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「「「チーム・ジャスティス本戦出場、おめでとう!!!」」」
ガラードワースの食堂で黄色い歓声とクラッカーの良い発砲音が響き渡った。そう、ガラードワースの食堂ではチーム・ジャスティスの祝勝会が開かれていた。
「いや〜会長のチームが圧勝すると思ってたのに、まさか勝っちゃうなんてね!」
「うんうん、流石は今波に乗ってる葉山くんが引っ張ってるチームだね!」
葉山「はははっ、そんな事ないよ。」
「なぁ葉山くん、今度俺の模擬戦付き合ってくれよ。どんな風に戦ってるのか参考にしたいんだ。」
「あぁ〜ズルい!私も私も!」
葉山が1人話題に入っている中、残りのチームメイト4人は、微妙な顔をしていた。それもそうである。予選の2回戦はどれも葉山が決めた勝利だからである。自分たちは2回戦も活躍するところを葉山に奪われたのだから。
今回の主役とはいえ、完全に葉山だけが祝福されている形になっていた。
「……葉山くん、皆ゴメン。私たち今日は会長たちの相手で疲れちゃったから、もう休んでも良いかな?」
「あぁ、俺たちも少し疲れててさ。ほら、葉山くんに時間作る為に足止めするのも、結構体力使うから新明後日に向けて万全の状態にしときたいんだよ。」
葉山「そうかい?それなら僕は止めないよ。今日もありがとう。また新明後日の本戦もよろしく頼むよ。」
「「「お疲れ様〜!!」」
そして葉山以外のチーム・ジャスティスは食堂を後にして校内の庭にある噴水に集まっていた。
ーーーガラードワース校内・中庭噴水ーーー
「……
実夏「どうもこうもないよエレン。あんなのが私たちの戦い方なの?もうやだよ。」
チームメイトの
エレン「だって……この記事、私たちの事ではないとはいえ、内容が酷すぎるよ。」
「あぁ、エレンの言う通りだ。これじゃあ俺たちが葉山くんの顔を立たせるために体を張っているようにしか思われない。ジョーもそう思うだろ?」
ジョー「あぁ、記者は葉山くんの方に集中してるけど、近佐やミエストラ、グリンや俺たちの立場がまるで無い。」
エンデル・グリンとジョー・クリフトンも女子2人と同じ考えだったようだ。葉山の扱いの悪さに不満が抑えきれなかったのだろう。
記事の内容はこうだった。
『チーム・ジャスティス奇跡の勝利!!葉山隼人、奇跡を魅せたが、作戦に難あり。』
『ジャスティス勝利!だが戦術は変わらずの肉盾戦法。』
『勝利はしたが、ガラードワースらしくない戦法。』
エレン「……ねぇ、私もうやめたいよ。」
ジョー「正直言って俺もだ。これじゃあ何のために戦ってるのか分からねぇよ。毎回毎回同じ扱いなら、俺もチームを降りる。」
エンデル「2人もか?俺もそうだけど、1番にチームを抜けたいって思ってるのは実夏だろうな。」
実夏「なんでそう思うの?」
エレン「昨日のやり取りを見てそう思わない方がおかしいよ。」
きのうのやりとり、チーム・ランスロットと戦う前の日の夜の事だった。
※詳しくは『ガラードワースの2チーム』後半にて
実夏「あぁ、あれの事。だってそうじゃない。本来なら緊張しててもおかしくないのに、1人だけ平然としてるんだもの。つっかかりたくもなるよ。」
エンデル「あれには俺も心がスカッとなった。でもどうするよ?俺はこの戦術を変えてもらいたい。もし変えられないのなら、俺はチームを抜ける。願いも別にいい。こんな方法で優勝しても嬉しくなんかねぇし。」
エレン「うん……私もかな。葉山くんに誘われたのがきっかけだし、そこまで叶えたい夢があるわけでもなかったから。」
実夏「じゃあ皆は、葉山くんが戦術を変えてくれない場合はチームを離れるって事?」
エンデル「あぁ。」
エレン「うん。」
ジョー「まぁ、そういう事になるな。そういうお前はどうなんだ?まぁ、答えなんて分かりきってるけどよ。」
4人中4人の意見が一致した。葉山が作戦を変えない限りはこのチームの解散を意味する事になる。《獅鷲星武祭》はチーム戦、人数が2人以上いなければチームとして成り立たないため、2人以下の場合は失格扱いになるのだ。
1人…個人
2人…タッグ
3人以上5人以下…チーム
というルールがある。
実夏「じゃあ明日にでも葉山くんに言ってみようか。もしダメだったらチームを抜けるって事で。」
「「「おう!(うん!)(あぁ!)」」」
こうして葉山以外のチーム・ジャスティスは新たな意志を抱いていた。