学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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少し閑話入れました。


飲食店にて

八幡side

 

 

鍛錬が終わったその日の夕方、俺は街に来ていた。理由は、まぁ外食目当てだ。他には、食材とかの消耗品の買い出しだな。

 

今日やった組手は中々にハードだった。アレマさんの得意とする組手は俺の攻撃なんて一切通らず、むしろ俺は捌くか躱すか避けるしか出来なかった。

 

 

八幡「……あぁ〜今日もやったな〜。適当なとこで済ませてから買い物するか。」

 

 

そうして俺は、近くにあった飲食店の中に入った。ふっ…俺はこの1ヶ月の間、1人でサイゼ以外の飲食店にも入れるようになったのだ。少し勇気はいるけど。

 

まぁ、そんなことはどうでもいいか……さっさと飯食って、買い物して早く戻んなきゃな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、俺はまだ思ってもなかった。

この店の中に知り合いがいるとは。

 

 

店員「いらっしゃいませ!お一人様でよろしかったでしょうか?」

 

八幡「はい。」

 

店員「かしこまりました。それではお席へご案内致します。」

 

 

そのまま席へと案内されていく。1人で来れるようになるってなんか初めてのお使いみたいな感じだな。

 

 

店員「此方になります。お決まりになりましたら、そちらにあるボタンを押して下さい。失礼致しました。」

 

八幡「さて、なに食うか「比企谷さん?」……な?」

 

 

え?

 

 

冬香「やっぱり比企谷さんでしたか、お久し振りです。私の事覚えていらっしゃいますか?」

 

八幡「えと……間違いでなければ、2年の梅小路冬香先輩ですよね?」

 

冬香「はい、正解です。それと私の事は冬香とお呼びくだされば幸いです。苗字はあまり好いてはいないもので。」

 

八幡「わ、分かりました。」

 

 

マ、マジかよ……こんな所に冬香さんがいるなんて。

 

 

冬香「ところで、比企谷さんはなにを?此方には食事にですか?」

 

八幡「はい、まぁ…そうですけど。」

 

冬香「そうでしたか。でしたらご一緒してもよろしいでしょうか?1人で心細いと思っていたのですよ。私も外食はあまりしない方なのですが、偶には中華以外の食事もしたくなるので………如何でしょうか?」

 

 

……この人、俺にわざと断れないようにしてないか?

 

 

冬香「それともう1つ。同席を許可して下さるのなら、比企谷さんと会った事は内密にしておきます。」

 

八幡「……完璧な交渉術ですね。これじゃ俺、断れないじゃないですか。」

 

冬香「それで、お答えは?」

 

八幡「はい、許可します。」

 

冬香「ありがとうございます。では、失礼致します。」

 

そう言って冬香さんは、俺の向かいの席に優雅に座った。何度も言うが、本当に界龍に似合わない人だな。

 

 

冬香「比企谷さん、今の界龍がどうなってるか、知りたくはありませんか?」

 

冬香「比企谷さんのクラスメイトの事……特にあの4名の方々、気になりませんか?」

 

八幡「………まぁ、そうですね。序列戦まであと5日。一応それだけを考えてましたが、クラスメイトの事はやはり気になりますかね。」

 

冬香「では、貴方が居なかった界龍の1週間の様子をお教えします。と言いたいところですが、それよりもまずはご注文を決めませんか?何もない状態で話していても喉が渇きます。」

 

八幡「それもそうですね。じゃあ、先に注文決めてからお願いします。」

 

 

注文&説明中……しばらくお待ち下さい。

 

 

冬香「といった現状です……私が言っても慰めにはなりませんが、比企谷さん。お戻りになられたら少々覚悟が必要かと……」

 

 

俺、界龍に帰ったら、二重の意味で戦わなくちゃいけねぇのか?序列戦で2位、終わったらあの4人と雪ノ下さん、冒頭の十二人のフルコースじゃねぇか……

 

 

八幡「本当に慰めにならない言葉ですね。それに俺が居ないだけで、普通そんな風になりますかね?」

 

冬香「私は分かる気がしますよ?話題の方がいなくなると、急に暗くなってしまうものですからね……実際に見たから言えることですが。」

 

 

なんかすいません。俺のせいで苦労をかけたみたいで。」

 

 

冬香「いえ、苦労だなんてそんな……それによろしいのですよ、可愛い後輩には構いたくなるものです。」

 

八幡「……あれ?声に出してました?」

 

冬香「?はい。ずっと口から仰っていましたが、それが何か?」

 

八幡「い、いえ、なんでも……」

 

 

また声に出しちまったよ……この癖直したいが、抜けきれないんだよな。

 

 

冬香「……比企谷さんは素直な方なのですね。少々意外です。」

 

八幡「もしかして、この性格の事を言ってたりします?」

 

冬香「いえ、雰囲気ですかね。何処か近付きがたい感じがしたものでしたので………ですが、比企谷さんはとても素敵な方なのですね。陽乃様からよく伺っておりました、とても面白い子だと。」

 

八幡「はぁ……忘れていいですよ。あの人が俺の事を言う時なんて、暇つぶしとかですよ。」

 

 

今は違うんだろうが、他に思いつかん。

 

 

冬香「ふふふっ……失礼。」

 

店員「お待たせしました。」

 

冬香「ちょうど食事も来たようですね。学院の話はこれくらいにしておいて、貴方の話を聞かせて下さいませんか?」

 

八幡「……いいですけど、そんな面白いのはありませんよ?」

 

冬香「よろしいのですよ。お話を聞くだけでもいい時間は過ごせます。」

 

八幡「……では、少し行儀は悪いですが、食べながらでも話しますよ。」

 

冬香「はい。お願い致します。」

 

 

 

 

 

そして俺達は色々と話しているうちに、意見が合う事も多々あり、良い時間を過ごすことが出来た。

 

買い物……間に合うかな?

 

 

 

 


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