八幡side
10時になり、俺とシルヴィは早速街へと出かけた。あのままのんびりするのも良い考えだったのだが、それではシルヴィも退屈だと思ったから街に出掛けることにしたのだ。
今は商業エリアの入り口の辺りにいる。シルヴィの家の近くは商業エリアのすぐ側だから、すぐに行く事ができる。
八幡「行ったことのない店っていっても、六花にそういう所があるとしたら、先ずは歓楽街だろうが、行きたくはないよな。危険だし。」
シルヴィア「それは当然だよ。朝からあんな所になんて行きたくもないよ。」
八幡「商業エリアで行ったことない所っていうと………東側の方だな。意外にも近くの方は見てなかったんだな。」
シルヴィア「へぇ〜なんだか灯台下暗しみたいだね。」
………いつの間にそんな言葉覚えたの?
シルヴィア「じゃあ最初は商業エリアの東側に行こっか!商業エリアには入ったばかりだからそんなに時間はかからないよね。」
八幡「んじゃ、行くか。」
ーーー商業エリア・東ーーー
シルヴィア「うーん……やっぱりレヴォルフに近いせいかな、あまりお店が立ち並んでないね。」
八幡「並んでてもあまり良い雰囲気の店ではないな。そこら辺にレヴォルフの生徒もいるしな。」
俺たちが向かった東側の商業エリアは、歓楽街に似たような雰囲気のそれだった。この辺りはレヴォルフの生徒の出入りが激しいためか、経営している店舗は僅かだった。
シルヴィア「でも意外だね。レヴォルフの生徒なら私たちに攻撃してきてもおかしくないと思うんだけどな………」
八幡「流石に冒頭の十二人に入ってる俺たちに勝てる動機はないって分かってるんだろ。俺的にはありがたいけどな。」
にしてもここらいったいは何もないな………場所を移した方がいいか?
八幡「なぁシルヴィ、場所移さないか?此処はあまり見るところが無さそうだからな。次は北側に行かないか?」
シルヴィア「そうだね!うん、そうしよう!」
そして俺はシルヴィを連れて北の方角にある商業エリアに向けて足を進めた。
ーーー商業エリア・北ーーー
シルヴィア「やっぱり此処は星導館があるからね。日用雑貨店とか飲食店が多いね。さっきとはすごい違いだね。」
八幡「あぁ、なんかビフォーアフターみたいだ。」
……一言言っておくが、別に俺は東側の商業エリアを悪く言いたいわけじゃないぞ。
シルヴィア「あっ!八幡くん、あれは行ったことないんじゃないかな?」
シルヴィが指差した店舗は、確かに俺たちが行くことのなさそうな店だった。見た感じでは小柄で他の店に比べると存在感が無いが、逆に小さいからこそ目を引くところがあるのだろう。
シルヴィア「あのお店行ってみない?なんか気になってきちゃった!」
八幡「んじゃ行くか。」
シルヴィア「うん!」
ーーーとある小さな店ーーー
カランコロンッ♪
「いらっしゃいませ……っ!?」
中に入るとアロマの香りがした。俺はこの手の知識に疎いが、人の心を落ち着かせる効果があるのは知ってるがそれだけだ。
シルヴィア「へぇ〜香水とはまた違った感じの香りだね。アロマだからこんな匂いを出せるのかもね。」
八幡「俺もこんな匂いは初めてだ。アロマってのは不思議な匂いがするな。」
シルヴィア「なんだか落ち着くね〜。」
ちょうど良い所にベンチがあった為、そこに移動して落ち着いていた。こんな雰囲気の店は嫌いじゃない。
ーーー10分後ーーー
シルヴィア「………私たちさ、10分くらい座ったままだけど、何かアクションしなきゃ可哀想だよね。」
八幡「……そうだな。そろそろ何かしないとな。」
それから俺たちは様々な香りのするアロマの香りを嗅いでみて、気に入った物をそれぞれ購入して店を後にした。因みに俺がオレンジでシルヴィが薔薇だった。
シルヴィア「良い買い物ができたね。家に帰ったら早速使おっか。」
八幡「そうだな。シルヴィの方から使って良いぞ。薔薇の香りも良かったからな。」
シルヴィア「そう?じゃあ遠慮なく使わせてもらうね。ねぇ八幡くん、お腹すいてない?もうお昼だからさ、ご飯にしない?」
八幡「おぉ、もうそんな時間か。よし、ちょうど良いし飯にするか。この辺りでは……喫茶店くらいしかないな。」
シルヴィア「八幡くんはガッツリ食べたいの?」
八幡「そういうわけじゃないが、どうしてだ?」
シルヴィア「だって君が『喫茶店くらいしかない』って言ってたからさ。多く食べたいのかなぁって。」
八幡「そういう事か。大丈夫だ。別にガツガツ食べたいわけじゃないから。」
シルヴィア「それじゃあその辺りにあるお店にする?その方が手っ取り早いしね。」
八幡「そうだな。」
そして八幡たちが選んだ店はハンバーガーショップだった。