八幡side
今日の《獅鷲星武祭》が終了して全員で帰っている所だが、やはり視線が痛い。まぁ理由は決勝戦に残っているチームだからだろう。一応最新のニュースを見るとこんな感じになっていた。
『チーム・帝龍のリーダー、堂々の一人勝ち!仲間の体力を温存させる作戦か!?』
『チーム・帝龍余裕勝ち!次期【万有天羅】比企谷八幡は好調を維持!明日も楽しみ!』
『流石は夢幻!!明日の試合も瞬殺か!?』
などと、なんかこんな風に書かれてるけど、いつもチーム優先だからな?ていうかた本当に次期【万有天羅】なんて誰が言ったの?
陽乃「……ねぇ、もし皆さえ良かったら今日は外食にしない?きっと今日話し合うのはこれでさいごかもしれないから。」
めぐり「私はホテルに帰るだけですので、陽さんに着いていきます。」
セシリー「……そうだねー。あたしも今回は真面目に話し合いたいなー。」
暁彗「……………私も雪ノ下殿の意見を支持する。あの動き、興味がある。」
虎峰「僕も構いませんよ。対策を練りましょう。」
シルヴィア「私は八幡くんに任せるね。」
八幡「………」
まぁ確かに明日考えたい事も増えるだろうし、今日ある事は出来るだけ話しておくか。
八幡「分かった、俺も付き合おう。どこで食べる?」
陽乃「出来れば個室が良いよね。話聞かれずに済むし、色々作戦会議も出来るからね。ただ、シルヴィアちゃんとめぐりは会議の事を外に喋らない事を約束してもらうけど。」
めぐり「喋りません!そもそも、いう相手が今いません!」
シルヴィア「私も守ります。どうして彼氏のチームの事をバラすんです?」
………確かに。
ーーーとある飲食店ーーー
あの後、個室のある飲食店を探していたのだが、その殆どが居酒屋だった為に普通の近場にある飲食店にした。夕方に近い時間帯だからか、店内はそこそこ繁盛していた。
店員「いらっしゃいませ、何名様でしょう?」
陽乃「7人です。タバコは吸わないので禁煙席で。」
店員「かしこまりました。それではご案内いたします。」
気を遣ってくれているのか、この店員さん何も言ってこない。しかも席も人の少ない奥の方にしてくれた。この店員さん、出来る人だ。
店員「こちらお冷とメニューになります。ご注文がお決まりでしたら、そちらの呼び鈴を押して下さい。ごゆっくりどうぞ。」
気の利く店員はそそくさと去ったが、失礼な態度はどこにもなかった。そして、俺たちの席順はこんな感じだ。
シ 八 セ
テーブル虎
め 陽 暁
ちなみに席に座る順でモメたのは別の話だ。
虎峰「さて、何から話しましょうか?」
セシリー「虎峰アウトー!最初からそんな話しても意味無いじゃん!まずはご飯だー!」
陽乃「そうだぞー!」
……そんなに腹減るような事したか?
虎峰「し、失礼しました。」
めぐり「まぁまぁ、取り敢えず注文決めましょう!色んなのがあって美味しそう♪」
ほぉ……単品だけでなく定食もあるのか。しかも結構種類豊富だな。
虎峰「僕は和風定食にしてみます。日本の味にも興味がありますので。」
セシリー「あたし焼肉定食ー!やっぱり美味しそうだからねー!」
めぐり「私は生パスタかな。でも、本当に色んなメニューがあるんだね〜。」
陽乃「私は肉焼きセットかな。ステーキ、ハンバーグ両方の味が楽しめてラッキーだね。」
暁彗「……………中華定食。」
シルヴィア「私はナポリタンかな。今日はそんな気分なんだ〜。」
八幡「俺は山賊焼定食だな。これが一番美味そうだ。」
陽乃「メニュー決まったみたいだね。じゃあ呼び鈴鳴らして〜。」
全員が注文を済ませ、待ってる間に明日の事についての作戦会議や対策などを練った。まぁそんな短時間で決まるわけもなく、全員分の食事が来たから一時中断した。一括で来てくれるのは嬉しいな。
めぐり「おぉ〜!どれも美味しそう♪」
セシリー「良かったら分け合わなーい?なんか他の味も気になってきたからさー。」
陽乃「おっ、それ良いねー!」
八幡「予想通りっちゃあ予想通りの展開だな。」
シルヴィア「あはは……確かにね。」
