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八幡の講習会は順調に進んでおり、参加している殆どが黐手をマスターしていた。黐手は対練の中では基礎の方だが、内から外、外から内への手の入れ替えが難しいのだ。
出来なかった者は仕方ないが、殆どの2人一組がマスターしているので問題は無いだろう。
八幡「皆さんが大体出来るようになったところで次のステップです。次は
「はい。」
分かってはいるだろうが敢えて説明しよう。八幡は女性を選ばなかったのではなく、選べなかったのだ。攻撃する場所が胸中に限定したからである。
八幡「先ずは先程やってもらった黐手をゆっくりでも早くでもいいのでやります。その次にどちらの腕は外に向いている筈です。そちらの腕で胸に向かって攻撃をします。その際される方は内にある手でガードをして片方の腕は外側に向いているので、そちらの腕で攻撃をします。これを連続で繰り返してみてください。出来るところまでで構いません。何度失敗しても大丈夫です。ありがとうございました。」
八幡「それと、もし男女混合のペアが居た場合は、男性の方は攻撃する場所を少し上へずらしてください。」
この言葉には男の参加者も安心の溜息をついた。当てるわけではないが、もし当たってしまった事を考えると恐ろしいものだ。
ーーー八天門場・上階ーーー
虎峰『………大師兄、僕の方からは誰も八幡を狙っている人は見受けられません。大師兄の方はどうですか?』
暁彗『………………私の方もそれらしい人物は居ない。』
宋『師兄方、私の方角からもそれらしい人は居ません。』
銀梅『師兄方、私からも居ません。』
虎峰『どの方角からも無しですか……』
暁彗『………………それは良い事だ。何もなく終われるのが1番だ。』
銀梅『そうですね、引き続き監視を続行します。』
『『『了解。』』』
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陽乃side
ーーー玄武の間ーーー
アンタ達も懲りないね?どうしてあれだけやられたのに突っかかろうとするのかな?余りにも無神経過ぎるよ。
陽乃「会場を回ってて良かったよ。まさか本当に居るなんてね。それに葉山……アンタ組める人居たんだ。」
八幡君から理由は聞いたけど、どうやら事実は流されちゃったみたいだね。まぁ証拠が無いんじゃあ、どんなに喚いても有罪にはならないからね。
セシリー「ねー、陽姐が言ってた葉山ってのはドイツー?」
陽乃「んー?あそこのガラードワースの制服着た金髪の無駄に顔が良い奴。」
セシリー「……あ、見つけた。アイツかぁー……なんか八幡の方がイケメンじゃなーい?」
陽乃「あっ、セシリーもそう思う?だよねー!八幡君の方が絶対良い顔してるよね〜!」
これ本当!
セシリー「今調べたんだけどさー、アイツ序列57位なんだねー。それでよく八幡に文句とか言えたもんだよね?顔面整形してあげよっか?蹴りで。今なら無料サービスだよ?」
陽乃「ダメだぞ~。そんな楽しそうなの私だってやりたいんだから。でも八幡君に怒られるからダメ。」
セシリー「ざんねーん。でもさ、八幡って《獅鷲星武祭》に出る予定なんでしょー?」
陽乃「まぁ《鳳凰星武祭》で三冠制覇を豪語するくらいだからね。」
セシリー「未だにチームとか作ってないけど大丈夫なのかなー?」
ん~確かにね。もうチームを作っててもおかしくない時期だし、チームワークを深めるって意味でも大事な時期でもあるから、もう組んでおいても良いと思うんだけどね。
陽乃「まぁ、そこは八幡君にも考えがあるんじゃない?」
セシリー「そうだよねー。何せ巷では『次期万有天羅』なんて噂も立ってるしねー。」
陽乃「それ八幡君には言わないようにね?シルヴィアちゃんも気を遣って言ってないみたいだから。」
ホント、凄い噂が立っちゃったよねー。
陽乃sideout
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ーーー八天門場ーーー
八幡「さて、良い時間になりました。残念ですが、講習会の時間もそろそろ終わりになってきました。夢中になると終わりも早くなりますね。では最後に私が皆さんに披露するのは、木人椿で本気の速さで打ち込みと、私と界龍生徒10人による組手を行います。まずは打ち込みからいきます。」
八幡は再び木人椿の前で構えると、先程やった打ち込みとは比べ物にならないくらいの速度で拳や腕などで打ち込みを始めた。
「え……あんなに速いの?」
「1個も打ちもらしてないよね?」
「うん、全部正確に当ててる。」
「マジかよ……あんなに速く出来るのかよ。」
「信じらんねぇ………さっきの打ち込みもう遊びじゃん。」
打ち込みが早いだけにすぐに終わってしまったが、参加者にとっては1番のメインが見られるから、打ち込みは早く終わって良かったのかもしれない。
八幡「では次に私と当学院生徒による組手です。ぶつかる可能性がありますので、皆さん出来るだけ離れてください。」
八幡が手を上げた瞬間、上の方から10人の生徒が降って来た。見るからに全員木派である。
生徒「尊師、お願いします!」
生徒が全員包拳礼をしてからそれぞれ構え始めた。八幡はそのままゆっくりと手を上げて胸の真ん中に持って来て同じ包拳礼をした。
その途端に生徒が全員ではないが、殆どが八幡に向かって攻めて行った。
まず1人が飛び蹴りを放ったがあっさりと躱されて、床に打ちつけられた。
2人目が水平蹴り。だが簡単に掴まれてしまい3人目が襲い掛かってくるも蹴りで牽制してから2人目の掴んだ足に向かって振り下ろされて戦闘不能。
3人目は攻撃する前に八幡から拳を鳩尾に受けてしまい、ダウン。
4人目は攻撃は出来たが八幡に受け流されて、その腕を八幡に固定され顔に3発の拳でダウン。
5人目、八幡に転ばされて起き上がろうとするが、掌連槌(連打の事)で気絶。
早くも半分が戦闘不能になり、八幡はこれを機に構え直す。だが生徒達も戦闘の意思は消えておらず、寧ろ燃え上がっていた。
6人目が攻め込んでくるが、八幡に肘で首筋を打たれてから膝蹴り、そして腕で体を回されてから首を掴まれて投げ飛ばされた。
7人目、八幡に蹴りを入れようとするも足を掴まれ、地面についている足を払われて転倒。そこから片方の足を固定されて背中を連打された後に肘で打たれた。
8人目が攻撃しようとするが、八幡に受け止められて頭の側面を打たれた。当たり所が悪かったのか、そのままダウン。
9人目は攻撃をするもガードされ、そのまま八幡に掌連槌を受けて戦闘不能。
最後の10人目は八幡の体に向かって蹴りを放つもガードされ、続いて水平チョップを繰り出すも躱されてしまい、掌連槌をされてから足払いをされ顎に肘を受けて気絶。
八幡は無傷で10人倒してしまった。
八幡「ふぅ……詠春拳を会得して鍛錬に励めば、このように10人を相手にしても冷静に対処する事も出来ます。1対多数に向いているわけではありませんが、戦い方によっては10人にも勝る武術になります。では、本日の武術講習会を終了します。皆様、今回は参加していただき、ありがとうございました。」
会場からは割れんばかりの拍手と歓声が上がった。ライブと同じくらいの音の大きさだった。
こうして、午前の武術講習会は大成功を収めた。
後半ちょっと雑ですが、許してください。