600000字突破しました。
お次は700000字目指して頑張ります!
シルヴィアside
シルヴィア「ふ〜ふふんふ〜ん♪」
あれから食事を終えて食器を洗ったりした後、私は自分の身支度をしています。流石にお化粧道具はホテルの方に置いてきていたから、お義母様の道具を借りているの。
そういえば八幡くんがどんなのが好みなのか聞いた事なかったな。この際だから後で聞いてみよっと。
シルヴィア「♪〜うん、これでよしっ!」
メイク終了!よし、八幡くんの所に行こっと!
比企谷母「シルヴィアちゃん、少しいいかしら?」
シルヴィア「あっ、お義母様。はい、大丈夫ですけど?」
比企谷母「少し貴女と2人でお話ししたいんだけど、いいかしら?」
シルヴィア(……ちょっとくらいなら良いよね。)
シルヴィア「はい、大丈夫です。」
比企谷母「じゃあ居間に来てちょうだい。」
でも、何の話だろう?
ーーー居間ーーー
比企谷母「貴女も予想はついてると思うけど、八幡の事よ。」
シルヴィア「八幡くんが何か?」
比企谷母「……貴女と八幡の出会いを教えて欲しいの。問題無いのは見てて分かるけど、八幡があんな風に変わるなんて予想もしてなかったから。」
……そういえば、1年前の八幡くんはめんどくさがり屋だったっけなぁ。今の八幡くんは全くそんな感じしない。
シルヴィア「……私と八幡くんが最初に出会ったのは、商業エリアという、簡単に言えば商店街みたいな所です。そこで私がナンパされていたところを助けてくれたんです。」
比企谷母「アイドル普通に出歩いてて大丈夫だったの?聞く限りはそうじゃなかったんだと思うけど。」
シルヴィア「変装して偶に気分転換に街を出歩く事が趣味だったんですよ。助けられてからお礼をしたいって言ったんですけど、『見てて気分が悪かったから。』なんて言って行こうとしたんです。でも私、恩をそのままにしておくのは嫌いな方なので、粘ったら、次は『甘い食べ物があるお店を教えてくれ。』って言ったんです。」
比企谷母「……確かにあの子は甘いものは好きだったわね。」
シルヴィア「今も好きですけど、あの凄く甘いコーヒーはもう飲めないみたいです。それで私は自分の知ってるお店を教えて奢ろうと思ってついて行ったら、『なんでついて来るんだ?』って言われちゃって。お礼なのに場所だけなんて無欲だって思ったんですけど、あの時の八幡くんからすれば、人と関わる事自体嫌だったんでしょうね。」
比企谷母「………そう、なのよね。私もその事は充分過ぎるくらい理解したわ。」
そうだよね。あんな事が起きない限り、人を信じられなくなるなんて、普通になるはずないもんね。
シルヴィア「お店に入ってもう一回お礼を言った後、自己紹介をしてもらったんです。八幡くんは『比企谷』だけ答えたんですよ。その時の私はまだ八幡君の事を何1つ知らない状態なので、下の方も言うように言ったら今度はフルネームで答えてくれました。」
比企谷母「………」
シルヴィア「その後なんですよ。私は有名人ですので、おおっぴらに自分の名前を出せないので、彼に名前を出したくないって言ったら、なんて言ったと思います?」
比企谷母「う〜ん……興味ない、かしら?」
シルヴィア「そうなんですよ!興味ないって少しムカッとしました!自慢じゃないですけど変装とはいえ、少し顔には自信がある方だったので。なんかムキになっちゃったんです。それで言いたくなっちゃったといいますか。そしたら八幡くんに『逆に聞きたくなくなる。』って言われちゃって……少しだけショックでした………」
比企谷母「そ、そうなの……」
今ならその理由もわかるけど、やっぱり聞かれたくないって言われたのはショックだったよ。
シルヴィア「それから少しやり取りをして、なんとか聞いてもらえるところまでこじつけられたんです。やっぱり周囲には聞かれたくないので、耳を貸してもらいました。名前を言ったら別に気にすることもなく、ただ平然としてました。知らないのか聞いてみたら、『初めて聞いた。』って言われて思わず叫んじゃったんです、店内で。あれははずかしかったです///」
比企谷母「あの子、世界の歌姫を知らなかったなんて………」
本当ですよ……おかげですごく恥ずかしかったです!
シルヴィア「それから八幡くんには無意識に『可愛い。』って言われてもっと恥ずかしくなって、お店にいるのも恥ずかしくなってきたので、早く注文して早く食べて出ようって言ったんです。私初めてだったんです。あんなストレートに可愛いなんて言われたの。ライブだとかでもらう可愛いとかとは違って、凄く心にキュンと来ちゃったんです。」
比企谷母「それで惚れちゃったのね?」
シルヴィア「いえ、これはまだきっかけです。好きになったのは、まだ先です。」
比企谷母(え?これで?)
シルヴィア「その後彼はボディーソープとシャンプーを買いに来たって言っていたので、私もそれについて行きました。彼も少し呆れた感じでしたけど、諦めてましたね。お店に着いたらすぐに洗剤選びをしてたんですけど、私ちょっと仕返ししたくなっちゃったんです。さっきは私が恥ずかしい思いをしたから、今度は私が八幡くんに恥ずかしい思いをさせてやろうって思ったんです。」
シルヴィア「ボディーソープを選び終わって、次はシャンプーだったんですけど、『同じ香りのでいい。』って言い出したので、『香りとか気にしないの?』って聞いたら、『悩んでもしょうがないから、同じ香りがするので構わない。』って言ったその時に、私閃いちゃったんです。」
比企谷母(……最初から夫婦みたいに見えるのは私だけかしら?)
シルヴィア「私も柑橘系の同じボトルを使っていたので、私の髪の香りを嗅いでみたらどう?って言ったんです。『サンプルはないのか?』って質問されましたけど、使用者のを直接嗅いだ方が良いんじゃないかとか、その方が信憑性が出て来るとかって嘘ついたんです。まんまと信じちゃって髪の匂いを嗅ぎに来るとこまでは平気だったんです。」
シルヴィア「香りを嗅ぐ時に、鼻を後頭部に直接つけてきたんです!しかも肩に手をかけていたので抱き着かれたような状態でですよ!?もうやられちゃいましたよ///その後も私が声を掛けるまでずっとそのままで、離した時には『ずっと嗅いでいたいくらいだ。』なんて言われちゃった挙句に、店員さんにも彼氏彼女と間違われちゃって………今となっては嬉しい誤算ですけど。」
比企谷母(この子達の出会いのエピソードってこの頃から甘かったのね。)
シルヴィア「それから連絡先を渡して、また会う約束をしてから、私が一方的に走って行っちゃったんです。これが私たちの出会いです。それから1ヶ月後には一緒にライブをやって、そのまた一ヶ月後に王竜星武祭で八幡くんの部屋でお泊まりしてその次の日に優勝しました。その夜に、私から告白をしたんですけど、八幡くんからも告白を受けました。『一生愛する事を誓う。』って言ってくれました。それから今日まで、ずっと幸せな日々を過ごしてきました。」
比企谷母「………そうだったの。貴女と八幡はそんな出会い方だったのね。」
比企谷母(甘過ぎるお話をどうもありがとう。コーヒーが飲みたくなってきたわ。でも、八幡もそれくらいシルヴィアちゃんの事を思っているのね。)
比企谷母「シルヴィアさん、これからも息子をよろしくお願いします。」
シルヴィア「こちらこそ不束者ですが、八幡くんの良き妻となれるよう、精進します。」
確かに初々しさを除けば普通の夫婦?