陽乃side
陽乃「流石お母さんの会社に融合したお店なだけはあるね。お洒落だし凄く雰囲気も落ち着く。うん、良い感じ。」
雪ノ下母「そうね。貴方もこんな雰囲気の方が落ち着けると思ったから此処にしたの。」
陽乃「賑やか過ぎるのはお母さんに合わないしね。私もこういうの割と好きな方だから。」
雪ノ下母「そうですか、それなら良かったわ。」
私は今日の夜にお母さんと一緒に
雪ノ下母「それで、学業や学院での生活はどうです?順調かしら?」
陽乃「うん、充実してる。早い話だけど、後1年もしたら界龍を卒業だと思うと寂しいかな。まだあの学院に居たいって気持ちがある。それこそ、留年しても良いくらいにはね。まぁ流石にしないし、単位取ってるから出来ないけど。」
雪ノ下母「……貴女はあの環境が、界龍が余程気に入ってるのね。今の言葉だけでもそれは分かります。」
陽乃「確かに今の界龍の居心地が良過ぎるからね~。あの環境で生活出来るのは滅多に無いと思う。しかもその環境が人の手によって作られたんだから、素直に凄いって言うしか無いよねぇ~。」
雪ノ下母「……比企谷さんの事ね。界龍の序列2位で貴女とパートナーを組んで《鳳凰星武祭》を優勝した……」
彼のおかげで今の界龍があると言っても過言では無い。それくらい今の界龍は良い方向に進んでる。それも進化しながら。
雪ノ下母「彼は一体何者なの?私も界龍の幹部だから一通りの事は調べてありますけど、彼の家柄、資格、家族構成、どれも見ても普通の家庭としか思えないわ。」
陽乃「………まぁ、書類とか資料ならそんなところだよ。でも、彼の過去や前の目を見ればそんなの吹き飛ぶよ。それこそ紙屑みたいにね、八幡君は書類や資料なんかで測れるような子じゃないから。」
雪ノ下母「……それはどういう意味ですか?」
陽乃「見たい?今の八幡君と過去の八幡君の写真。」
雪ノ下母「………えぇ。」
私は携帯の中にある写真と彼のプロフィールを映している端末をお母さんに渡した。
雪ノ下母「!………」
お母さんは驚いた顔をしていたけど、すぐ元の顔に戻した。お母さんがあんなに驚いた顔をするのは久しぶりに見た気がする。まぁ確かにそうだよね、同一人物だとは思わないよね。
雪ノ下母「………陽乃、比企谷さんに一体何があったのです?人の目はこんな風にはならない筈です。それなのにどうして……」
陽乃「そうだよね。うん、私もそう思ってる。お母さん、今から言う事は誰にも言わないでね?もし言ったら、いくらお母さんでも許さないから。」
雪ノ下母「………分かったわ。」
そして私は、私の知る範囲で八幡君の過去を話した。勿論、私が彼にしてしまった事も。彼が居ない所で話すのは気が引けたけど、流石に言わないわけにはいかない雰囲気ではなかった。お母さんも驚いた顔を隠せないまま、私の話を聞いていた。
陽乃「………というわけなんだ。今の八幡君が良い目をしてるのは、十中八九シルヴィアちゃんのおかげ。そうじゃないと説明がつかないもの。」
雪ノ下母「………彼にそんな凄惨な過去があったのね。人を見た目で判断してはいけないとはこの事ね。」
うん、全くその通りだね。
雪ノ下母「比企谷さんはとても優しい人なのですね。陽乃、貴女から聞く限りではその印象がとても強いです。今でこそ輝いていますが、1年前の界龍に来る前の彼は……すぐに消えてしまうそうなくらい儚く感じます。」
陽乃「……私はそんな彼にちょっかいを出してたんだ。面白いからっていう理由でさ。思えばあれが引き金になってたんだよね。私があんな事を言わなければ、八幡君があんな思いをせずに済んでた………」
雪ノ下母「陽乃、それは言っても仕方の無い事よ。それに、それを言ったら今の比企谷さんを否定する事になるわ。あの事件があったからこそ、今の比企谷さんが居るのだから。」
陽乃「……そうだね。」
雪ノ下母「貴女が気に病むのは分かります。自分の犯した事を気にするのは当然の事です。それだけの思いがあるのなら、彼も許してくれた筈。」
陽乃「……うん、許してくれた。」
雪ノ下母「なら、貴女が気にする事はもう無いのよ。忘れろとは言わないけど、胸の内にしまっておきなさい。」
……こんな空気になっちゃったけど、やっぱりお母さんは良い事言うなぁ。
雪ノ下母「少し辛気臭くなってしまったけど、陽乃。貴女がいつも学院で楽しみにしている事は無いの?貴女の学院生活を聞かせてちょうだい。貴女のそういう話を聞く機会があまり無いから、これを機に聞いておきたいわ。」
お母さん、気を遣ってくれたのかな?少し表情が柔らかい。
よぉ〜し!なら私も!
陽乃「そうだなぁ~たくさんあるけど……あっ、そうそう!」
この日の夜は、親子久しぶりに打ち解けあった。今年の冬休みはお母さんの所に帰ろっかな。
あんまり親子の会話って感じはしなかったですけど、まぁ許して下さい。