学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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鳳凰星武祭をよ〜く読んでいた方なら分かると思います。




親子水入らずで

 

 

陽乃side

 

 

陽乃「流石お母さんの会社に融合したお店だけはあるね。お洒落だし凄く雰囲気も落ち着く。」

 

雪ノ下母「そうね。貴方もこんな雰囲気の方が落ち着けると思ったから此処にしたの。」

 

陽乃「賑やか過ぎるのはお母さんに合わないしね。私もこういうの割と好きな方だから。」

 

雪ノ下母「そうですか、それなら良かったわ。」

 

 

私は今日の夜にお母さんと一緒に歓楽街(ロートリヒト)で食事をしてるんだ。《鳳凰星武祭》で食事に行く約束をしてたんだけど、お母さんも忙しいから遅くなっちゃったんだ。

 

 

雪ノ下母「それで、学業や学院の生活はどうです?順調かしら?」

 

陽乃「うん、充実してる。早い話だけど、後1年もしたら界龍を卒業だと思うと寂しいかな。まだあの学院に居たいって気持ちがある。」

 

雪ノ下母「余程気に入ってるのね。」

 

陽乃「今の界龍の居心地が良過ぎるのかもね。あの環境で生活出来るのは滅多にないと思う。しかもその環境が人の手によって作られたんだもんなぁ。」

 

雪ノ下母「比企谷さんの事ね。界龍の序列2位で貴方とパートナーを組んで《鳳凰星武祭》で優勝した……」

 

 

彼のおかげで今の界龍があると言っても過言ではない。それくらい今の界龍は良い方向に進んでる。

 

 

雪ノ下母「彼は一体何者なの?私も界龍の幹部だから一通りの事は調べてありますけど、彼の家柄、資格、家族構成をみても普通としか思えないわ。」

 

陽乃「………まぁ、書類とか資料ならそんなところだよ。でも、彼の過去や前の目を見ればそんなの吹き飛ぶよ。」

 

雪ノ下母「……どういう意味です?」

 

陽乃「見たい?現在の彼と過去の彼の写真。」

 

雪ノ下母「………えぇ。」

 

 

私は携帯の中にある写真と彼のプロフィールを映している端末をお母さんに渡した。

 

 

雪ノ下母「!………」

 

 

お母さんは驚いた顔をしていたけど、すぐ元の顔に戻した。お母さんがあんな顔をするのは久しぶりに見た気がする。

 

 

雪ノ下母「………陽乃、比企谷さんに一体何があったのです?人の目はこんな風にはならないはずです。」

 

陽乃「そうだよね。うん、私もそう思ってる。お母さん、今から言う事は誰にも言わないでね?もし言ったら、いくらお母さんでも許さないから。」

 

雪ノ下母「………分かったわ。」

 

 

そして私は、私の知る範囲で八幡くんの過去を話した。勿論、私が彼にしてしまった事も。彼がいない所で話すのは気が引けたけど、流石に言わないわけにはいかない雰囲気ではなかった。

 

 

陽乃「………という訳なんだ。今の八幡くんが良い目をしてるのは、十中八九シルヴィアちゃんのおかげ。」

 

雪ノ下母「………彼にそんな凄惨な過去があったのね。人を見た目で判断してはいけないとはこの事ね。」

 

 

うん、全くその通りだね。

 

 

雪ノ下母「比企谷さんはとても優しい人なのですね。貴方から聞く限りではその印象がとても強いです。今でこそ輝いていますが、1年前の界龍に来る前の彼は儚く感じます。」

 

陽乃「……私はそんな彼にちょっかいを出してたんだ。面白いからっていう理由でさ。」

 

陽乃「思えばあれが引き金になってたんだよね。私があんな事を言わなければ、八幡くんがあんな思いせずに済んでた。」

 

雪ノ下母「陽乃、それは言っても仕方のない事よ。それに、それを言ったら今の比企谷さんを否定する事になるわ。あの事件があったからこそ、今の比企谷さんがいるのだから。」

 

陽乃「……そうだね。」

 

雪ノ下母「貴女が気に病むのは分かります。自分の犯した事を気にするのは当然の事です。それだけの思いがあるのなら、彼も許してくれた筈。」

 

陽乃「……うん、許してくれた。」

 

雪ノ下母「なら、貴女が気にする事はもう無いのよ。忘れろとは言わないけど、胸の内にしまっておきなさい。」

 

 

……こんな空気になっちゃったけど、やっぱりお母さんは良い事言うなぁ。

 

 

雪ノ下母「少し辛気臭くなってしまったけど、陽乃。貴女がいつも学院で楽しみにしている事はないの?貴女の学院生活を聞かせて頂戴。」

 

 

お母さん、気を遣ってくれたのかな?少し表情が柔らかい。

 

よぉ〜し!なら私も!

 

 

陽乃「そうだなぁ……あっ、そうそう!」

 

 

この日の夜は、親子久しぶりに打ち解けあった。今年の冬休みはお母さんの所に帰ろっかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あんまり親子の会話って感じはしなかったですけど、まぁ許して下さい。


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