八幡side
………ん?おぉ、現世に戻ってこれてる。いつもながら眩しい光に包まれての現世戻り。あれ慣れねぇんだよな、乱視入ってねぇのに。
……そういやシルヴィ居ねぇな、それに肉と野菜の焼ける良い匂いがする。
八幡「………」
台所の方を見ると、シルヴィが料理を作っていた。しかし、あんな風に私服でいるととても学生とは思えない。しっかりとしたとこで育った良い嫁さんに見える。
さて、俺もダラダラしてないで、シルヴィを手伝わないとな。
八幡「よう、シルヴィ。」
シルヴィア「あっ、八幡くんおはよう!起きたんだ。」
八幡「あぁ、ついさっきな。すまんな、寝過ごしちまったみたいで。」
シルヴィア「そんな事ないよ。いつも君には甘えさせてもらってるからね。」
それをいうならこっちもだ。って言ったら『そんなに甘えてないくせに〜。』って言い返されそうだからやめておこう。
八幡「そんなこと気にするな。俺もお前には色々と心配かけてるしな。お互い様だ。」
シルヴィア「ふふ、そうだね♪」
八幡「しかし、シルヴィの作る料理は本当に美味そうだな。今日は
シルヴィア「うん!冷蔵庫の中に良いお肉とキャベツがあったからね。あっ、ソースは八幡くんが作ってくれたのを使ってるから。」
あぁ……それでいつもと違う匂いがしたのか。
八幡「あと他に何かあるか?」
シルヴィア「うーん……ご飯もまだ余ってるし、お味噌汁も作った……盛り付けるくらいかな。」
八幡「おいおい……家事スキル高くね?」
シルヴィア「八幡くんに言われたくないよ、私より料理上手いくせに〜!」
八幡「はいはい、悪うござんした。」
シルヴィア「もぉ〜……ふふふっ♪」
こんな日々がこの2年間続いてたんだよな……こんな幸せな日々が。
♪〜
シルヴィア「ん?メール来ちゃった……どうしよう。」
八幡「もう完成なんだろ?俺が盛り付けとくからシルヴィはメールのチェックしていいぞ。」
シルヴィア「ゴメンね、お願い。」
さてと、シルヴィが終わらせる前に盛り付けとくか。
ーーー3分後ーーー
シルヴィア「ゴメン八幡くんって盛り付けるの早いね……まだ3分くらいだよ?」
八幡「シルヴィアが来る前に終わらせておこうと思ってな。それで、誰からだったんだ?」
シルヴィア「星露。最近八幡くんの料理を食べてないから学院に戻せっ!だって。」
八幡「戻せって……俺は界龍の生徒であって所有物じゃないんだがな……」
あのチビ……
シルヴィア「まぁ事実だからそんなには突っ込んだ事言わなかったけどね。《獅鷲星武祭》が終わるまでの辛抱だよって送っといたから。」
八幡「悪いな……ウチのチビが。」
シルヴィア「いいよいいよ、他学園の生徒会長で仲が良いって言ったら、星露と【千見の盟主】とオーフェリアさんくらいだからね。後は普通かな。」
八幡「それ、いつも席変えてもらってる左近が聞いたら泣くぞ。」
シルヴィア「えぇ〜だって他に接点無いもん。」
いや、まぁ確かにそうだとは思うが……
シルヴィア「それよりも八幡くん、早く食べよっ!お腹空いたよ〜!」
八幡「……ふっ、そうだな。」
ーーーお食事タイムーーー
シルヴィア「はい八幡くん、あーん♪」
八幡「あむっ……」
八幡「んっ……さすがシルヴィが作った料理だ、美味い。」
シルヴィア「えっへん!」
シルヴィア「あつも、そういえば陽乃さんから聞いたんだけど、八幡くんって人参がトマトが嫌いだったんだっけ?」
八幡「あぁ、昔はな。今は別に嫌いじゃないぞ。」
シルヴィア「なんで嫌いだったの?」
八幡「あー……なんていうか、あの青臭さが昔は嫌だったんだろうな。今はそれも良いって思えてきたから平気だけどな。それがどうかしたのか?」
シルヴィア「特に何もないんだ。ただ、嫌いだっていうのを聞いただけだから。」
……けど俺って昔嫌いだったものは好きになってて、好きだったものは苦手になってるよな。トマトとマッ缶が良い例だ。
シルヴィア「じゃあお野菜にもトマトをじゃんじゃん入れても大丈夫って事だよね!」
八幡「あんまり入れすぎても飽きるだけだけどな。」
シルヴィア「そこは任せておいてよ!」
ーーー40分後ーーー
八幡「ご馳走様でした。」
シルヴィア「お粗末様でした♪」
八幡「ふぅ、今日も美味かった。片付けは任せてくれ。準備は1人でさせちまったからな。」
シルヴィア「じゃあ食器を立てるくらいはさせてよ。盛り付けはさせちゃったんだし。」
……細かいところまでよく見てるのね。
………思った事だが、毎日こういう事してるが、普通の目線から見たらどう見えるんだ?………夫婦か?いや、それはないか。まだ結婚もしてねぇのに。
シルヴィア「八幡くんどうしたの?手が止まってるよ?」
八幡「ん?あぁ、悪いな。」
まぁ、そんな事よりも今を楽しむのが先決だな。