学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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皆様、お待たせしました!昨日、一昨日、3日前はすみませんでした。

朝投稿にしたものの、短いです!

では、どうぞ!


失いたくないから

 

 

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仮面の男とウルスラの身体を乗っ取って操っている純星煌式武装のヴァルダが去り、八天門場は八幡とシルヴィアの2人だけとなった。

 

だがシルヴィアは八幡の方を少しだけ恨めしそうに見ていた。

 

 

シルヴィア「……八幡くん、どうして止めたの?」

 

八幡「一応聞くが、何がだ?」

 

シルヴィア「ウルスラの事だよ!やっと探していた人が見つかったのは良いけど、操られていたって知ったのは驚いたよ!でも元に戻そうと思ったら八幡くんが止めた……何で!?」

 

八幡「止めて当然だろ。あの2人相当の実力だ。肌で感じるくらいにだ。もし止めていなくても無傷では済まされない戦いになってた。」

 

シルヴィア「それくらい覚悟の上だよ!ウルスラが戻って来てくれるのなら安い方だよ!」

 

 

八幡はシルヴィアを気遣っての配慮だったが、シルヴィアは聞く耳を持たなかった。それだけウルスラという女性に恩があるのだろう。

 

 

八幡「……シルヴィ、聴いてても分かるんだが、あの人はお前の知り合いなのか?」

 

シルヴィア「………ウルスラは私に歌と体術を教えてくれた人。今私が歌でやっていけてたり、クインヴェールで序列1位になれてるのだってウルスラのおかげ。私にとって師匠みたいな存在の人だよ。」

 

シルヴィア「そんな大切な人を助けようと思ってたら、まさか止められるなんて思ってなかったよ!八幡くんなら分かってくれると思ってた!」

 

八幡「………」

 

 

八幡は何も言わなかった。いや、言えなかったのだろう。八幡自身、そんな存在は今までいなかったのだから。

 

 

シルヴィア「八幡くんに分かるの?いつの間にか大切な人が居なくなってるんだよ?それがどれだけ寂しくて辛いことか分かるの!?」

 

シルヴィア「私はもう5年くらい前からこれを経験してる。早くウルスラに戻って来て欲しいから必死に探してた。5年も探して来た私の辛さ、八幡くんに何が分かるの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「………分からんな。俺にはそんな存在今までに居なかったし、そんな思いもしたくない。勿論、俺もシルヴィの意見は尊重してやりたいと思ってる。」

 

シルヴィア「だったら!」

 

八幡「だからこそ、お前にあんな無茶をしてほしくない。」

 

シルヴィア「………え?」

 

八幡「俺にはお前のその辛さが分からない。大切な人なんてこの六花に来てから初めて出来たからそんなの分からないに決まってるだろ?」

 

 

そう、八幡の大切な存在……それはシルヴィアただ1人だけ。界龍も大切なのだろうが、その意味合いはまるで違う。

 

 

八幡「大切な人がいつの間にか居なくなってる。そりゃすげぇ辛いだろう。裏切られたり、散々言われ続けるくらいの辛さだったら俺には分かる。だがそんなのとは比較にならないんだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「だから、その辛さを俺にも押し付けないでくれ。俺が本当に大切な存在なのは……シルヴィだけなんだ………頼む。俺の前で自分から危ない事はしないでくれ。」(ギュッ!)

 

 

シルヴィアは今更ながら気付いた。八幡は人生の9割を無駄にしたような生き方をして来た。そんな人に大切な存在なんて出来るわけがない。だが今は自分の恋人だ。そんな存在を大切じゃないと言える道理なんてあるはずが無い。

 

 

シルヴィア「………」(ポロポロ)

 

八幡「止めたのは俺だって悪いとは思ってるが、後悔はしてない。俺はシルヴィを失いたくない。シルヴィがあのウルスラって人を失った時の辛さなんて体験したくない。ただのビビリだって思ってるかもしれないが、それくらい俺はお前にいなくなって欲しくない。」

 

シルヴィア「………」(ギュッ!)

 

 

シルヴィアは八幡を抱きしめ返していた。涙を流しながら自分の行動の浅はかさを後悔していた。

 

 

シルヴィア(……そうだ、私また大切な人を無くすところだったんだ。)

 

 

八幡「逆の立場だったらどうだ?俺が今のシルヴィみたいな感じになってたらどうする?」

 

シルヴィア「………きっと、止めてたよ……私無神経だった。私、もう恋人がいるのにね……ウルスラの事で頭がいっぱいで……」(ポロポロ)

 

八幡「気にするな。誰だってそういう時はある。」

 

シルヴィア「ゴメンね………気をつけるから、八幡くんも、私を……1人にさせないでね?」

 

八幡「……………あぁ。」

 

 

 

そして2人は八天門場の中で静かに立ちながらだきあっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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