学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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1日試着

 

 

八幡side

 

 

漢服を購入した次の日。俺はその漢服と羽織(なんていう服か分からないから取り敢えず羽織)を1日だけ着てみる事にした。周囲からの反応はこの際除くとして、この服で過ごしても問題無いかどうかを試す為でもある。

 

そして星露にも一応顔を合わせておこうと思っている。意見も聞きたいからな。

 

 

八幡「しかし、思った以上に素材が良いんだな。軽いし動きの邪魔にもならない。こういうのは邪魔になるだけだと思ってたんだが、考えを改めないとな。」

 

 

俺自身が着た感想は、まぁ羽織には着られてはいないというところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下に出て普通に登校する。その際に朝飯は必要である。今日は服を汚したくないから(まぁ常に汚したくはないんだが)唐揚げ定食にするか。

 

因みに俺は食べるスピードが少しだけ遅い為、皆より早く来る。

 

 

職人1「おっ、八幡坊ちゃん!なんだい今日はめかしつけちゃって。」

 

八幡「星露に押し付けられたから、今日1日だけ着ようと思ってるんです。どうですかね?」

 

職人1「似合ってんよ!本当の師匠みたいじゃないか!あの子は身につけていても、そんなに威厳無いからね。」

 

 

まぁ普段のあいつがアレだからな。仕方ないっちゃ仕方ないが、ほぼ自業自得だな。

 

 

八幡「まぁそれについては否定出来ませんね。あっ、唐揚げ定食で。」

 

職人1「あいよっ!今日は師匠バージョンだからおまけしといてやるよ!」

 

八幡「どうも。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男生徒1「そ、尊師っ!!?そのお姿はっ!!」

 

八幡「あぁ、学園祭に向けて試着してるだけだ。今日はこれで過ごそうと思ってる。お前から見てどうだ?変か?」

 

男生徒1「い、いえ滅相もございません!!とても良くお似合いですっ!!」

 

八幡「そうか。」

 

 

 

 

 

女生徒1「えっ!?尊師!?その羽織は!!?」

 

女生徒2「それは師父と同じ……」

 

八幡「あぁ、学園祭に向けてな。お前らから見てどうだ?」

 

女生徒2人「とても良くお似合いですっ!!」

 

八幡「そ、そうか……」

 

 

 

 

 

虎峰「は、八幡!?その羽織はどうしたのですか!!?」

 

セシリー「わおー!八幡カッコいー!」

 

陽乃「ホントだー!八幡くん良く似合ってるよ〜!」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

 

こうも連発で似合ってると言われたら疑いたくなるが、陽乃さんから言われたらなんか安心するんだよな。

 

 

虎峰「それで、どうしたのですか?」

 

八幡「学園祭に向けて試着してんだ。簡単に言えば試運転だな。」

 

陽乃「学園祭に?日常から着れば良いじゃん。似合ってるのに。」

 

八幡「俺の制服だと着れないんですよ。だから昨日買った漢服を着てこれを羽織ってるんです。」

 

陽乃「あぁ!だから服が黒じゃないんだね!」

 

八幡「そういう事です。」

 

セシリー「でも勿体ないよー。普段からそれ着なよー!絶対受け良いから!」

 

八幡「俺はサービスをさせる為に着てるわけじゃないんだが?」

 

虎峰「良いではありませんか八幡。今日を機にそれで生活するのも。」

 

八幡「お前までそんな事言うのか……」

 

 

俺の味方って誰も居ないの?

 

 

沈雲「おはようございます、師兄方。ん?比企谷くん、それをどうしたんだい?」

 

沈華「まるで羽織に羽織られている人じゃない。」

 

八幡「沈華は朝から絶好調だな。キレッキレじゃねぇか。ていうかこれ答えるの何回目だ?」

 

冬香「おはようございます皆さん。あら八幡さん、良くお似合いですよ。」

 

暁彗「……………中々似合っているぞ、比企谷八幡。」

 

八幡「おはようございます冬香さん、暁彗も。」

 

陽乃「ねぇ聞いてよ2人共!八幡くんってばこの羽織を学園祭でしか着ないって言ってるんだよ!どう思う!?」

 

冬香「そうですね……少々勿体無いかと。折角師父から頂いたのです、この際に着続けるのが良いかと。」

 

暁彗「……………梅小路冬香に同調だ。」

 

陽乃「やっぱり2人もそう思うよね!ほら八幡くん、やっぱりそれは日常で着るべきだよ!」

 

セシリー「陽姐にさんせー♪」

 

沈雲「よく似合ってるしね。僕も師姉に同意だよ。」

 

沈華「私もよ。」

 

虎峰「僕も賛成です。」

 

 

こいつら………

 

 

八幡「もうちょっとは味方してくれてもいいじゃねぇか。」

 

虎峰「まぁまぁ、いいじゃありませんか。」

 

セシリー「そうだぞ八幡ー。減るものじゃないんだからさー。」

 

八幡「俺の精神はすり減るんだが?」

 

 

この学院にはこの羽織よりも、俺の方を取ってくれる奴は居ないのか?

 

 

それから八幡は、生徒に会う度に同じ内容の反応と質問を繰り返されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー黄辰殿ーーー

 

 

そして時間は過ぎ、現在放課後。

 

 

八幡「星露………」

 

星露「ん?八幡ではないか。なんぞ用かえ?」

 

八幡「いや、お前から見て俺の今の格好はどうだ?」

 

星露「何じゃそんな事か。普通に似合っておるぞ。此処に歌姫殿がいたら大喜びしそうなくらいにのう。」

 

八幡「……似合ってるのは事実だな?」

 

星露「うむ、妾は嘘はつかん。」

 

 

………ならいい。

 

 

八幡「今日は疲れた。1日だけ着るつもりが年中無休で着る羽目になった。」

 

星露「大体予想はつくわい。大方今日と学園祭しか着ないと言ったら、全員に猛反対されたんじゃろ?」

 

八幡「………正解だ。」

 

星露「まぁ、そんなところじゃろうと思っとったわ。それを着るのはそんなに嫌かえ?」

 

八幡「そう言うわけじゃない。」

 

星露「なら良いではないか。何を拒む必要があるのじゃ?」

 

八幡「……確かにその通りだが、なんだかなぁ。」

 

 

そして俺は、今日からあの羽織を着る事になってしまい、制服も新たに支給される事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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