学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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耐え難い辛さ

 

 

八幡side

 

 

学園祭に向けた演武と鍛錬を終えて、陽乃さんとシルヴィを俺の部屋に案内した。だが俺には、この2人が一緒にいるところを見たことがなかったから、今回何の話をするのかは想像もつかない。

 

 

何の話だ?

 

さっき陽乃さんからはあの3人の事を電話で聞いたが、その事か?

 

 

八幡「一応お茶は用意しますね。そこに座っててください。」

 

シルヴィア「ありがとう、八幡くん。」

 

陽乃「お願いねー。」

 

 

ーーー3分後ーーー

 

 

八幡「お待たせしました。」

 

陽乃「おっ、もしかしてこの羊羹も八幡くんの手作り?」

 

八幡「な訳ないじゃないですか。それは客人用のですよ。俺のなんて出すわけないじゃないですか。」

 

陽乃「それはそれで勿体無いような気もするけど、まぁいいか。」

 

八幡「それでどうしたんです?こんな組み合わせで話なんて初めてですけど、2人はそれ程面識がないと思ってたんですが?」

 

陽乃「うん、これはちょっと八幡くんに報告した方が良いかな〜って思ってね。だからシルヴィアちゃんも連れて来たんだ。」

 

八幡「それってシルヴィも関係あるのか?」

 

シルヴィア「ううん、私は八幡くんの所に来る?って聞かれたから来ただけなんだけど、話があるまでは聞いてないかな。」

 

八幡「陽乃さん……」

 

陽乃「ゴメンゴメン。でもそれくらい重要な事なの。シルヴィアちゃんに訳を説明してる時間も惜しいくらい。」

 

 

そんなにか?

 

 

陽乃「八幡くん。あの3人をつけてたっていうのは本当は嘘なの。実はその時から接触してたんだ。」

 

八幡「……つまり奴らから頼まれたと?貴女がそう簡単に応じるとは思ってないのですが……」

 

陽乃「そりゃ私だってたタダでやったわけじゃないよ。条件付きで八幡くんが応じるか応じないかで話を取り持ってあげるっていうのが条件。今回はハズレだったけどね。」

 

 

当たりなんてやりたくもねぇよ。

 

 

シルヴィア「3人って言うのは、陽乃さんの妹の雪ノ下雪乃さんと八幡くんの妹の比企谷小町さんと由比ヶ浜結衣さんですか?」

 

陽乃「よく知ってるね。八幡くんから聞いたの?」

 

シルヴィア「……はい。注意しておいた方が良いって言われてたので。」

 

 

まぁ界龍とクインヴェールとガラードワースと星導館で交わした事を話すわけにもいかないからな。

 

 

陽乃「そこまでは問題無いんだ。次なの。あの男がやっと動いたよ八幡くん。」

 

八幡「……葉山ですね?」

 

陽乃「うん。しかも君の事を相当にメチャクチャ言ってたよ。それに私がマインドコントロールに掛かってるとか訳の分からない事も言い出してたし、最後にはやっぱり君を貶してたよ。」

 

シルヴィア「もしかして、陽乃さんが様子を伺ってたのは……」

 

陽乃「そっ、あいつが変な事をしないように監視もしてたんだ。もしシルヴィアちゃんがあいつの誘いに乗ろうとしてたら、私は絶対阻止してたね。」

 

シルヴィア「そんな事絶対あり得ません!八幡くんをあんな風に言う人になんかついていきません!」

 

陽乃「分かってるから安心して。でさ、あいつが言ってた言葉なんだけどね、私やシルヴィアちゃんが八幡くんに洗脳、または騙されている。偽物の力で皆を騙している。八幡くんがあんな不釣り合いな力を持てるはずがない。シルヴィアちゃんが八幡くんに惚れてる筈がない。俺の方がヒキタニよりも断然良いに決まってる。これくらいかな。」

 

 

酷ぇ言われ様だな。シルヴィ、頼むから此処で暴れるなよ?気持ちは分かるが。

 

 

シルヴィア「何ですかそれ!?まるで八幡くんがズルして強くなったりしたような感じにして、自分の事を過大評価してるだけじゃないですか!」

 

陽乃「そう。まぁあいつは、八幡くんは卑怯で最低最悪な奴で、自分の方が奴の何倍も良いって言いたいんだろうね。私は全くそうは思わないけど。」

 

シルヴィア「当たり前です!八幡くんの方が何万倍もマシです!」

 

 

……そう言ってくれるのは嬉しいが、もう少し声を抑えてくれ。

 

 

陽乃「そしてシルヴィアちゃんをここに呼んだのは、シルヴィアちゃんがあいつに言われた事を話して欲しいからなの。どう?お願い出来る?」

 

シルヴィア「断る理由もありませんからね。勿論お話しします。」

 

 

シルヴィにも接触してたのかあいつ……どんな事話したんだ?

