長くなりましたが、これで八シル劇場第4弾終了です!計54話でした!
ではどうぞ!
八幡side
シルヴィア「すぅ……すぅ……」
あれから暫く経った。時間を見るともう3時近い。もうそろそろ行かなければならないんだが……シルヴィがどうにも起きない。そして俺の身体から腕を離してくれない。さっき無理に引き剥がそうとしたら、泣きそうな顔になってしまった為、もうその手は使えない。
だが、もう行かないと時間がヤバい。だからといってこの寝顔を壊してしまうのも惜しい。(単に本人が起きないだけなんだが。)くそ……いつからこんな子になったんだ。
八幡「シルヴィ、もう時間だから起きてくれ。3時近くだ、行かないとヤバイ。」
シルヴィア「すぅ……すぅ……」
………ダメだ、全く効果がない。どうする?抱えて行くんじゃ人目につき過ぎるし、だからといって動かないわけにもいかない………マジでどうする?
せめて交通機関を無視できる方法がないか?…………いや、あるわけ……ん?いや、あるぞ!
八幡「飛んで行けばいいのか!その手があった!八咫烏、俺に憑け。」
八咫烏『御意。』
八咫烏が半実体化して八幡に纏わりつくと、八幡の姿が変わった。
八幡「こんな格好、こんな平和な所でするもんじゃないな。」
俺はシルヴィから腕を解き、自身の能力を使ってシルヴィの体勢を横にした。所謂、お姫様抱っこの体勢だ。
八幡「さて、じゃあ行くか。」
シルヴィア「♪〜」
……心なしか、シルヴィもさっきより嬉しそうだ。
ーーー東京都上空ーーー
八幡「上からだとこんな眺めなのか……スカイツリーも東京タワーも登った事なかったからな。絶景だな。」
まぁ、周りはビルばかりだが……
八幡「おっ、ちょうど正面にスカイツリーがあるな。少し止まるか。」
俺はスカイツリーの1番上まで上昇して東京を眺めていた。
八幡「………なんか、街を滅ぼそうとしている悪役みたいな感じになってるな。」
なんか高い所から街を見下ろしている奴ってそんな感じじゃね?大抵高い所にいるよな。
八幡「にしても、ビルとかこんな風に建物が並んでると、こんな風景なんだな。」
八幡「あっ、そういや俺たちの荷物の事忘れてた。まだ千葉ホテルだよな。昨日帰ってなかったし。」
よし、豪速球で取ってきてもらおう。
八幡「じゃそういう事で頼んだ。」
八幡(分身)「無理難題押し付けてくれたな。まぁやるけどよ。」
八幡「今度マッ缶奢ってやるから。」
八幡(分身)「あれはもう要らん。」
そう言って俺の分身は姿が見えなくなった。本当に物凄い速さで千葉の方向に向かってったからな。
シルヴィア「ん、んんぅ……」
八幡「ん?起きたか?」
シルヴィア「おはよぉ……ってあれ?何で私お姫様抱っこ……って此処どこ!?」
まぁそうなるわな。
八幡「此処は東京スカイツリーの天辺だ。」
シルヴィア「そんな平然と説明されても納得出来ないよ!どうやってこんな所まで!?」
八幡「飛んで。」
シルヴィア「……改めて八幡くんが凄いって実感が再確認出来たよ。」
八幡「中々起きないから大変だったんだぞ?抱えていこうと思ったが、人目につきすぎるのは嫌だから飛んだってわけだ。」
シルヴィア「……ごめんなさい。」
八幡「気にするなよ。だが船まではお前も飛んでくれよ?能力使えんだから。」
シルヴィア「分かってるよ〜。
八幡「まぁな。」
その方が俺も楽だし。起きてるのにお姫様抱っこってのはなぁ……いや、良いんだよ?でも時間あんま無いからこの状況ではな。
シルヴィア「今って何時なの?」
八幡「3時15分だな。そろそろ飛ぶぞ。」
シルヴィア「うん。あっ、なんかこれ空のデートみたいで良いね♪」
八幡「………新鮮だな、空のデートとか。」
俺の分身は……まぁ追いつくだろう。追いつかなくても船までは来れるだろう。
八幡sideout
ーーーーーー
ーーー船着場ーーー
ペトラ「……あの2人遅いわね。もう半よ?いつまで甘たれデートしてるのかしら?」
スタッフ「さ、流石にこの時間は忘れてないと思いますが……」
本当、何してるのかしら?
シルヴィア「ごめんなさ〜い!遅くなりました〜!」
ペトラ「遅いわよシルヴィア……あら?」
ペトラが後ろに振り返るが、そこにはスタッフがいるだけでシルヴィアの姿は無かった。
ペトラ「気のせいかしら?でも……あら?」
ペトラが空を見上げると、白い翼を広げながら降りて来るシルヴィアと、同じ動きを黒い翼でする八幡がいた。
ペトラ「貴方たちねぇ………どんな方法で到着してるのよ……」
シルヴィア「えへへ……私が寝過ぎちゃったから、交通の手段を使うのは無理だって八幡くんが言ってたもので。」
八幡「人前でシルヴィをお姫様抱っこしながら此処まで連れてくるのは、流石に俺でも無理です。」
ペトラ「……理由は大体分かったわ。要はシルヴィアが貴方に甘えに甘え過ぎて、いつの間にか寝てしまった結果、時間がギリギリになったのね。」
八幡「大体そんな感じです。」
シルヴィア「ちょ、ちょっと八幡くん///」
俺は別に間違った事は言ってないからな。甘えてきたのも本当の事だし。
八幡「おっ、来たな。」
空からは分身の俺が2つのケースを持って降りてきた。
シルヴィア「あっ!私たちの!」
八幡(分身)「間に合ったか……何分くらいだ?」
八幡「大体30分だから……片道15分ってところだな。スカイツリーで飛ばしたから。」
八幡(分身)「そうか、んじゃな〜。」
マジで助かった……お疲れさん、俺。
シルヴィア「荷物の事すっかり忘れてたよ!ありがとう!八幡くん!」
八幡「気にするな。俺も気付いたのはスカイツリーの辺りからだからな。」
ペトラ「その様子だと忘れ物も無いようね。それじゃあ船に乗るわよ。」
シルヴィア「終わっちゃったね。」
八幡「そうだな。でも、また来ればいい。」
シルヴィア「……そうだね、帰ろっか。」
八幡「あぁ、俺たちの家に。」
これで第4弾八シル劇場終了です!
次はどうしよう……すぐに終わる閑話を入れたいと思ってますが、すぐに本編の学園祭を見たい人もいるでしょう。なので、感想欄などでお待ちしております。