進ませようと思いましたが、今回はあまり内容が思いつかなかったので、代用にととっておいたこれを出しました。
では、どうぞ!
シルヴィアside
八幡「…………」
シルヴィア「…………」
これを見れば、何もしていない風に見られがちだと思うんだけど、実はそうじゃないんだ。私は今、八幡くんの中にいる守護霊の力を安定させる為に精神統一を行なっているのを霊視で視てるんだ。一時的に索冥を憑けさせてもらって八幡くんの周りが安定しているかどうかをね♪
八幡くん曰く、霊視の能力はあっても、自身がどんな風になっているのかは自身では分からないんだって。だから他者の目を介してではないと見られないから、私が視てあげてるってわけなんだ。
……それにしてもすごい。八幡くんの周りに赤、緑、水色、紫、白のオーラが混ざり合ってる………綺麗。でも何だろう?八幡くんの心臓の辺りから光ってる……黄色?黄金かな?その色だけが八幡くんから出てきてない。もしかしたら、まだ八幡くんの中に眠ってる霊なのかもしれない。
索冥『シルヴィア様、八幡様の様子は如何ですか?』
シルヴィア(安定してるよ。5つのオーラがあるんだけど、全部混ざり合って綺麗な色になってる。1つだけ心臓の辺りから黄金に光ってるのがあるんだけど、それだけ出てこないんだ。多分だけど、八幡くんの中に眠ってる霊だと思うんだけど……どう?)
索冥『間違いではありませんね。八幡様の中には、私を含め7体もの霊が憑いておりますので。』
シルヴィア(改めて聞くと凄いよね、7体も身体に憑いてるって。確か索冥は最初からいたんだよね?)
索冥『はい、八幡様が幼き頃から今日までずっとです。あの頃の八幡様は本当に純粋な方でした。今もそうなのですが、昔に比べるとやや劣りますね。ですが、それすらも見劣りするくらいに私や四神は八幡様に憑く事を決心した出来事がありました。』
シルヴィア(最初からいたわけじゃないの?)
索冥『我々動物霊、中でも存在しないといわれている霊は基本的に人には憑依しません。あの頃の八幡様に惹かれて、私たちは八幡様に憑依したのです。』
シルヴィア(……ねぇねぇ聞かせてよ!そのお話!すごく興味が出てきたよ!)
索冥『……わかりました。では、お話ししましょう。あれはまだ、八幡様が小学校に上がる前の事でした。』
シルヴィアsideout
索冥side
当時の私たちは、守護している地域によって分かれていました。北方、南方、西方、東方と分かれていてそれぞれの方角を厄災から守護していました。私は四神の長であるため中央、いわばこの日本の中心である東京を守護していました。
そんな私でも息抜きはしたくなります。当時の私の楽しみは、未来ある子供たちの遊ぶ姿を見る事でした。そこは施設だった為、見るのは柵越しからでしたが、それでも私にとっては心休まる光景でした。
少しだけ遠出をしてみようと思って千葉の方へと赴き、1つの小さな公園で一休みすることにしたのですが、1人の子供が1人で遊んでいたのです。暗いという時間ではありませんでしたが、あの年齢で1人で遊ぶというのは珍しいものでした。実際、私も初めて見ました。
するとその子供は何かを見つけたのか、私の方へと走ってきました。当然私は霊体なので子供に見える事なんてありません。私が身を逸らすと子供はそれに合わせて方角を変えてきました。
???「………」
その少年は私の前で止まりました。私の後ろに何かあるのかとも思いましたが、後ろは壁ですので何もありません。そんな時、子供から発した声がこれでした。
???「ぼく、ひきがやはちまん!きれいなシカさんだね!本でシカさんはみたことあるけど、キミみたいなシカさんはじめて見た!!」
そう、その少年こそが八幡様で私と八幡様の出会いでした。
索冥『……私が見えるのですか?』
八幡「え?みえるよ?」
索冥『……どんな姿をしていますか?』
八幡「うーん……むずかしいなぁ。なんか普通のシカさんとちがってきれいな緑色の毛で、ツノがカッコよくて、髪が金色みたいになってる!!」
私の姿を正確に当ててきました。この子は明らかに私の事が見えている。でも、私が疑問に思った事を聞いてみました。
索冥『では八幡くん、どうして貴方は1人で遊んでいるのですか?お友達はいないのですか?お母さんはどちらに?」
八幡「いるけど、もうみんな家に帰っちゃったし、お母さんは妹のお世話でいそがしいんだ。本当はあそんでほしいけど、お兄ちゃんになるからがまんするんだ。」
八幡様の優しさはこの頃から芽生えていました。本当はもっとお母様と一緒に遊びたいお年頃なのを、妹がいるから我慢と仰ったのです。まだ小学生にも満たない子供がです。こんなにも人思いな子は見たことがありませんでした。
索冥『……では、私と遊んでみますか?』
