前回の八シル!
万全の状態、対策で鍛錬できるかと思いきや、カメラの遮断設定をオフにしたままだったせいで八幡がいることがバレてしまった!さて、シルヴィアはいつそのことに気付くのか!?
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クインヴェール中に大絶叫が響き渡った。面白い事に、中にいる八幡とシルヴィアは遮音設定をしてあるため、外部からの音は聞こえないようにしてあった。故に聞こえるのは内部の音だけだという事になる。
当然、このカメラもそこまで万能ではない。模擬戦場に設置してあるカメラは合計4つだが、その内生徒がモニタリング出来るのは1つだけなのだ。そのカメラは回転する事はないが、音声は拾ってくれる監視カメラだった。
だがそんな物よりも、模擬戦場の前にいるクインヴェールの生徒、教師はそれぞれの端末を開いてカメラ映像をガン見していた。
その理由は、言うまでもないだろう。
「わぁ〜!!本当だ!本当にあの【夢幻月影】がいる!!」
「ほ、ほほほほ本物だよね!?偽物なんかじゃないよね!?」
「偽物だったらシルヴィアさんと来るわけないでしょ!絶対本物よ!!」
「「「「比企谷様〜〜!!!!」」」」
………最早模擬戦場前は、空港内で待つファンの行列のようになっていた。しかも警備のない。
「でも、どうしてクインヴェールで?界龍でやらないのかな?」
「比企谷さんは自分の道場持ってたんだよね?そこで練習はしないのかな?」
「いや、多分だけどさ、他の生徒が使ってるだろうから遠慮したんじゃない?ほら、今の界龍ってとんでもなく強いじゃん?」
「確かに。《鳳凰星武祭》は凄かったもんね!最低序列54位が本戦に残ってたもんね!」
「やっぱりさ、今の界龍を作り出したのって比企谷さんだと思うんだよね。時期的にも納得出来るしね。」
全員「うんうん。」
こうして、クインヴェールの比企谷八幡に対する株は急激に上昇したのである。
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八幡side
………よし、アップはこのくらいで大丈夫だろう。次は感覚を掴むために経験済みの奴らで憑霊だな。
八幡「シルヴィ、八咫烏の憑霊をするからどんな感じがするか、見ていてくれ。」
シルヴィア「はーい♪」
八咫烏、憑霊だ。
八咫烏『御意。』
すると、八幡の肩に大きな烏が現れて飛び立った。くるくると八幡の頭上を3回程旋回すると、八幡の方へと急降下して八幡の身体へと戻って行った。
そして八幡の姿が《鳳凰星武祭》で見た時の黒い羽織に背中に赤文字で【八咫】と書かれて、腰には鎖分銅が巻かれた姿になった。
シルヴィア「………」
八幡「………シルヴィ。」
シルヴィ「あっ……だってカッコいいんだもん!」
俺まだ翼も出してないんだが?コレなら出さないほうがいいかもな。
八幡「……まぁいい。俺的には問題無かったが、八咫烏はどうだ?」
八咫烏『拙僧の方も問題ない。いつも通りの感覚であった。』
八幡「そうか……あんまり聞く意味ないと思うが、シルヴィはどうだった?」
シルヴィア「もぉ〜ちゃんと見てたよ!今回の発動がいつもやっている状態なら、もう少し発動速度を上げたほうがいいんじゃないかな?演出も大事だけど、八幡くん前に言ったでしょ?『星武祭は戦う場所だ。』って。」
八幡「それもそうだな。八咫烏、次の機会があったら旋回は1.5周くらいにしてみろ。やり辛かったら2周でもいい。」
八咫烏『承知。では憑霊を解こう。』
そして八幡は先程の姿へと戻った。
八幡「しかし、今のは羽織に羽織でバサバサするな。八咫烏の憑霊をする時はこの羽織脱いだ方がいいな。」
シルヴィア「せっかく良い羽織なのにそんなこと言っちゃダメだよ。」
でも本当の事だしなぁ……だってあれだよ?甚兵衛に着物とか、上着にロングコートとか着たようなものだぞ?
八幡「……まぁその話は置いとくとして、次は朱雀とだな。シルヴィ、出来るだけ抑えるが炎が飛ぶから気を付けろよ。」
シルヴィア「うん、分かった。」
朱雀、
朱雀『おう、任せな!』
今度は八幡の真後ろに赤い大きな鳥が現れ、またも旋回しながら八幡に憑いた。
先程やった和装とは違い、今度は武士のような格好をしていた。赤い
朱雀『くぅ〜!やっぱ旦那との憑霊は最高だな!俺は特に問題ないぜ。』
八幡「俺もだ。シルヴィは………」
シルヴィア「………」
八幡「………」
シルヴィア「……………………あっ。」
八幡「よう、現実に帰ってきたか?」
シルヴィア「う、うん!」
八幡「それで?何か分かったか?」
シルヴィア「え、えぇ〜とぉ……八幡くんの憑霊姿はどれもカッコいい?」
八幡「………後で撫で回してやる。」
シルヴィア「むしろご褒美だよ!」
よし、髪型が乱れるまで撫で回してやる。朱雀、もういいぞ。
朱雀『あいよ、じゃあな旦那!』
朱雀の憑霊も解けて、また制服姿に戻った。
八幡「……シルヴィ。」
シルヴィア「だ、だって〜。」
八幡「……はぁ、まぁ次の憑霊はこんな風にならんから安心しろ。」
玄武、起きてるか?
玄武『はぁ〜い、今行くよぉ〜。』
今度は床に静止している亀がいた。そしてその場から八幡の方へと消えていき、八幡の姿が変わる。
と思ったら、変わった部分は腕と脚につける緑色の防具と胸当がついたくらいだった。
だがその防具には金色に輝く宝玉のようなものが付いていた。
※イメージとしてはHIGH SCHOOL D×Dの主人公、兵藤一誠の《赤龍帝の籠手》を緑にして宝玉を黄色にして、黄色の突起を黒にしたような感じ。
シルヴィア「………」
八幡「結局撮ってんじゃねぇか!」
シルヴィア「はっ!しまった!」
オメェなんでもアリか!?
玄武『僕も問題ないよぉ〜。マンちゃんは〜?』
八幡「俺も問題ない。もういいぞ。」
玄武『はぁ〜い。』
そしてまた、制服姿に戻る。
八幡「………で?何か言いたい事は?」
シルヴィア「八幡くんがカッコ良過ぎて自分に与えられた事を全うすることが出来ませんでした。」
八幡「サラッと俺が悪いみたいな言い方してるよな?」
シルヴィア「ち、違うよ!いつもの八幡くんも良いけど、姿が変わるともっとカッコよくなるからダメなの!いやダメじゃないんだけどね!」
八幡「どのみち俺じゃねぇか……もうやめとくか?」
シルヴィア「ううん、続けよう!途中で諦めるのなんてダメだよ!試合は明日からなんだから!」
八幡「そう言いながらも、やる気満々で構えてるそのカメラ端末は何だ?」
シルヴィア「…………テヘ。」
八幡「お前、写真撮りたいだけだろ。」
シルヴィア「それだけじゃないもん!ちゃんと八幡くんの映像も撮ってるもん!」
八幡「………威張っていうことじゃないよな?」
次から新しい奴との憑霊なんだが、こんなペース上手くいくのか?