学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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予想に反して

 

 

ーーーーーー

 

 

両チームの前衛が動き出して、早速ぶつかり合った。チーム・メルヴェイユのリーダー、サンドラ・セギュールは後ろの方で指揮を執っていた。葉山は剣を持っていながらも攻め込む様子は全くなかった。

 

 

まるで、チームメイトにやらせているかのような場面にも見える。

 

 

梁瀬『早速ぶつかり合いました〜!!しかし、チーム・ジャスティスのリーダー葉山選手、動く気配がありません。これはどういう事でしょう?』

 

柊『今までにない事ですから分からないでありますなぁ。何かを待っているかのようにも見えますなぁ。』

 

 

ヴァイオレット「あの人は何様ですの!?チームメイトが戦っているというのに、彼だけあんな呑気に!」

 

サンドラ「落ち着きなよ。下手に攻撃するものじゃないよ。ここは1人1人確実に仕留めていった方が効率が良い。彼は最後にやればいいだけだよ。」

 

ヴァイオレット「……分かりましたわ。」

 

 

後方で待機している2人はそう言っているが、今の戦況はクインヴエールに傾いていた。徐々にチーム・ジャスティスが押されているのだ。それもそうである。4対3とはいえ、チーム・ジャスティスは序列外、チーム・メルヴェイユの3人は序列の中でも上位の位置にいて、3姉妹だけあって連携も抜群だった。

 

息の合った連続攻撃、連携攻撃にチーム・ジャスティスの面々は体力を奪われ続けていた。

 

 

チームメイト1「葉山くん!まだか!?」

 

葉山「すまない!あともう少しなんだ!もう少しだけ時間を稼いでくれ!」

 

チームメイト2「よしっ!それまで時間を稼ぐぞ!」

 

 

3人『おぉっ!!』

 

 

サンドラ「……どうやら、彼はまだ実力を発揮出来ないようだね。ヴァイオレット、予定変更だよ。彼に向かって砲弾を向けても構わない。その方が仲間の消費も少なくて済むからね。」

 

ヴァイオレット「了解ですわ!」

 

 

ヴァイオレットは自身の身体から星辰力を漲らせると、周りから砲弾を生成した。その砲弾全てを葉山の方へと向け、いつでも撃てるようにしていた。

 

 

梁瀬『おお〜っとぉ!ここでワインバーグ選手が葉山選手に向けて砲弾を向けている〜!!チーム・ジャスティス、絶体絶命のピンチだぁ〜!!』

 

柊『仲間は全員前衛にいますからね。これをどうにか出来るのは葉山選手だけでありますね。』

 

 

チームメイト3「あっ!葉山くん!危ない!」

 

ヴァイオレット「もう遅いですわ!喰らいなさいなのですわ!」

 

 

ヴァイオレットはそう言った瞬間に、葉山へ向けて砲弾を撃った。葉山は避ける様子もなかった。

 

 

チームメイト1「葉山くん!逃げろぉ〜!!」

 

チームメイト2「葉山くん!!」

 

スバシニ「余所見してる暇はないよ!」

 

チームメイト「くっ!」

 

 

砲弾は葉山のすぐ側まで迫っていた。葉山は剣を抜いてはいるが、構えも取っていなかった。最早躱す気もないようだった。

 

 

4人『葉山く〜ん!!』

 

 

そして、爆発の轟音がドームに響き渡った。

 

 

サンドラ「……勝負あったようだね。あまりにも呆気なかったよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「どっちがかな?」

 

サンドラ「………え?」

 

 

サンドラは声がした後ろを見た。そこには先程爆発でやられたはずの葉山が居たのだ。あの瞬間に音もなく自身の背後に回っていたのだ。

 

 

葉山「あぁ、それとついでに君の校章も切ったからね。」

 

ヴァイオレット「なっ!い、いつの間に!?」

 

 

轟音で聞こえなかったのだろう、ヴァイオレットの校章は2つに切れて床に落ちていた。

 

 

葉山「仲間の体力も申し分ないからこれで終わりにさせてもらうよ。」

 

 

葉山(まぁ、こいつらは都合の良い駒だからね。適当に動かしておけばそれだけで役立つ。)

 

 

サンドラ「悪いけど、そう簡単にやられるつもりはないよ。」

 

 

サンドラは純星煌式武装を取り出すと、水を生成して自身の周りに泳がせた。葉山の動きもこれで牽制出来ると思ったのだろう。

 

 

葉山「……知ってるかい?水っていうのは横に動くものには抵抗が生まれるけど、直線のものにはあまり抵抗力が無いんだよ。」

 

サンドラ「それが何?」

 

葉山「つまり、こういう事だよ!」

 

 

葉山は一気にサンドラの懐に飛び込むと、剣を振った。しかもその振りは、水の流れに合わせて軌道に乗っていた。そしてその水の裏にあったものは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クインヴェールの校章だった。

 

 

『サンドラ・セギュール、校章破壊』

 

 

梁瀬『試合終了〜!!勝者、チーム・ジャスティス!!これは驚きです!見事な逆転勝利でした!!』

 

柊『相手を油断させてから、自分のリズムに持ち込む戦術だっだんでしょうか?それにしても、見事な剣技でしたね。流石は今ノリに乗ってる生徒なだけはありますなぁ。』

 

 

葉山(まぁ、当然の結果だね。1回戦で負けたら見世物になってしまうからね。これで俺の実力を知ってもらえたかな?比企谷。)

 

 

ーーーーーー

 

八幡side

 

 

アーネスト「……今回の試合では得られるものが無かったね。君はどうだい?」

 

八幡「俺もです。次はもっと奴を動かす必要がありますね。」

 

アーネスト「つまり、君は暗に僕たちに動けと言っているんだね?」

 

八幡「その方が次に試合するチームとしてはやりやすいでしょう?」

 

アーネスト「君って人は……読めないね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





2人は葉山の強さに気づけなかったみたいですね。まぁ一瞬でしたから仕方ないですよね。

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