八幡「え?いいの!?」
索冥『えぇ、八幡くんさえ良ければですが。』
八幡「うん!全然いいよ!!」
その後は、八幡様と色々な事をしました。遊具があるにも関わらず、そちらの方には一切目もくれずに私と遊んで下さいました。おそらくこの時も、八幡様は私に気を使ってくれていたのだと思います。遊具で遊ぶと私と遊んでる意味がなくなってしまうと。
八幡「あっ、もうこんな時間だ!もう帰らないと!」
索冥『……そうですか。』
八幡「そんなに落ち込まないでよ。また明日あそべばいいんだから!」
索冥『っ!わ、私は落ち込んでは……明日も、此処に来てもよろしいのですか?』
八幡「うん!だって楽しいもん!じゃあ、ぼくもう帰るね!あそんでくれてありがとう!バイバイ!!」
そう言って八幡様は帰って行きました。子供と遊んだのなんて初めてでした。明日も来ていいと仰っていましたので、4人も連れてこようと、この時思っていました。
ーーー翌日の同じ時間ーーー
次の日の同じ時間帯になって公園に行くと、八幡様はもう到着していました。
索冥『こんにちは、八幡くん。』
八幡「あっ!来てくれたんだ!」
索冥『今日は私のお友達を連れてきたのですが、一緒に遊んでくれますか?』
八幡「おともだち?うん、いいよ!」
索冥『ありがとうございます。皆さん、出てきても構いませんよ。』
玄武『おぉ〜、メイちゃんが言っていた少年は君かなぁ?本当に僕たちが見えているのかなぁ?』
朱雀『見えていたら、白兄が見えている時点で大騒ぎだろうぜ。なんせ虎がいるんだもんな!』
白虎『ふんっ、俺で騒ぐのなら青龍はどうだ?思い切り龍だぞ?叫ぶ方がどちらかなんて決まっている。』
青龍『龍はこの世に存在しない生き物だ。我を見て驚くのも無理はないが、本当に見えているかどうかだ。』
八幡「わぁ〜!!色んな動物がいる!!カメさんにトリさんにトラさんに龍だー!!」
青龍『………驚いた、本当に見えているとは。』
玄武『ほえぇ〜これは凄いね〜!』
朱雀『あっはっはっは!!こいつはスゲェ!この歳で俺たちが見えるのかよ!ビックリだぜ!』
白虎『ほう、中々見所のある小僧だな。』
紹介も済んだ所で、早速皆で遊びました。駆けっこをしたり、かくれんぼをしたり、けんけんパー?というものもやりました。あれは難しかったですね。
ですが、八幡様が青龍や白虎を見て怖がる様子は何処にもありませんでした。龍や虎、燃える鳥がいるというのに。
八幡様が休んでいる時に、それを聞いてみることにしました。
索冥『八幡くん、聞いてもいいですか?』
八幡「ん?なーに?」
索冥『こちらの龍や虎は本当なら怖い存在です。それがいるのにどうして怖がらないのですか?』
八幡「え?そんなの簡単だよ。」
簡単?と私は思いました。普通なら怖い存在であるこの2人を怖がらない理由は私の予想を遥かに超える理由でした。
八幡「だってこの2人、叫ばないじゃん。見た目は怖くても優しい動物だっているよ。逆もそうだけどね。」
叫ばないから怖くない。この答えに私たちは大笑いしました。初見にも関わらず、私たちに臆さず、それどころか心を開いて接してくれる八幡様にいつしか惹かれていました。
そしてお別れの日、私たちも自分たちの仕事があります。それを放っておくわけにはいきませんので、八幡様にお別れを言いにきました。駄々をこねる、そう思っていました。でも、私は八幡様がとても優しい子だというのを忘れていました。
八幡「そっか……皆お仕事があるのなら仕方ないよね。分かった!じゃあお仕事が終わったらまたあそぼうね!」
そう言って八幡様はまた帰って行きました。でも、私たちはそれぞれの方角へと帰ることはありませんでしたし、八幡様の前に現れる事もありませんでした。その理由は新しい仕事ができたからです。
ーーー現代ーーー
これが私たちと八幡様の出会いです。4人は守護のこともあってか、数年すると憑依から抜けていきましたが、私だけは八幡様のお側にいると決めてました。
シルヴィア(……八幡くん、昔から優しかったんだね。)
索冥『はい、このお方の力になりたいというのは私の願いでもあり、宿命とも思っています。シルヴィア様もどうか、八幡様をお願いします。』
シルヴィア(勿論だよ、お互いに八幡くんを守っていこうね。)
索冥『はい。』
八幡と索冥はこの頃から出会っていたんですね。他の守護霊たちも八幡と昔あっていたみたいで。
索冥『こちらで少し補足でございます。現在八幡様が使役している朱雀、玄武、白虎ですが、八幡様の事は覚えています。初めて会ったかのようにしていたのは、私の指示です。特に意味はございませんが、そちらの方が八幡様もやりやすいと思ったからです。』
えー補足の方、ありがとうございます。
次は進ませるので安心してください。