オーフェリアside
………あの葉山という男と別れて、私たちは今ガラードワースの中庭付近に来ていた。ガラードワースの生徒や他学園の生徒、観光客は辺りをキョロキョロしているわ。それもそうよね。八幡があれだけの気を発するんだもの、気づかない方がおかしいわ。
………でも安心して。八幡はもう殺気を出してないし、雰囲気も普通に戻ってるわ。でもあの男と一緒に居た時は、星導館の3人と同じくらいかそれ以上に腹が立ったわ。私を救ってくれた人をバカにするだけでも許せないのに、八幡の事を偽善者呼びするのは本当に我慢出来なかったのだけど、八幡があれだけの殺気を出してくれたから許してあげたわ。
………あの時の八幡はカッコよかったわ。それに、あんな後があって嫌な気分になると思っていたのだけど、全くそうならなかった。その理由は………
八幡「………」
シルヴィア「えへへ、やったね♪」
オーフェリア「………///」
無意識とはいえ、八幡が私と【戦律の魔女】の肩を抱いてくれているからなの。それはこの中庭に来ても続けている。八幡は多分気づいていないんでしょうね。これは言わない方が長くたの………堪能出来るから、このまま黙っている事にしましょう。
八幡「……さっきは悪かったな。突然【
シルヴィア「虎威?」
八幡「簡単に言えば威嚇、威圧だ。大抵の奴はこれで怯む。葉山があれだけ腰抜かしてたって事はそんだけの奴だって事だ。」
オーフェリア「………私たちも動けなかったのだけど?」
八幡「虎威は別に前だけに発するものじゃないからな。全方向に出来る。」
………八幡って本当に凄いのね。色んな事が出来て羨ましいわ。
アーネスト「比企谷くん!」
………前の方からは、【聖騎士】を先頭にガラードワースの冒頭の十二人の序列上位4人を引き連れて私たちのところまでやって来た。
アーネスト「……先程の気迫は……君がやったのかい?」
八幡「えぇ。シルヴィに触れようとしていたものですから。」
アーネスト「それにしては大き過ぎる気迫だと思うんだけど?」
八幡「一応の警告ですよ。これ以上の接触はするなという意味も込めてね。」
パーシヴァル「では、葉山隼人は?」
八幡「あっちの方で腰抜かしてるんじゃないか?本気で殺気を向けたからな。」
パーシヴァル「……そうですか。」
ケヴィン「それよりもよ【夢幻月影】。」
八幡「何だ【黒盾】。ニヤニヤして気持ち悪いぞ。」
ケヴィン「いやだってよ、いつまでその2人の肩を抱いてんだ?まさかとは思うけどよ、葉山隼人と別れてからずっとじゃねぇのかい?」
………余計な事を言ってくれたわね。折角八幡からやってくれたのに。
八幡「ん?あっ、悪いな。」
シルヴィア「もぉ〜何で言っちゃうのさ!折角八幡くんからしてくれたのに〜!」
ケヴィン「マジでか!?いやぁそりゃ悪かったな。」
オーフェリア「………本当よ。少しあっちの方に行って決闘でもどうかしら?」
ケヴィン「い、いや……勘弁してくれ。」
アーネスト「その辺に。それで比企谷くん、何があったのか説明してくれるかい?この場所では話せないから、生徒会室で話そう。勿論ミスリューネハイムとミスランドルーフェンもご一緒にね。」
八幡「………分かりました。でもその前に葉山の確保をお願いします。」
アーネスト「それはレティシアとケヴィン、ライオネルに任せるよ。いいね?」
レティシア「でもアーネスト、葉山隼人は私たちよりも序列が下なのよ?3人もいるかしら?」
アーネスト「これは僕と比企谷くんとミスリューネハイム、そしてパーシヴァルと交わしている約束でもあるんだ。あまり聞かれたくない事だから……いいね?」
ケヴィン「まぁアーニーがそう言うなら仕方ねぇよな。」
ライオネル「承知した。」
レティシア「分かりましたわ。」
アーネスト「理解してくれて嬉しいよ。2人もいいかな?」
シルヴィア「まぁ、そうなるよね。」
オーフェリア「………分かったわ。」
ーーー生徒会室ーーー
アーネスト「好きなところに掛けていいよ。」
八幡「じゃあ俺は端に「八幡くんは勿論真ん中だからね♪」……はい。」
………流石【戦律の魔女】ね。分かっているわ。
座り方は入り口側に私で八幡、最後に【戦律の魔女】で私の正面にいるのは【優騎士】で、八幡の前に【聖騎士】という並びになっているわ。
アーネスト「それじゃあ早速だけど、聞かせてくれるかい?」
八幡「はい。」
そして八幡はあの葉山という男と何をしていたのをすべて話した。私も隣で聞いていたけど、間違いは何処にもなかったわ。
アーネスト「………まさか彼がそこまでするなんてね。そのサンドイッチはどうしたんだい?」
八幡「残ってれば良いんですけどね。そのまま置いたままです。」
シルヴィア「残ってたら唯一の証拠品になるからね。そこには賭けるしかないね。」
オーフェリア「………でもそのサンドイッチに薬が含まれているのを知っているのは八幡だけなのよ。調べるに越したことはないけれど、それだけだと証言にならないと思わない?」
八幡「確かに俺だけが証人だとしても無理があるよな。せめてもう1人いたらな。」
シルヴィア「私の学園にはそんな人居ないかな。」
オーフェリア「………私の学院にもそんな人居ないわね。」
アーネスト「僕の学院にも居ないね……パーシヴァル、君はどうだい?」
パーシヴァル「私でもそこまでは……」
アーネスト「ふむ……出来るなら検査依頼を出したいところだけど、事態を大事にするのも僕は望まない。何かないかな……」
………フラウエンロープ系列の病院なら解析出来ると思うけど、私はもう長い事行ってないから受けてくれるかもわからないわ。
アーネスト「………こうなったら埒がないね。比企谷くん、そして2人共。この件はこれで終わりでいいかい?このまま議論していても解決にはならないからね。」
シルヴィア「まぁ出来る事は無さそうだしね。私はそれでもいいよ。」
オーフェリア「………私も構わないわ。」
八幡「………俺もそれでいいです。」
アーネスト「ありがとう。時間を取らせてしまったね。3人は学園祭を満喫していっていいよ。といっても、もう1時間くらいで1日目は終了してしまうけどね。」
………外を見ると夕日が沈みかけていたわ。あれから大分時間が経っていたのね。
八幡「じゃあ俺たちも帰るか。」
オーフェリア「………そうね。」
シルヴィア「うん、そうしよう。」
そして私たちはガラードワースを後にして街を少しだけぶらつきながら、学園祭の1日目終了の合図と共に別れた。