八幡side
ルサールカの紹介も終わり、時間もちょうど良くシルヴィの歌う10分前になった。クインヴェールは面積あんまり広くないから入れる人数は限られているだろうが、それでも2000人くらいは入れる。
シルヴィア「そろそろ時間だね。じゃあ行ってくるよ!あっそうそう、八幡くん。VIP席は1番奥の扉だから。中にペトラさんがいるからすぐに分かるよ〜!」
シルヴィはそれだけ俺に伝えるとピューっと行ってしまった。
マフレナ「ですが驚きました。学園長からは聞いていましたが、本当に来るなんて思ってもなかったです。」
八幡「恋人のライブなんだ。見たいって思うのが自然じゃないのか?」
マフレナ「確かにそうですが、比企谷さんは界龍の方ですのでそういうのには興味ないと思ってたので。」
八幡「もしそうだったら、俺は去年11月のライブや今年10月のライブにも出てないぞ。」
マフレナ「………そう、ですね。」
ミルシェ「でもさ、失礼だけどシルヴィアが何で君に惚れたのかよく分からないんだよね〜。見た目は確かにカッコいいし歌のセンスも抜群、実力だって六花でトップクラス。この点ならガラードワースの【聖騎士】も同じくらいだと思うのに。」
モニカ「そうねぇ。言っては悪いけど、貴方からはオーラというものをあまり感じないわ。」
八幡「何だ?それは暗に俺が弱いと言いたいのか?」
モニカ「強いというオーラを感じないのよ。」
八幡「ンなの出すもんでもないだろ。」
自分から『自分、強いです!』みたいにアピールする奴なんてバカみたいだろ。
パイヴィ「でも、凄みを感じないのは確か。」
トゥーリア「本当は大した事ないんじゃねぇのか?」
マフレナ「皆さん、失礼ですよぉ〜。確かに今は何も感じませんけど、鳳凰星武祭は皆さんご覧になりましたでしょう?あれだけの動きが出来るんですから強いのは事実です!」
トゥーリア「でもさ〜……」
八幡「はぁ………」
あんまりやりたくはないんだが仕方ない、納得させる為にはやるしかないか。
破ッ!
5人「ッ!!!?」
おーおー驚いてる。
ミルシェ「これって……君が?」
八幡「あぁ。納得してくれねぇみたいだったから見せた方が早いと思ってな。」
パイヴィ「……凄い、シルヴィア以上。」
モニカ「何なのよこれ……」
トゥーリア「……さっきと全然違うじゃん。」
マフレナ「だから言ったじゃないですか!比企谷さんは強いんですっ!」
………さっきから信じてくれるのはマフレナだけだな。
八幡「分かってくれたなら構わない。別に出す意味なんてなかったけどな。」
そして俺は気を収めた。
モニカ「驚いたわね……流石、といったところかしら。」
ミルシェ「そうだね〜!いや〜ビックリしたよ!」
パイヴィ「凄かった。」
トゥーリア「………ふん、まぁ実力は実力は認めてあげるわ。」
約1名上から目線なのがいるが、まぁいいか。
八幡「じゃあ俺はVIP席に行くから。じゃあな、ライブお疲れさん。」
ーーー舞台裏・廊下ーーー
そうだよな。此処は女子校で照明とか天幕とかも生徒や教師が連携してやってるから、スタッフが居ないのは当たり前だよな。
それにしても、あたり一面女子しかいないな。早くVIP席に行かなきゃな。
「すみません!界龍の比企谷八幡さんですよね!?握手して下さい!」
「あっ!私にもお願いします!」
「私にはサインを!」
「私にもお願いします!」
「明日の講習会、私行きますのでよろしくお願いします!」
「私も行く予定なので、よろしくお願いします!」
………あっという間に囲まれちまった。しかもクインヴェールって皆揃って顔の偏差値高いんだよな。シルヴィはズバ抜けてるけど。
八幡「あぁ、ありがとう。今少し急いでるから握手はいいがサインは無理だ。済まない。」
すると聞き分けが良いのか、色紙はすぐにしまって『握手だけでも!』と切り替えてくれた。
なんだかんだ色々あったが、ようやくVIP専用の部屋に着いた。中ではペトラさんがいるんだったか?
pipipi…pipipi…
ペトラ『あら八幡くん、漸く来たのね。少し遅かったんじゃないかしら?』
八幡「此処のファンに少し。中に入っても大丈夫ですか?」
ペトラ『えぇ、構わないわ。』
通信を終わらせて扉が開くと中にはいつも通りスーツとバイザー型のサングラスを着けた長身の女性がいた。
ペトラ「待っていたわ、八幡くん。もうすぐ始まるところよ。」
八幡「シルヴィは?」
ペトラ「まだ舞台裏よ。」
さて、シルヴィのライブをこうやって客としてみるのは初めてだからな。いつもはステージ側だったが、この目線を楽しむか。