葉山side
葉山「どうしてだい?今までの作戦で上手く行っているのに、急に変更したいなんて。」
ジョー「理由は葉山くんが1番理解できてると俺は思ってるんだが?」
葉山「……いや、分からない。どうしてだい?」
実夏「………私たち、予選からずっと同じ行動パターンで戦ってるよね?最初はそれでも良いと思ってたけど、私はもう嫌。」
エレン「私もだよ葉山くん。幾ら何でもこんな作戦、もう精神的に限界だよ。」
何を言ってるんだこいつらは?君たちは別に記者から批判を受けているわけでも、叩かれているわけでもないのにどうしてそんなバカみたいなことが言えるんだい?
エンデル「俺たちにも前衛をやらせてくれよ!葉山くんみたいな強さはなくとも、全員で戦った勝ちが欲しいんだよ!」
エレン「葉山くんお願い!私たちにも戦わせて!」
葉山「………いや、ダメだ。それは出来ないよ。」
実夏「……どうして?」
葉山「今の戦術で上手く行ってるからだよ。無理に変える必要はないと思うんだ。」
エンデル「……それは、曲げるつもりはねぇって事なのか?」
葉山「そのつもりだよ。皆、納得してくれないか?」
ジョー「……よし、分かった。じゃあお前ら!」
はぁ、漸く理解した
ジョー「このチーム解散するぞ!」
か、この無の………何っ!!?
葉山「ちょ、ちょっと待ってくれ!どういう事だ!?」
実夏「私たち、昨日集まって考えてたんだ。こんな戦い方でいいのか、優勝して本当に満足できるのかって。私は全くそう思わない。」
実夏「だから皆で話し合ったの。もし貴方が考えを変えるつもりがなかったら、このチームを解散させるって。」
葉山「それじゃあ皆!願いはどうするんだ!?ここまで、本戦まで来たんだぞ!?諦めるのかい!?」
エンデル「こんな形で優勝しても嬉しくねぇよ。葉山くんは嬉しいのかよ、批判されまくってる状況で優勝して嬉しいのかよ?」
葉山「そんなの嬉しいわけないじゃないか。だから皆で力を合わせて勝つんじゃないか!」
実夏「……皆で力を合わせる?それ本気なの?」
葉山「……何が言いたいんだい?」
実夏「なら聞くけど、あの戦い方で皆で戦ってるって本気で思ってるの?」
葉山「当たり前じゃないか。あの戦い方は皆の総意でもあったじゃないか。」
むしろあれ以外の戦い方で、君たちの出る幕なんてないよ。あればそんなのとっくに使ってる。
実夏「確かに賛成したよ。でもずっとあんな作戦だとは思わなかったのよ!あんな戦い方を決勝までするのなら、私たちはチームを解散させる方を選ぶよ。」
エレン「そうだね。変える気が無いのなら、チームをやめるって話だったからね。私も別に反対しないよ。」
葉山「ま、待ってくれ!どうしてダメなんだい!?この作戦のどこがダメなんだい?」
ジョー「それはさっき説明した。それなのにどうしてダメだって分からねぇんだよ。」
分かるわけないじゃないか!作戦は完璧、一切の弱点もなかった。なのに何でそんなことを言うんだ!?
エレン「分からないって顔してるね。当たり前だよ、だって葉山くん分かろうとしてないもの。葉山くんに分かる?私たちが会長たちと戦うのにどれだけ不安だったのか……分からないでしょ?」
葉山「………」
エンデル「俺たちはあの戦い、絶対に勝てないって思ってた。でも勝った時はそれは嬉しかった。けど、勝った気はしなかった。葉山くんにはどうしてか分かるか?」
葉山「………」
エンデル「実際に戦ってないからだよ。俺らは葉山くんを守ってるだけであって攻撃には一切参加してない。戦ってるって感じが一切しないんだよ。」
ジョー「もし、そこを変えてくれるんだったら俺たちも考えを改める。チームにも残るし、負けたとしても悔いは残らないと思う。いや、残るだろうけど、今までの試合よりは満足した終わり方ができると思う。」
チッ、こんなところでチームを解散させるわけにもいかない。ここはこいつらに従っておくか。
葉山「……分かったよ。本戦では皆前で戦おう。ただこれだけは言っておくよ、無茶はしないで欲しい。今までは俺だけだったから良いけど、この先の戦いは序列上位者がウヨウヨしてるからね。」
エンデル「っ!!良かった!ありがとう葉山くん!!」
ジョー「これで俺たちも一緒に戦える!」
エレン「早速どういう戦術でいこうか会議しよっ!」
……まぁ、こいつらの実力ならすぐに負けるのは目に見えてる。好きに戦わせておいて無様に這いつくばらせておけば良いか。
実夏「………」