彼から……
シルヴィアside
生徒「会長、なんだか動きが鈍くありませんか?私でも分かる単調な動きばかりですよ?」
シルヴィア「………」
生徒「いくら手加減していても、何となく分かります。途中から捌けてないものもありましたよ?」
シルヴィア「……うん、ゴメンね?わざわざ付き合わせちゃってるのに。」
八幡くんと会ってから1週間が過ぎた。あの時から私の調子はどうも優れない。体調の方ではなくて、戦闘でのパフォーマンスが最近落ちているのだ。
生徒「少し休んではどうです?このまま模擬戦をしても意味はないでしょうし。」
シルヴィア「うん、そうだね。」
彼女にそう言われると、壁際の方まで歩きドリンクを飲みながら休んでいた。
生徒「ですが驚きです。会長のコンディションが上がってないなんて。」
シルヴィア「うん……自分でも初めてかな。こんなに調子が良くないのは。」
実際その通りだ。私がここまで調子が悪い事は今までに1度もなかった。理由は分からない。不安でもないし、焦ってもいない。でも、だからこそどうしていいか分からない。
シルヴィア「申し訳ないけど、模擬戦はここまででいいかな?」
生徒「はい、構いませんよ。あっ、そうだっ!息抜きに商業エリアにでも行ってきたらどうですか?」
シルヴィア「うん、ありがとう。」
ーーーシルヴィア自室ーーー
部屋に戻り、シャワーを浴びてから私服に着替える。だが、別に出掛けたい訳ではない。単に着替えただけだった。
シルヴィア「………八幡くん、今頃何してるかな?」
そう思った時、チャットが開かれる。ペトラさんからだった。
ペトラ『シルヴィア、少しいいかしら?』
シルヴィア「ペトラさん?分かりました、今開けます。」
そう言って扉を開けると、いつもの澄ましたような顔だったが、どこか気を使うような顔もしていた。
ペトラ「シルヴィア、貴女大丈夫なの?さっきの模擬戦見てたけど、最近調子が落ち過ぎてない?」
シルヴィア「………」
ペトラ「はぁ……何があったかは分からないけど、しっかりしてちょうだい。」
シルヴィア「……はい。」
そう言われても、あまりやる気が出てこない。今やったとしても調子が上がるとは思えないから。
ペトラ「貴方、もう一度街に行って来たら?何か変わるかもしれないわよ?そうね……貴女の気にしていた男の子とかと一緒に。」
シルヴィア「え!?……は、八幡くんとですか!?」
ペトラ「あの時は誤魔化したつもりでしょうけど、貴女本当に乙女な顔してるわよ?それもかなりね……それと、八幡くんっていうのね。貴方が気にしている男の子の名前。」
シルヴィア「べ、別に気にしている訳じゃ……偶然会っただけですし。」プイ…
ペトラ「そうなの?それなら私が会いに行こうかしら?彼に興味が湧いてきたわ。」
シルヴィア「ダ、ダメ!!」
嫌っ!八幡くんに何もしないで!取らないで!
ペトラ「やっと素直になったわね。」
シルヴィア「え?」
ペトラ「貴方、また彼と会いたいんでしょう?」
シルヴィア「そ、そんなこ………はい、会いたいです/////」
ペトラ「全く見せつけてくれちゃって、そんな顔されたら断れないじゃない………いいわよ、行ってらっしゃい。」
シルヴィア「……いいんですか?」
ペトラ「そう言ってるでしょ?楽しんで来なさい。じゃあね。」
そう言うと、ペトラさんは行ってしまった。でも、どうやって誘おう?前の事もあるし恥ずかしいよ〜///
チャットを開いて、連絡先のページを見る。まだ彼からは一回も連絡がない。私の方からは電話出来ない。彼の連絡先を持っていないからだ。
はぁ〜、結局待つしかないかぁ。ペトラさんの言った事、無駄にしちゃったなぁ………
♪~♪~
突然着信音が鳴った。新しい仕事のスケジュールかな?あれ?不明?出た方がいいのかな?
