「悪戯?」
シルヴィア「うん!扉が開いてるクラスに八幡くんの能力を使って静かに入るの!入り終わって先生が黒板の方を向いたら能力を解除して、振り向いたらドッキリ大成功的なの!」
この子、こんなに悪い子だったっけ?
まぁ………
八幡「面白そうだな。やるか。」
俺も大概人のことは言えない。
そして俺たちは明鏡止水で姿を隠し、1年生の扉を開いているクラスを探した。
八幡『だが、行くのは何クラスだ?』
シルヴィア『1クラスだけにするよ。行き過ぎても迷惑になっちゃうからね。』
いや、絶対迷惑じゃないだろうな。
シルヴィア『あっ、1年C組が開いてるよ。じゃあ突撃だね♪』
八幡『じゃあ入るか。』
ーーー1年C組内ーーー
教師「であるからして〜」
シルヴィア『あらら、真剣に授業に取り組まないとダメだぞー。』
八幡『進学校とはいっても、中身は普通の学校と変わらんか。』
シルヴィア『あっ!先生が黒板の方向いた!』
八幡『はいはい、解除っと。』
そして俺たちの姿が露わになる。
さて、いつ気付くかねぇ?
教師「じゃあ読んでもらうぞ。37ページの最初を………ん?」
先生が気づいた。ヤバッ、これ面白ぇな。
とりあえず会釈。
教師「ん、んん?」
生徒1「先生、どうしたんですか?」
教師「………いや、何でもない。」
シルヴィア「あ、あれ?八幡くん解除してるよね?」
八幡「あの教師が目を擦った時点でそれ分かってんだろ?………ん?」
さっきからあの教師、指差したりしてるが………何やってんだ?左?教科書?
………っ!成る程な。
八幡「ちょっと教科書借りますよ〜。シルヴィ、これ持て。」
シルヴィア「え?何で……ああ、そういう事♪」
俺は前で寝ている生徒の教科書を借りてシルヴィに渡した。
すると教師は目論見が成功したかのような顔をして、指で3と7を出した。
シルヴィア「37ページっと……よし!」
そして俺は教師にOKサインを出した。
教師「お前ら、いい加減起きろ。今から音読始めるぞ。」
生徒たちは気怠げながらも、身体を起こした。
教師「早速読んでもらうからな。じゃあ……シルヴィア・リューネハイムさん、お願いします。」
生徒「「「「え?」」」」
生徒たちは多分、何言ってんだ?って顔してんだろうな。
シルヴィア「はーい♪」
寝ている奴以外は声がしたこっち側を瞬時に振り向いた。
生徒「「「「ええええええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!?????」」」」
教師「お前ら静かにしろ、音読中だ。シルヴィアさん、続きを。」
シルヴィア「はい。」
全員が開いた口を閉じないまま、シルヴィと俺の方を見ていた。
シルヴィア「……しました。」
教師「ありがとうございました。お前ら聞いてたか?」
生徒「「「「…………」」」」
シルヴィア「皆、授業はしっかり受けないとダメだからね〜。」
八幡「んじゃ、ドッキリも成功したし、行くか。」
シルヴィア「うん、それじゃあお邪魔しました。皆、勉強頑張ってね♪」
そして俺たちは教室を後にしたが、2階にいく際にまたとんでもない程の大声が校内に響いた。
今回のシルヴィアちゃん、なんか小悪魔っぽいですね。悪戯だなんて。