シルヴィアside
ご飯も食べ終わって、少しだけ2人でゆっくりした後、私達はクインヴェールに向かっている途中です。今の時間帯なら、出歩いてる人は少ないから楽なんだよね。
朝のお散歩をしているお爺さんやお婆さん、朝の運動を日課にしている人が居るくらいで、他は特に誰も居ない。まぁ今は《獅鷲星武祭》だからどの学園も休校状態になってるしね。
婆「あら、おはようさん。若いのに朝から2人で散歩かい?」
犬「ワン。」
シルヴィア「はい、運動は大事ですから。可愛いわんちゃんですね♪」ナデナデ
婆「そうかい?ありがとねぇ。この子もついこの間までこんなちんちくりんだったんだけどねぇ、いつの間にかこんなに大きくなっちゃってねぇ。」
なんていう犬種だろう?白い毛が生えてて、なんかモフモフな感じ。
八幡「もしかして、この犬はサモエドって犬種じゃないですか?」
婆「おやまぁ、旦那さんの方は物知りなんだねぇ。」
八幡「い、いえ……」
婆「私はこんな感じの犬が好きでねぇ。それに飼ってると孫みたいに思えてくるからねぇ。」
シルヴィア「そうなんですか……この子、大人しくて良い子ですね。ちゃんと座って待ってますし。」
婆「躾けたわけじゃないんだけどねぇ……お客さんが来る時もこんな感じで私の隣で座って、話を聞いているかのように耳を傾けるんだよ。」
へぇ〜……そんな犬も居るんだなぁ。でも、犬って賢い動物だっていうからなぁ。
婆「私の自慢の孫だよ。さて、そろそろこのババァもお暇しなくちゃね。いつまでも年寄りの退屈話に付き合わされちゃ、2人きりになれないからね。」
シルヴィア「そ、そんなとんでもないです!楽しかったですよ!」
八幡「俺もです。朝からこんな風に話せる機会はあまり無いので新鮮でした。」
婆「そうかい?なら良かったよ。」
なんだか朝から良い事がありそうかもねっ!
シルヴィア「それじゃさようならお婆ちゃん。行こっか、八幡君。」
犬「ワンッ!」
シルヴィア「ん?どうしたのかな?」
婆「お嬢ちゃん、どうしてこの子の名前を知ってるんだい?」
シルヴィア「え?八幡君の事ですか?」
婆「この子の名前を言った覚えは無いんだけどねぇ。」
八幡「……あぁ、俺の名前も八幡っていうんですよ。それで反応したんじゃないですかね?」
婆「あら!そうだったのかい。驚いちゃったねぇ、まさか同じ名前の人が居たなんて、ねぇハチマン?」
ハチマン「ウゥン。」
凄い……本当に言葉を理解出来てるみたい。座ってお話を聞いてるっていうのも嘘じゃないみたい。
八幡「不思議な偶然もあったものですね。」
婆「そうだねぇ。孫が2人に増えるなんてねぇ。」
八幡「俺にはこんな風にモフモフした毛はありませんけどね。」
婆「ホッホッホ、それもそうだねぇ。じゃあ今度こそバイバイだね、ほらハチマンも。」
ハチマン「ワンワンッ!」
……どうやったら躾もしないであんな風になるのかなぁ?絶対躾けてるよね?
2人「「さようなら。」」
シルヴィア「ちょっと驚いちゃったね。」
八幡「あぁ、まさかハチマンって名前だったとはな。にしても可愛い犬だったな。」
シルヴィア「お利口さんだったよね。私が八幡君って言うまでちゃんと座って待ってたしね。」
もしかして、私達の会話もああやって座りながら聞いてたのかな?
ーーークインヴェール女学園ーーー
シルヴィア「よしっ、着いた!」
八幡「一応パスは持ってるが、かざした方が良いか?」
シルヴィア「ううん、大丈夫だよ。私と一緒にいればその必要は無いから。」
八幡「流石生徒会長様だ。」
シルヴィア「崇めたまえっ!」
八幡「ははぁ~っ。」
シルヴィア「ぷっ!ふふふふふっ♪」
八幡「にしても、やっぱり少し規模が小さいんだな。界龍ではいきなり門だからな。」
シルヴィア「クインヴェールは、見栄えや環境にも意識してるからね。普段からお洒落でいられるようにってね。」
八幡「まぁ学校の選考基準に『容姿』を取り入れてるくらいだからな。アルルカントとは全く別種だが、特殊なカテゴリーだよな。」
シルヴィア「そうだね。私はこれが普通になっちゃってるけど、他学園から見れば変わってるのかもね。」
八幡「もしもの話は好きじゃないが、もしクインヴェールが潰れるとしたら、シルヴィは何処の学園にするんだ?」
シルヴィア「勿論界龍!!」
八幡「……なんとなく理由は分かるが、何故だ?」
シルヴィア「八幡君が居るからに決まってるよ。他に理由があると思う?」
寧ろ、これが1番大事だよね!
シルヴィア「じゃあ八幡君は?もし界龍が潰れたらどの学園に行くの?」
八幡「………俺ならレヴォルフだな。」
え!?よりにもよってレヴォルフ!?
シルヴィア「ど、どうして?」
八幡「星導館とガラードワースは奴等が居るから論外。アルルカントに関しては簡単だ。俺自身、研究に興味が無いからだ。クインヴェールは性別で無理。まぁこんな理由だな。」
シルヴィア「じゃあレヴォルフにした理由は?」
八幡「いや、今言ったと思うんだが……」
シルヴィア「だって今のは他学園の事でしょ?レヴォルフ自体の事は何も言ってないよ。」
八幡「……そうだなぁ。」
どうか、どうか
八幡「まぁ最近大人しくなった手のも理由の1つだな。今の生徒会が機能しているからだろう。これはあまり理由になってないが、シルヴィと界龍の奴らを除けば、1番交友関係が深い奴が居るからだ。」
シルヴィア「……それって?」
八幡「オーフェリアだ。」
もぉ〜やっぱり出てきたぁ〜!
八幡「……どうした?フグみたいな頬して。」
シルヴィア「べっつにぃ〜!」プクゥ∼
八幡「おいおい、オーフェリアに嫉妬するなよ。俺はオーフェリアに恋愛感情なんて抱いてないから安心しろ。」
シルヴィア「でも八幡君って、オーフェリアさんには甘いよね?」
八幡「……どこがだ?」
シルヴィア「だってオーフェリアさんに抱き着かれても振り解こうとしないじゃん!」
八幡「それ1度やったんだよ。」
シルヴィア「……それで?」
八幡「涙目で上目遣いしながら、『………私の事、嫌いになったの?』って言われたから、ちょっとな……」
シルヴィア「それくらい我慢して!」
八幡「じゃあ学園祭の時のアレは何だったのかなぁ?エルナトの宿泊チケットで押し負けたのは何処の誰だったかな?」
………
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シルヴィア「や、やっぱりさ、オーフェリアさんのあれは反則って事だよね。」
八幡「おい。」
シルヴィア「だってなんか可哀想なんだもん!」
例えるならアレだよ?まだ毛が生えただけの子犬が段ボールと置き手紙で『拾って下さい。』みたいな感じの目で見ているようなものだよ!?
八幡「……まぁ分からなくもないけどよ。いや、普通に分かるわ。」
シルヴィア「………模擬戦場、行こっか。」
八幡「あぁ、そうだな。」
結論、オーフェリアさんのアレは私達にとって致命的な弱点みたいだね。