学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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直での再会 2

 

 

陽乃side

 

 

葉山「やぁ、陽乃さん。」

 

 

今日で会いたくない人全員にエンカウントしちゃったよ。しかも目の前にいる男は、普通に笑顔で私に話しかけてるし。しかもその顔に中途半端で未完成かつ歪な形をしたまんまの醜い仮面をつけて。

 

 

陽乃「名前で呼ぶのはやめてくれないかな?あんたに名前で呼ばれたくないんだよね。」

 

葉山「傷つくじゃないか。昔からの仲じゃないか。」

 

陽乃「それは1年前の話でしょう?あんたと私の家はもう関係切ってるんだから。誰かさんのせいでね。」

 

 

そう。1年前の出来事で雪ノ下家と葉山家の関係は崩れた。顧問弁護士としての関係も剥奪されて、葉山家の信頼は地に落ちたといっても過言ではなかった。息子がしでかした事は世間に大きく影響を与えていた。

 

 

葉山「あぁ、ヒキタニくんが余計な事をバラしてくれたせいだね。」

 

陽乃「……それ本気で言ってんの?だとしたらそれはとんでもない勘違いだよ?」

 

葉山「本気だよ。あいつが余計な事を喋らなければ、俺はあんな思いをせずに済んだんだ。」

 

陽乃「自業自得じゃない。あんたがやった事なんだから。あんたが文化祭で委員長ちゃんを勧めたりしなければ、修学旅行で八幡くんにあんな依頼をしなかったら、こんな事にはなってないよ。」

 

葉山「……まるで僕が悪者みたいな言われ方をするね。」

 

陽乃「それがあんたの答え?だとしたらその耳、1年前の八幡くんの目以上に腐ってるね。」

 

葉山「俺とあいつを一緒にするなっ!!」

 

陽乃「はぁ?あんたみたいな虫ケラと八幡くんを同等に見るわけないでしょ?未だに私を追いかけているようなお子様には、お似合いの姿だけどね。」

 

 

彼って自分が八幡くんより下だって考えてないんだろうね。

 

 

陽乃「それで?あんた此処で何やってんの?まさかとは思うけど、ガラードワースの生徒がストーカーなんてやってるわけないよね?」

 

葉山「僕がそんな事する訳ないじゃないか。ただシルヴィアさんが近くにいたから見ていただけだよ。」

 

 

うわぁ、こいつがやると何で普通の人よりも気持ち悪いって思えるんだろう?

 

 

葉山「彼女、やっぱり綺麗だね。」

 

陽乃「まぁ確かにね。」

 

葉山「だからこそ残念だよ。ヒキタニくんみたいな奴に騙されているんだからね。陽乃さん、貴女もだよ。」

 

陽乃「………」

 

葉山「あいつは自分が傷ついた事を主張して、偽物で手に入れた力で皆を騙しているんだ。あいつなんかがあんな不釣り合いな力を持てるはずが無いんだ!皆騙されているんだ!」

 

 

こいつ………本当に口聞けないくらいいたぶってあげようかな?

 

 

葉山「陽乃さん!貴女なら分かるだろう?あいつがどんな人間か。だからこそ「あのさ」……何だい?」

 

陽乃「それ以上八幡くんを侮辱するなら………その顔二度と人の前で見せられないようにしてあげるよ?」(ギロッ)

 

葉山「っ!!?」

 

陽乃「八幡くんが私たちを騙してる?それで?あんたに何か困る事があんの?」

 

葉山「いや、俺はただ陽乃さんたちを助けようと……」

 

陽乃「誰がそんな事頼んだの?私はそんなのいらないし、必要ない。それに、これは誰かにも言ったけど、私が八幡くんに騙されているのなら、私は騙されたままで良いと思ってる。」

 

陽乃「それと、そんな事私に言うんじゃなくて、界龍のど真ん中で言ってみてよ。その方が効果あると思うよ。一気に大勢の人たちに言えるんだからさ。」

 

葉山「………」

 

陽乃「都合が悪くなったら黙り込む。うんうん、何も成長してない証だね。」

 

 

本当、何の根拠があって騙されてるなんて言えたんだろう。前よりずっとバカになってない?

 

 

葉山「……重症だね。まさかこんなに酷いなんてね。」

 

陽乃「は?」

 

葉山「あいつもなんて奴だ。シルヴィアさんもこんな風に騙したのか?」

 

陽乃「あのさ、何言ってんの?」

 

葉山「陽乃さん。」

 

陽乃「名前で呼ぶなって言ったよね?今度は何?」

 

葉山「俺はシルヴィアさんの所に行くよ。」

 

陽乃「それ私に言う必要無いよね?勝手にすれば?」

 

 

はぁ……なんか疲れた。

 

 

葉山「疲れてそうだけど大丈夫かい?休んだ方が……」

 

陽乃「誰のせいで疲れてると思ってるのよ。」

 

葉山「ヒキタニだろ?」

 

 

頭のネジ何個飛んでんのよこいつ……自分だって事分からないの?

 

 

陽乃「あんた以外私と話してる人いる?周り見なさいよ。」

 

葉山「マインドコントロールの現れだね。これは急がないとシルヴィアさんも危ないね。」

 

 

うん、あんたの方が危ないから。それに八幡くんは人を縛るような事絶対しない。それと人の話を聞きなさいよ。

 

 

陽乃「あんたさ、シルヴィアちゃんが八幡くんに本気で惚れてるとは思ってないの?」

 

葉山「……あっはははは!何を言ってるんだい陽乃さん!彼女程の人があんな奴に惚れるわけ無いじゃないか!」

 

陽乃「まさか自分以外に惚れる相手がいるわけ無い、なんて思ってたりもしないわよね?」

 

葉山「よく分かってるじゃないか。その通りだよ。あんた目の腐った奴なんかより、俺の方が断然良いに決まってる!それ以外考えられないだろう?」

 

 

ぶん殴りたい……こいつを凄くぶん殴りたい。ガラードワースが決闘禁止なのが凄く腹立たしく思えて来る。

 

 

陽乃「まぁやってみなよ。シルヴィアちゃんはあんたみたいな上っ面の奴なんて相手にしないから。」

 

葉山「……陽乃さんも冗談が下手になったね。」

 

 

……性格まで気持ち悪くなってない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ヤベェ……葉山が物凄くゲスい男になってる。こんな描写にするはずじゃあ無かったのに。


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