でも、誰からか分からないし………うーん、悩むなぁ。
よし!出てみよう!
そう思って私はCALLボタンを押した。
八幡『おう、やっと出たか。』
え!?は、八幡くん!?まさかこんなにも早くお願いが叶うなんて………でも、どうしよう……まだ心の準備とか出来てないのに/////
八幡『……なんか反応ねーけど大丈夫か?タイミング悪りぃなら出直すが?』
シルヴィア「う、ううん大丈夫!平気だよ!今じゃないとダメだよ!」
今以外受け付けません!……嘘だけど。
八幡『いや、別に無理しなくてもいいぞ?今日暇になったから誘おうと思っただけだからな。』
へっ!?もしかしてデートの約束!?
シルヴィア「ホ、ホントに!?この前言ってたデートの約束!?」
八幡『お、おう。まぁ、そんなとこだ。』
やったぁ!!八幡くんからのお誘いだ!忘れられてるかと思ったのに……覚えててくれてたんだ。
シルヴィア「それって今から?」
八幡『あぁ、予定があるなら「予定なんてないよ!むしろなさ過ぎるくらいで暇だったんだよ!」…そ、そうか。』
八幡『じゃあ、おま……シルヴィが紹介してくれた店で待ち合わせはどうだ?』
シルヴィア「うん!楽しみにしてるね!」
八幡『おう、また後でな。』
そして八幡くんとの通信は終了した。
は、八幡くんとデート………/////
な、何で私緊張してるんだろう?デートなんてこの前もしたし、八幡くんとだからへい……き…………八幡くんだから?そ、そういえばこの前、私の髪の香りを嗅いでて………
シルヴィア「うぅ/////」
ど、どうしよう……デートに行ったとしても、私八幡くんの顔見られるかなぁ/////
シルヴィアsideout
八幡side
八幡「今日は鍛錬なしにしたからな〜……でも逆にやることがなくなったのも事実だな。」
祢々切丸を使いこなすためにも、剣道とか剣術とかやっといた方がいいか?だが、そうしてしまったら折角の休みが無駄になってしまう。どうしたものか……
あっ、そういえば先週の今日、街を案内してもらってその後にシルヴィに偶々会って次も会う約束してたな。
ちょうど暇だし誘ってみるか。
おっ、シルヴィの連絡先これだな。
prrr…prrr…prrr…
なかなか出ないな。忙しいのか?まぁいい、切るか【っ!】………あっ、出た。
八幡「おう、やっと出たか。」
この前会った時とは違い、紫色の髪色をしている。今度は本物のシルヴィア・リューネハイムだった。だが、反応がイマイチだった。今仕事中か?
八幡「……なんか反応ねーけど大丈夫か?タイミング悪りぃなら出直すが?」
シルヴィア『う、ううん大丈夫!平気だよ!今じゃないとダメだよ!』
……やっぱタイミング悪いのか?
八幡「いや、別に無理しなくてもいいぞ?今日暇になったから誘おうと思っただけだからな。」
シルヴィア『ホ、ホントに!?この前言ってたデートの約束!?』
八幡「お、おう。まぁ、そんなとこだ。」
そんなに驚くことか?先週お前が言ったことなんだが?
シルヴィア『それって今から?』
八幡「あぁ、予定があるなら『予定なんてないよ!むしろなさ過ぎるくらいで暇だったんだよ!』…そ、そうか。」
OK……でいいのか?
八幡「じゃあ、おま……シルヴィが紹介してくれた店で待ち合わせはどうだ?」
シルヴィア『うんっ!楽しみにしてるね!』
八幡「おう、また後でな。」
シルヴィの奴、終始顔が赤かったが大丈夫か?まぁ、体調が悪かったら連絡くらい寄越すだろ。
さて、じゃあ取り敢えず俺も支度して行くか。
八幡が変かもしれませんが、許して下さい。