 

 

シルヴィア「葉山くんから最初に言われたのは、八幡くんに騙されている……だったかな。理由を聞いてみたら、全部だって。実際には実力が無くて、強くもないって言ってた。同じ高校にいたからどれ程卑怯なのかも分かるとか言ってたね。だから縁を切れって。」

 

陽乃「それ、絶対最後じゃないでしょ?」

 

シルヴィア「はい。私が何度か疑問をぶつけて帰ってきた答えが、泣いている子を平気で追い詰めたり、好きでもない女の子に嘘告白をする男、彼はそれを止めようとしたとも言ってたよ。そしてまた縁を切れって言ってから人を平気で傷つけるような人とは付き合うべきではないって言って、私が優しい人だって言ったら、それは今の内で必要無くなったらお払い箱だって。」

 

 

………………………

 

 

陽乃「八幡くん、落ち着いてね?」

 

八幡「大丈夫です。俺は大丈夫です。シルヴィ、無理に話さなくても良いからな。これを話してて一番辛いのはお前だろ?」

 

陽乃「あっ………」

 

 

そうだ。俺は別にこれくらいの事どうって事ない。むしろ慣れてる方だ。だがシルヴィは違う。好きな人をこれだけ悪く言われて平気でいられる訳がない。

 

 

陽乃さんも気付いたのか、やってしまったという顔をしていた。

 

 

シルヴィア「……私も大丈夫。だから最後まで話すね。」

 

 

そうは言ってるが、シルヴィの声は震えていた。それに手をきつく握り締めてもいた。必死に抑えているのだろう。

 

 

そしてその後も、シルヴィの聞いた話を俺と陽乃さんは静かに聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィア「ーーーって言って私はそこから居なくなって陽乃さんと一緒に此処に来たの。」

 

八幡「……そうだったのか。まぁなんにせよ、何もなくて良かった。」

 

陽乃「そうだね。八幡くん、私はこの後用事があるからもう行くね。シルヴィアちゃんの事、任せても良いかな?」

 

八幡「えぇ、問題ありません。」

 

陽乃「ありがと。それとシルヴィアちゃん、ゴメンね。私八幡くんが言うまで全く気付かなかったよ。辛い事言わせてゴメンね。」

 

シルヴィア「いえ、これも必要な事ですので大丈夫です。」

 

陽乃「……うん、じゃあね2人共。」

 

 

そう言ってから陽乃さんは本当に申し訳なさそうな顔をして出て行った。気を遣ったのか、本当に用事があるのかは分からないが、ここはそれを有効に使わせてもらおう。

 

 

シルヴィア「八幡くん、大丈夫?無理してない?」

 

八幡「それはこっちの台詞だ。大丈夫か?」

 

シルヴィア「何言ってるのさ。私なんて全然「声、震えてる。それにその握り締めた手を見れば分かる。」………」

 

八幡「俺はこんなの言われ慣れてる。だがお前はそうじゃないだろ?辛い筈だ。今は2人しかいないんだ。本音を出しても構わない。」

 

シルヴィア「………」(ポロポロ)

 

 

次第にシルヴィの目から涙が出てきて、段々と量も多くなっていた。

 

 

シルヴィア「うぅ……うっ……」(ポロポロ)

 

八幡「シルヴィ……」(ギュッ)

 

シルヴィア「グスッ…うっ、うぅ……」(ギュッ)

 

 

俺はただ抱き締めて、慰めの言葉を言うことくらいしか出来ない。

 

 

八幡「陽乃さんも悪気がなかったとはいえ、嫌な事をさせちまったな。」

 

シルヴィア「ゴメンね……ゴメンね、八幡くん。」

 

 

シルヴィの顔は俺の肩に隠れて見えないが、泣きながら俺に謝ってきた。辛いのはシルヴィの筈なのにだ。立ち直るのには時間が掛かりそうだし、シルヴィが落ち着くまで側に居てやるべきだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





自分の大切な人をバカにされたり、中傷されるとこうなりますよね。しかもそれを本人の前で起きた事を話すとなると、凄く心が痛みますよね。

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