全員少しずつメインの食べ物を分けてから食事を開始した。そしてやっぱり………
シルヴィア「はい八幡くん、あーん♡」
八幡「あー……ん?何だよ?」
セシリー「い、いやーあたしたちの目を憚らずにするとは思わなくてさー。」
めぐり「2人共大胆だね///」
八幡「変な所あったか?付き合ってんだからこれくらい普通だろ。」
陽乃「いや、まぁ普通だけどさ、大人数で食事する時にそれやる?」
八幡「まぁ、俺はやらないが、シルヴィはやるんだろう。それよりも、陽乃とセシリーの間にいる奴をなんとかしてくれ。今にも血涙を流しそうなくらい睨んできてる。」
虎峰「…………」
怖ぇよ、そして俺を睨むなよ。睨むんなら、実行してるシルヴィを睨めよ。まぁそんな事しないんだろうけどよ。
そんなこんなありながらも、俺たちは楽しい夕食を過ごした。
ーーー夕食後ーーー
八幡「んで?明日のことだが……どうしたい?」
陽乃/セシリー「金髪をぶっ潰したい。」
まさかの葉山ぶっ潰したい宣言ですか。いや、俺も同じなんどけどよ。
虎峰「相手は序列10位、しかもガラードワースの序列1位を破った程の実力者ですよ?ぶっ潰す程度の覚悟では倒せませんよ。」
陽乃「へぇ……虎峰くんも言ってくれるね。私じゃ役者不足だって言いたいのかな?」
セシリー「あんな奴、私と陽姐の2人で充分だよ。」
八幡「落ち着けお前ら。仲間割れみたいな事するな。2人の気持ちも分からんでもないが、虎峰の言う通りだ。潰す覚悟では足りないかもしれない。」
セシリー「……それって?」
八幡「………殺すつもりで、とかな。」
シルヴィア「………八幡くん?」
八幡「分かってる、これはもしもだ。殺人なんてしないしする気もない。だがそれは明日にならないと分からない。例えば、今人様の話を盗み聞きしてる奴とかな。」
全員(八幡除く)「っ!!?」
葉山「よく分かったな、比企谷。」
何がよく分かったな、だ。お前のチンケな殺気が教えてくれたよ。
八幡「ランスロットを倒して祝勝会か?天狗になるのはまだ早いんじゃないのか?」
葉山「君の方こそ、その薄汚れて穢れまくった顔を取ったらどうだい?まぁ、皆を騙すにはもってこいの必需品だと思うけどね。」
こいつまだ俺が誰かを騙してるなんて思ってるのか。バカというか諦めが悪いというか……
八幡「その顔が俺の素顔なら、とんでもなく良い顔だな。人を操り放題なんだからよ。お前じゃあるまいしそんな事しねぇよ。」
葉山「減らず口は昔に比べて随分と叩けるようになったようだね。昔の無口はどこに行ったんだい?」
陽乃「それ以上喋らないでくれる?あんたの声なんて聞きたくもないんだよね。早く自分の席におっちゃんこしてなよ。」
葉山「酷い事を言うなぁ陽乃さん。俺はこんな奴と違って実力で強くなったんだ。僕の事を認めてくれても良いんじゃないか?もうついて歩くだけじゃないんだから。」
陽乃「はぁ?間違えた道を歩んでる奴をどうやって認めろっていうの?あんたバカ?」
セシリー「全くだね。陽姐から聞いてたけど、こんなにクズだとは思わなかったよ。いますぐその不細工な顔、もっと不細工にしてもいいんだよ?」
葉山「へぇ……やれるものならやってみなよ。出来るのならね。」
一触即発じゃねぇか。こんな所で騒ぎなんて起こすんじゃねぇよ。俺が原点みたいなもんだけどさ。
八幡「落ち着けお前ら、こんな所で問題を起こすな。虎峰も中腰をやめて普通に座れ。ここは戦う所じゃない。飯を食う場所だ。葉山、お前もチームのリーダーならチームメイトと話をするのが務めなんじゃないのか?いつまでも敵チームと話してるんじゃねぇよ。」
葉山「君が呼んだんじゃないか。何をバカな事を言ってるんだい?」
八幡「呼んでると思ってたのか?自意識過剰だな。俺は別にお前の事とは一言も言ってないけどな。自覚があったとは驚きだ。」
葉山「っ!……ふんっ、まぁいい。精々明日まで楽しむと良いさ。」
そう言って葉山は元の席へと戻って行った。
八幡「俺たちもそろそろ行くか。」
その後は全員無言でそれぞれの目的地の帰路へとついた。